98 / 314
第三章 悪役令嬢は学院生活を送る
98.悪役令嬢は神話を語る
しおりを挟む
私はゆっくりと明瞭に子供に聴かせるように、ゆっくりと話始める――
「神々の住む天高いところにある場所に住まう、大神《おおかみ》がひとつの世界を作りました。そして世界を管理すために娘達である昼間は太陽神ラミリア様を夜は月神シルファ様を遣わしました」
この世界の柱神はラミリアだとどの神殿も言うけれど、神話には大神なる存在がいるのよね。少し不思議な感じだけど、天界みたいなのがあって、そこにも沢山の神々がいる――大神が自分で作った世界に自分の娘や息子を管理の為に送り出す部分が初段の始まりなのよね。
「ラミリア様は世界を管理する為に沢山いる弟や妹を天界から呼んで海しかない世界に大地を作り、島を作り、人を作った。でもそれでは人しかいない世界では人は生きられないと、シルファ様に指摘されたラミリア様は動物、植物を作り、シルファ様には魔獣、魔物を作らせる」
不思議な話だけど、人に都合の良い世界を作り、それを管理する世界なんだと私は何気なく思った。月の女神シルファが魔獣、魔物をラミリアの命令で造るのだけど、太陽が生命、月が死を司っていると言われているからだ。魔獣や魔物は何もしなくても人を襲い、生物を喰らう。これも不思議な話で魔獣や魔物はお互いを認識しても、大きな害をお互い与えない。彼らが暴れても喰い散らかされるのは人間や動物だ。これも世界の不思議のひとつ。
「昼は生を司り、夜は死を司る。これによって、この世界は巡り、大きなひとつの流れを生み出し、人々は大いなる繁栄を歩むことになる。夜の眷属である魔獣や魔物に対抗する為の技術をラミリア様から与えられた人が使うようになったのが魔法である」
「あ、質問! どうして魔獣や魔物に対抗する必要が出てきたの?」
「うん、良い質問ね。昼が繁栄すれば、同様に夜も繁栄するから、魔獣や魔物も増えちゃったんじゃないかな? 遥か大昔に人がアレらに対抗しようと思うと大変じゃない?」
私がそういうとウィンディは「なるほど」と、納得したのかポンと手を打った。
「で、続きはどうなるんです?」
「続きね。魔法を得た人々は沢山いたんだけど、初めに魔法を得た人達はラミリア様から【加護】を貰うのね。この加護を受けた者達を始まりの子と呼ばれているんだけど、その子達というのはラミリア様の弟や妹の神々の子供の子孫で、この世界の各地で地を統治《すべおさめた》のよ」
「それのひとつが大帝国なんですか?」
普通はそう思うよね。私もこれを知った時におや? と、思ったもの。
「残念ながら、違うのよ。多くの神話では神々が治める時代を得て、なんらかの理由で去って人の世になるんだけど、大帝国の歴史の場合、ラミリア様の弟で軍神と剣神がいるんだけど、その子供達がラミリアの加護を受けた娘を授かるんだけど、大帝国の元になる小さな国の王達が巫女として迎えて、天帝とすることで誕生したのが聖イーフレイ帝国よ」
「神様の子供が天帝になって、今も帝国の皇帝としているってことですか?」
「それは違うわよ。神の血を受けづいた子ではあるけど、神と人との間に出来た子か、神から人に降りた子なの、だからちゃんとした人間なのよ。ただ、大帝国の天帝は神の巫女……えっと、神様と結婚する為の巫女だから、純潔を守らないとダメなの」
私がそういうとウィンディが難しそうな顔をする。普通に言えば奇妙な話になるわよね。
「えっと、それじゃぁ子孫が残せないんじゃないですか?」
「そうね。だから天帝になる為の神の血筋というのが存在していて、その血統の子供の中から、最も優秀な者を天帝として召し上げるというのが習わしになっているわ。現在の天帝も私達と変わらないくらいの女の子だったハズよ」
「んー、そうなんですねぇ」
「初段の辺りの話はこんな感じよ。少しは興味が出たかしら?」
初段の話はそこまで戦いの話はないけど、戦いあり、ロマンスありの冒険活劇がこれから始まるんだよね。なので、ここで躓くと中々先に進めなくなってしまうのが難点だとエルーサが言っていたのを思い出しつつウィンディの反応を見る。
「古語は苦手だけど、少し頑張って読んでみます……色々と気になる部分があるので」
そう言って彼女は歴史の教科書を読み始める。そう、神話の難点は古語がメインなので、古語をしっかりと覚えて行かないと中々に深いところまで分からない仕組みになってるのよね。ただ、ここで古語が出来れば文学と兵法も随分底上げ出来るから、入りはかなりいいんじゃないかな。
「ウィンディは今日は歴史中心で頑張ってね、明日は兵法、次の日は文学をやりましょう」
「りょーかいだよ!」
そして、私は転生組じゃない子達の方を見る。やはり算術に不安があるようだ。
「算術の試験範囲は加算、減算、積算、除算までね。桁数も多くないからそこまで難しくは無いと思うけど、どうかしら?」
と、私が訊くとルアーナが「お恥ずかしいです」と苦笑する。
「大丈夫です。私とリンリィがしっかりと教えて差し上げますわ」
「わ、私もお願いします!」
「あ、わ、私も!」
ジェニーとミーリアが同じように挙手をした。フフフッ、みっちりスパルタしてあげますわ!
「神々の住む天高いところにある場所に住まう、大神《おおかみ》がひとつの世界を作りました。そして世界を管理すために娘達である昼間は太陽神ラミリア様を夜は月神シルファ様を遣わしました」
この世界の柱神はラミリアだとどの神殿も言うけれど、神話には大神なる存在がいるのよね。少し不思議な感じだけど、天界みたいなのがあって、そこにも沢山の神々がいる――大神が自分で作った世界に自分の娘や息子を管理の為に送り出す部分が初段の始まりなのよね。
「ラミリア様は世界を管理する為に沢山いる弟や妹を天界から呼んで海しかない世界に大地を作り、島を作り、人を作った。でもそれでは人しかいない世界では人は生きられないと、シルファ様に指摘されたラミリア様は動物、植物を作り、シルファ様には魔獣、魔物を作らせる」
不思議な話だけど、人に都合の良い世界を作り、それを管理する世界なんだと私は何気なく思った。月の女神シルファが魔獣、魔物をラミリアの命令で造るのだけど、太陽が生命、月が死を司っていると言われているからだ。魔獣や魔物は何もしなくても人を襲い、生物を喰らう。これも不思議な話で魔獣や魔物はお互いを認識しても、大きな害をお互い与えない。彼らが暴れても喰い散らかされるのは人間や動物だ。これも世界の不思議のひとつ。
「昼は生を司り、夜は死を司る。これによって、この世界は巡り、大きなひとつの流れを生み出し、人々は大いなる繁栄を歩むことになる。夜の眷属である魔獣や魔物に対抗する為の技術をラミリア様から与えられた人が使うようになったのが魔法である」
「あ、質問! どうして魔獣や魔物に対抗する必要が出てきたの?」
「うん、良い質問ね。昼が繁栄すれば、同様に夜も繁栄するから、魔獣や魔物も増えちゃったんじゃないかな? 遥か大昔に人がアレらに対抗しようと思うと大変じゃない?」
私がそういうとウィンディは「なるほど」と、納得したのかポンと手を打った。
「で、続きはどうなるんです?」
「続きね。魔法を得た人々は沢山いたんだけど、初めに魔法を得た人達はラミリア様から【加護】を貰うのね。この加護を受けた者達を始まりの子と呼ばれているんだけど、その子達というのはラミリア様の弟や妹の神々の子供の子孫で、この世界の各地で地を統治《すべおさめた》のよ」
「それのひとつが大帝国なんですか?」
普通はそう思うよね。私もこれを知った時におや? と、思ったもの。
「残念ながら、違うのよ。多くの神話では神々が治める時代を得て、なんらかの理由で去って人の世になるんだけど、大帝国の歴史の場合、ラミリア様の弟で軍神と剣神がいるんだけど、その子供達がラミリアの加護を受けた娘を授かるんだけど、大帝国の元になる小さな国の王達が巫女として迎えて、天帝とすることで誕生したのが聖イーフレイ帝国よ」
「神様の子供が天帝になって、今も帝国の皇帝としているってことですか?」
「それは違うわよ。神の血を受けづいた子ではあるけど、神と人との間に出来た子か、神から人に降りた子なの、だからちゃんとした人間なのよ。ただ、大帝国の天帝は神の巫女……えっと、神様と結婚する為の巫女だから、純潔を守らないとダメなの」
私がそういうとウィンディが難しそうな顔をする。普通に言えば奇妙な話になるわよね。
「えっと、それじゃぁ子孫が残せないんじゃないですか?」
「そうね。だから天帝になる為の神の血筋というのが存在していて、その血統の子供の中から、最も優秀な者を天帝として召し上げるというのが習わしになっているわ。現在の天帝も私達と変わらないくらいの女の子だったハズよ」
「んー、そうなんですねぇ」
「初段の辺りの話はこんな感じよ。少しは興味が出たかしら?」
初段の話はそこまで戦いの話はないけど、戦いあり、ロマンスありの冒険活劇がこれから始まるんだよね。なので、ここで躓くと中々先に進めなくなってしまうのが難点だとエルーサが言っていたのを思い出しつつウィンディの反応を見る。
「古語は苦手だけど、少し頑張って読んでみます……色々と気になる部分があるので」
そう言って彼女は歴史の教科書を読み始める。そう、神話の難点は古語がメインなので、古語をしっかりと覚えて行かないと中々に深いところまで分からない仕組みになってるのよね。ただ、ここで古語が出来れば文学と兵法も随分底上げ出来るから、入りはかなりいいんじゃないかな。
「ウィンディは今日は歴史中心で頑張ってね、明日は兵法、次の日は文学をやりましょう」
「りょーかいだよ!」
そして、私は転生組じゃない子達の方を見る。やはり算術に不安があるようだ。
「算術の試験範囲は加算、減算、積算、除算までね。桁数も多くないからそこまで難しくは無いと思うけど、どうかしら?」
と、私が訊くとルアーナが「お恥ずかしいです」と苦笑する。
「大丈夫です。私とリンリィがしっかりと教えて差し上げますわ」
「わ、私もお願いします!」
「あ、わ、私も!」
ジェニーとミーリアが同じように挙手をした。フフフッ、みっちりスパルタしてあげますわ!
0
あなたにおすすめの小説
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします
未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢
十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう
好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ
傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する
今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
【完結】長男は悪役で次男はヒーローで、私はへっぽこ姫だけど死亡フラグは折って頑張ります!
くま
ファンタジー
2022年4月書籍化いたしました!
イラストレータはれんたさん。とても可愛いらしく仕上げて貰えて感謝感激です(*≧∀≦*)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
池に溺れてしまったこの国のお姫様、エメラルド。
あれ?ここって前世で読んだ小説の世界!?
長男の王子は悪役!?次男の王子はヒーロー!?
二人共あの小説のキャラクターじゃん!
そして私は……誰だ!!?え?すぐ死ぬキャラ!?何それ!兄様達はチート過ぎるくらい魔力が強いのに、私はなんてこった!!
へっぽこじゃん!?!
しかも家族仲、兄弟仲が……悪いよ!?
悪役だろうが、ヒーローだろうがみんな仲良くが一番!そして私はへっぽこでも生き抜いてみせる!!
とあるへっぽこ姫が家族と仲良くなる作戦を頑張りつつ、みんなに溺愛されまくるお話です。
※基本家族愛中心です。主人公も幼い年齢からスタートなので、恋愛編はまだ先かなと。
それでもよろしければエメラルド達の成長を温かく見守ってください!
※途中なんか残酷シーンあるあるかもなので、、、苦手でしたらごめんなさい
※不定期更新なります!
現在キャラクター達のイメージ図を描いてます。随時更新するようにします。
【完結】立場を弁えぬモブ令嬢Aは、ヒロインをぶっ潰し、ついでに恋も叶えちゃいます!
MEIKO
ファンタジー
最近まで死の病に冒されていたランドン伯爵家令嬢のアリシア。十六歳になったのを機に、胸をときめかせながら帝都学園にやって来た。「病も克服したし、今日からドキドキワクワクの学園生活が始まるんだわ!」そう思いながら一歩踏み入れた瞬間浮かれ過ぎてコケた。その時、突然奇妙な記憶が呼び醒まされる。見たこともない子爵家の令嬢ルーシーが、学園に通う見目麗しい男性達との恋模様を繰り広げる乙女ゲームの場面が、次から次へと思い浮かぶ。この記憶って、もしかして前世?かつての自分は、日本人の女子高生だったことを思い出す。そして目の前で転んでしまった私を心配そうに見つめる美しい令嬢キャロラインは、断罪される側の人間なのだと気付く…。「こんな見た目も心も綺麗な方が、そんな目に遭っていいいわけ!?」おまけに婚約者までもがヒロインに懸想していて、自分に見向きもしない。そう愕然としたアリシアは、自らキャロライン嬢の取り巻きAとなり、断罪を阻止し婚約者の目を覚まさせようと暗躍することを決める。ヒロインのヤロウ…赦すまじ!
笑って泣けるコメディです。この作品のアイデアが浮かんだ時、男女の恋愛以外には考えられず、BLじゃない物語は初挑戦です。貴族的表現を取り入れていますが、あくまで違う世界です。おかしいところもあるかと思いますが、ご了承下さいね。
【完結】ゲーム開始は自由の時! 乙女ゲーム? いいえ。ここは農業系ゲームの世界ですよ?
キーノ
ファンタジー
私はゲームの世界に転生したようです。主人公なのですが、前世の記憶が戻ったら、なんという不遇な状況。これもゲームで語られなかった裏設定でしょうか。
ある日、我が家に勝手に住み着いた平民の少女が私に罵声を浴びせて来ました。乙女ゲーム? ヒロイン? 訳が解りません。ここはファーミングゲームの世界ですよ?
自称妹の事は無視していたら、今度は食事に毒を盛られる始末。これもゲームで語られなかった裏設定でしょうか?
私はどんな辛いことも頑張って乗り越えて、ゲーム開始を楽しみにいたしますわ!
※紹介文と本編は微妙に違います。
完結いたしました。
感想うけつけています。
4月4日、誤字修正しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる