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第二章 悪役令嬢は暗躍する
59.悪役令嬢達と奇妙な護衛の男
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私は今、この世が如何に奇妙に満ちているかを実感している。
そもそも10歳に満たない少女達が魔導洞窟にやって来るというのは正直言って、どうかしている。と、言えるだろう。普通は……普通はだ。魔物との戦闘や洞窟の探検というのは、ある程度、人間が管理し整備がされていたとしても、危険が伴う。
それを彼女達はまるでピクニックをしているが如くである。これは奇妙奇天烈としか言えない。それに私は彼女達に会った時、驚いたのだ。我が家に伝わる【失われた遺産】である『ミーティオスの仮面』には魔力を探知したり、視覚化する効果がある。
彼女達の魔力は子供とは思えない程に高い魔力を内包している。成長すれば確実に国内でも有数の魔術師となるだろう。特にエステリア・ハーブスト公爵令嬢は色々な意味で群を抜いている。
薄い魔力をまとって周囲に広げる方法は非常に高い魔力操作技術が必要となる。ハーブスト公爵夫人の教えなのか、どこまでも自然に周囲には感知させないように薄く広く魔力を巡らせている。
それにとても美しい少女だ。初めて会った時、あまりの美しさに一瞬思考が止まってしまったほどだ。成長したら、それは美しい女性になるだろう。アレの婚約者候補だとは聞いているが、彼女であれば女王の座を目指しても良いだろうな。
しかし、この武器は――危険なモノだ。正直、こんなものを作り出したハーブスト公爵家は一体何を考えているのやら。
魔術基礎理論を知っている者からしても、規格外だ。どれだけの魔石が一つの武器に使われているのか、また、それをどうやって制御しているのかも全く分からない。一つの魔道具に複数の魔法や魔術を記憶出来、それを触媒に弾を撃ち出し、それが記憶された魔法や魔術となる?
自分で考えながら、分けが分からなくなってしまいそうになるほどに分からない。
しかも、認識阻害の効果があるのに、私の素性がバレているのも分からない。今まで気づかれた事も無かったのだが、そんな事があるのだろうか?
恐ろしい、なんとも恐ろしいが、幼い彼女から目が離せない。私は幼女趣味では無い、無いのだぞ? いかん、こういう時は心を無にするのだ、考えるな。難しい事を考えずに無になるのだ。
「さすがですね。武器の扱いもすぐに慣れてしまわれたようですね」
妖精のような小悪魔が私にそう言った。私は視線を思わずそらしつつ「君の説明が分かりやすかっただけだ」と、呟くように答えた。
「そんな事はありませんよ」
「それにしても、魔力の消費が随分と少なく感じるのだが……」
「ええ、魔法の場合はロスが大きくなりますが、魔術の場合ですと本来必要な魔力量と比べて二割ほどお得になります。理想としては半分か三分の一なのですが、増幅器の限界値がそこまで高く無いので現状は二割くらいお得が限界なんですよね」
「増幅器?」
増幅器とは一体どういうことだろうか? 確かに魔法は術者のイメージによって使う魔力量が左右されるが、魔術の場合は決められた術式に決められた魔力量が消費される。彼女の言葉から考えると魔術の場合は違うという事だ――色々な仮説が脳内に駆け巡るが答えには至らない。
「あ、あー、詳しくは説明出来ませんが、ひとつだけヒントを魔術って魔法に比べると柔軟では無いんですが、自由度は凄く高いんですよ」
そう言って彼女は微笑んだ。少女とは思えないほどの笑みに私は一体何を見ているのだろうかと、思わず考えてしまう。やはり……難しいことは考えてはいけない、彼女は王位継承権を持つ公爵家の令嬢だ。まだ十代にも満たない少女だ。と、私は小難しい思考を放り投げた。
彼女の言う『魔術における自由度』という言葉が今考えるべき事だと思考を加速させる。
そもそも魔術とは【古の賢者】によって魔法を形態化した術式理論で、魔法を使用する時に浮かび上がる魔法陣を写したモノだ。しかし、【古の賢者】が作り出した魔術は魔法では存在しないモノもある。たぶん、これが答えだ。何らかの方法でハーブスト公爵家では魔術そのものを新たに作り出す方法論を見つけた――と、いうことだ。
しかも、それを女王も公爵夫人は知っているからこそ、私が彼女らの護衛に呼ばれたのか。
「なるほど……いつか、答えがハッキリと分かったら答え合わせをして貰ってもいいかな?」
「フフッ、それは楽しみにしておきますね。あまりにも時間が掛かると他の誰かが答えを出してしまうかもしれませんよ」
と、妖精がとびっきりの笑顔でそう言った。
そもそも10歳に満たない少女達が魔導洞窟にやって来るというのは正直言って、どうかしている。と、言えるだろう。普通は……普通はだ。魔物との戦闘や洞窟の探検というのは、ある程度、人間が管理し整備がされていたとしても、危険が伴う。
それを彼女達はまるでピクニックをしているが如くである。これは奇妙奇天烈としか言えない。それに私は彼女達に会った時、驚いたのだ。我が家に伝わる【失われた遺産】である『ミーティオスの仮面』には魔力を探知したり、視覚化する効果がある。
彼女達の魔力は子供とは思えない程に高い魔力を内包している。成長すれば確実に国内でも有数の魔術師となるだろう。特にエステリア・ハーブスト公爵令嬢は色々な意味で群を抜いている。
薄い魔力をまとって周囲に広げる方法は非常に高い魔力操作技術が必要となる。ハーブスト公爵夫人の教えなのか、どこまでも自然に周囲には感知させないように薄く広く魔力を巡らせている。
それにとても美しい少女だ。初めて会った時、あまりの美しさに一瞬思考が止まってしまったほどだ。成長したら、それは美しい女性になるだろう。アレの婚約者候補だとは聞いているが、彼女であれば女王の座を目指しても良いだろうな。
しかし、この武器は――危険なモノだ。正直、こんなものを作り出したハーブスト公爵家は一体何を考えているのやら。
魔術基礎理論を知っている者からしても、規格外だ。どれだけの魔石が一つの武器に使われているのか、また、それをどうやって制御しているのかも全く分からない。一つの魔道具に複数の魔法や魔術を記憶出来、それを触媒に弾を撃ち出し、それが記憶された魔法や魔術となる?
自分で考えながら、分けが分からなくなってしまいそうになるほどに分からない。
しかも、認識阻害の効果があるのに、私の素性がバレているのも分からない。今まで気づかれた事も無かったのだが、そんな事があるのだろうか?
恐ろしい、なんとも恐ろしいが、幼い彼女から目が離せない。私は幼女趣味では無い、無いのだぞ? いかん、こういう時は心を無にするのだ、考えるな。難しい事を考えずに無になるのだ。
「さすがですね。武器の扱いもすぐに慣れてしまわれたようですね」
妖精のような小悪魔が私にそう言った。私は視線を思わずそらしつつ「君の説明が分かりやすかっただけだ」と、呟くように答えた。
「そんな事はありませんよ」
「それにしても、魔力の消費が随分と少なく感じるのだが……」
「ええ、魔法の場合はロスが大きくなりますが、魔術の場合ですと本来必要な魔力量と比べて二割ほどお得になります。理想としては半分か三分の一なのですが、増幅器の限界値がそこまで高く無いので現状は二割くらいお得が限界なんですよね」
「増幅器?」
増幅器とは一体どういうことだろうか? 確かに魔法は術者のイメージによって使う魔力量が左右されるが、魔術の場合は決められた術式に決められた魔力量が消費される。彼女の言葉から考えると魔術の場合は違うという事だ――色々な仮説が脳内に駆け巡るが答えには至らない。
「あ、あー、詳しくは説明出来ませんが、ひとつだけヒントを魔術って魔法に比べると柔軟では無いんですが、自由度は凄く高いんですよ」
そう言って彼女は微笑んだ。少女とは思えないほどの笑みに私は一体何を見ているのだろうかと、思わず考えてしまう。やはり……難しいことは考えてはいけない、彼女は王位継承権を持つ公爵家の令嬢だ。まだ十代にも満たない少女だ。と、私は小難しい思考を放り投げた。
彼女の言う『魔術における自由度』という言葉が今考えるべき事だと思考を加速させる。
そもそも魔術とは【古の賢者】によって魔法を形態化した術式理論で、魔法を使用する時に浮かび上がる魔法陣を写したモノだ。しかし、【古の賢者】が作り出した魔術は魔法では存在しないモノもある。たぶん、これが答えだ。何らかの方法でハーブスト公爵家では魔術そのものを新たに作り出す方法論を見つけた――と、いうことだ。
しかも、それを女王も公爵夫人は知っているからこそ、私が彼女らの護衛に呼ばれたのか。
「なるほど……いつか、答えがハッキリと分かったら答え合わせをして貰ってもいいかな?」
「フフッ、それは楽しみにしておきますね。あまりにも時間が掛かると他の誰かが答えを出してしまうかもしれませんよ」
と、妖精がとびっきりの笑顔でそう言った。
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