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第二章 悪役令嬢は暗躍する
80.悪役令嬢の側近の少女の微笑み
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エステリア様達はそれぞれの家の馬車に乗り王都の邸宅へお帰りになり、私達も家の馬車を待っている。
「ジェニー様、私、感動で手が震えたままです」
我が家はエステリア様との商売によって随分と家が豊かになりました。ただ、魔晶石の鉱山についてもいつかは埋蔵量を上回り、枯れてしまう事を注意されていて現在、我が家ではハーブスト公爵家の指示で魔鉱石と魔晶石、魔石に関して研究を行っているところです。
そんな我が尊き主であるエステリア様はさらに多くの知識を私にお与えくださると仰ったのです。あれほどに気高く、美しく、お優しい人はミストリア広しといえど居ないでしょう。
「私もです。ミーリア様は色々とエステリア様のお役に立っているのに、私は何もしていないし、何もできない……ですのに、あのお方は私の事を側近だと仰るのです。たぶん、家に帰ったら思い出して泣いてしまいます」
普段は調子のいい事ばかりを言うジェニー様も感動で打ち震えています。今日はなんという日でしょうか。それにしても、あれだけ素晴らしい人だというのに……婚約者であられるクリフト殿下はどうして、エステリア様に辛く当たるのでしょう。対して、アリエル王女殿下は偉ぶっている風ですが、とても親しみやすい方ですのに。
私がそんな事を考えていると、グラファス侯爵家の馬車が到着したようです。
「ジェニー嬢、ミーリア嬢。これからも我が主の為に頑張ってくれ。私も共に努力し、皆を守る盾であり、敵を打ち滅ぼす剣となろう。では!」
そう言ってルアーナ様は颯爽と去って行かれる。グラファス侯爵のご令嬢なのですが、あの方は長身で中性的な雰囲気を持っていらっしゃる変わった方ですが、エステリア様に対しての忠誠心は非常に高そうです――なんというか、犬みたいです。
「ミーリア様、私のところも迎えが来たようですので、ごきげんよう」
「ええ、ジェニー様。ごきげんよう」
ジェニー様も迎えの馬車に向かって行く。見知った人達がいなくなると急に寂しさが込み上げてくるけれど、そのような表情を周囲に悟られてはいけないと私は気合を入れる。何と言っても私は三大公爵家であるハーブスト公爵の令嬢でミストリアの王位継承権第四位でもあるエステリア様に選ばれた人間なのだから。周囲に付け込まれるような姿は見せてはエステリア様に迷惑が掛かると思わないと。
しばらくすると、私の家の馬車がやってきて私のメイドであるエリーが私の前へやって来る。
「お嬢様、お待たせいたしました」
「フフッ、大丈夫よ。先までジェニー様もルアーナ様もいらっしゃったもの」
と、言って私は馬車に乗り込む。
「お嬢様、本日は楽しまれましたか?」
エリーがそう言った。私は即座に答えるつもりだったけれど、一呼吸おいてから彼女の質問に対して肯定を示した。
そうよ。キチンと考えながら答えないとエステリア様は例の秘密に関しては家人にも伝えてはいけない。勉強をするという話まではオーケーだけど内容は口外禁止だと言われたのだ。
「明日から、新生活となりますがやっていけそうですか?」
「ええ、大丈夫よ。と、いうよりも今まで以上に頑張らないとダメね。エステリア様の信頼に応えなければいけないもの」
ただ……気を付けないとね。頑張りすぎて空回りしないように冷静に、必死に喰らい付いていかないと幻滅されないように頑張るのよ、私!
そんな事を胸に馬車に揺られながら家に帰るのであった。気が付けば震えは治まっていて、あれだけ緊張していたのが不思議なくらい落ち着いた気持ちになっていた事に思わず笑ってしまった。
「ジェニー様、私、感動で手が震えたままです」
我が家はエステリア様との商売によって随分と家が豊かになりました。ただ、魔晶石の鉱山についてもいつかは埋蔵量を上回り、枯れてしまう事を注意されていて現在、我が家ではハーブスト公爵家の指示で魔鉱石と魔晶石、魔石に関して研究を行っているところです。
そんな我が尊き主であるエステリア様はさらに多くの知識を私にお与えくださると仰ったのです。あれほどに気高く、美しく、お優しい人はミストリア広しといえど居ないでしょう。
「私もです。ミーリア様は色々とエステリア様のお役に立っているのに、私は何もしていないし、何もできない……ですのに、あのお方は私の事を側近だと仰るのです。たぶん、家に帰ったら思い出して泣いてしまいます」
普段は調子のいい事ばかりを言うジェニー様も感動で打ち震えています。今日はなんという日でしょうか。それにしても、あれだけ素晴らしい人だというのに……婚約者であられるクリフト殿下はどうして、エステリア様に辛く当たるのでしょう。対して、アリエル王女殿下は偉ぶっている風ですが、とても親しみやすい方ですのに。
私がそんな事を考えていると、グラファス侯爵家の馬車が到着したようです。
「ジェニー嬢、ミーリア嬢。これからも我が主の為に頑張ってくれ。私も共に努力し、皆を守る盾であり、敵を打ち滅ぼす剣となろう。では!」
そう言ってルアーナ様は颯爽と去って行かれる。グラファス侯爵のご令嬢なのですが、あの方は長身で中性的な雰囲気を持っていらっしゃる変わった方ですが、エステリア様に対しての忠誠心は非常に高そうです――なんというか、犬みたいです。
「ミーリア様、私のところも迎えが来たようですので、ごきげんよう」
「ええ、ジェニー様。ごきげんよう」
ジェニー様も迎えの馬車に向かって行く。見知った人達がいなくなると急に寂しさが込み上げてくるけれど、そのような表情を周囲に悟られてはいけないと私は気合を入れる。何と言っても私は三大公爵家であるハーブスト公爵の令嬢でミストリアの王位継承権第四位でもあるエステリア様に選ばれた人間なのだから。周囲に付け込まれるような姿は見せてはエステリア様に迷惑が掛かると思わないと。
しばらくすると、私の家の馬車がやってきて私のメイドであるエリーが私の前へやって来る。
「お嬢様、お待たせいたしました」
「フフッ、大丈夫よ。先までジェニー様もルアーナ様もいらっしゃったもの」
と、言って私は馬車に乗り込む。
「お嬢様、本日は楽しまれましたか?」
エリーがそう言った。私は即座に答えるつもりだったけれど、一呼吸おいてから彼女の質問に対して肯定を示した。
そうよ。キチンと考えながら答えないとエステリア様は例の秘密に関しては家人にも伝えてはいけない。勉強をするという話まではオーケーだけど内容は口外禁止だと言われたのだ。
「明日から、新生活となりますがやっていけそうですか?」
「ええ、大丈夫よ。と、いうよりも今まで以上に頑張らないとダメね。エステリア様の信頼に応えなければいけないもの」
ただ……気を付けないとね。頑張りすぎて空回りしないように冷静に、必死に喰らい付いていかないと幻滅されないように頑張るのよ、私!
そんな事を胸に馬車に揺られながら家に帰るのであった。気が付けば震えは治まっていて、あれだけ緊張していたのが不思議なくらい落ち着いた気持ちになっていた事に思わず笑ってしまった。
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