悪役令嬢同盟 ―転生したら悪役令嬢だった少女達の姦しい日々―

もいもいさん

文字の大きさ
204 / 314
第三章 悪役令嬢は学院生活を送る

205.悪役令嬢は王女と午後の発表を見る

しおりを挟む
 食事会を終えたわけだけど、いつメンとは殆ど会話をする暇も無く、時間的な問題もあってリンリィには「頑張ってね」の一言しか言えなかったけれども、彼女は優しく微笑んでいたので、心配はなさそうだった。

 そして、再びアリエルと特別観覧席に戻って来たわけだけど、アリエルの第一声は「はぁ、つまらない」だった。ま、公式な場での食事会なんてそういうモノだと思う。けれども、アリエルはアレだけの人数を笑顔で捌いたわけだから、その発言も納得だ。

「疲れたからって、居眠りとかしないでね」
「流石にそれはないから心配しなくていい」

 と、アリエルは楽し気にそう言う。けれども、ちゃんと見張っておくわよ。

「お、アーマリア侯爵とハーブスト公爵夫人のご登場だな」

 アリエルの言葉に私は「そうね」と、短く答え周囲のざわつきに視線を移す。今回、魔法競技大会でこういった催しが行われるのは異例で、学術関連の長であるリンリィの母親であるアーマリア侯爵が出てくることは誰も疑問には思わないだろうけれど、それにお母様がいることは普通の事では無いので、特に大人達の視線がお母様に集まっているのが分かる。

『今回、新しい学術的な発表がありましたので、王家の方からの依頼でこの時間を持たせて頂きました。こちらにおられるハーブスト公爵夫人、ステファニー様より発表が御座いますので、皆様、傾聴頂きたく思います』

 と、アーマリア侯爵は拡声器の魔道具をお母様に手渡そうとするが、お母様はにこやかにそれを断り、瞬時に魔法を発動させる。

『魔法技術大会ということですから、こちらの方がいいでしょう』

 拡声器の魔道具を使わずに会場の様々なところから自然にお母様の声が聴こえる。瞬時に多重発動された魔法――と、いうよりもこれは魔術と魔法が組み合わさったものだ。魔法の熟練者でも何が起こっているか即座に理解するのは難しいでしょうね。

『賢者サルバトーレの伝説にある言葉に『魔法とは無限の可能性を秘める技術だ』と、ありますが、魔術も同様に魔法と同じく無限の可能性を秘める技です。私が今使っている魔法も根幹部分は魔術の技術であり、今後、正式に応用魔術理論として発表させて頂きます。こちらに関してはミストリア学術議会での論文発表になりますので、ご興味のある方は是非にミストリア学術議会への問い合わせをよろしくお願いしますわ』

 お母様とアーマリア侯爵であるリンリィの母親はそう言って会場を後にする。もっと、解説とかをするのかと思っていたのに、なんというか――投げっぱなしジャーマンごとく、力強く話題だけ放り投げて去って行くというのは、反則ではないかしら。

「さすが伯母様――でなくて伯母上。面白いじゃないか、会場内に凄い数の魔法を瞬時に発動させて、ただの魔法では無く魔術の技術だと言って、後は学術議会に問い合わせろ。と、いうのは面白い以外に言葉が出てこぬ」
「確かに簡単には教えないわ。と、いう感じなんでしょ。お母様も更なる知識については継承可能な相手を絞るのは当然だし、今後、ミストリアがもっとまとまればあれでしょうけど」
「――なるほど。それは当然だな」

 と、私とアリエルは小声でそんなやり取りをしつつ、その後の様子を見守る――と、言っても何もすることは無いし、心配もしていない。

 そして、次に会場では学園長が上がって来る。今日の大会で久方ぶりに見た学園長だけど、相変わらず圧のある雰囲気がなんとも変わったお婆様よね。

「そういえば、あの学園長は母上達が若かりし頃、家庭教師をしていたらしいぞ。簡単に言えば魔法の師らしい」
「あら? そうなの?」
「うむ、母上から聞いた話だから、嘘偽りは無いだろう。因みに言えば『女王陛下の信奉者』と、呼ばれているらしい」

 それは初耳だ。

『皆様、特別な時間を楽しんで頂いていると思いますが、来年から教育指針の変更を行うことを発表させて頂く。今後、ハーブスト公爵夫人であるステファニー様が提唱する応用魔術理論の基礎について、授業を必修科目として学んで頂きます。また、こちらはまだ決まってはいませんが、高学でも同様に必修科目となると考えて頂きます』

 と、その後も長々と学園長は語っているけれど、応用魔術理論が必修科目になることで、ゲームであった授業関連の話が変わってくる可能性があるけれど、まぁ、そこはまた皆に情報共有しておかないといけないわね。

「そういえば、エステリアが目を掛けている者達はどこまで履修しているんだ?」
「そうね、まだ基礎部分ではあるけれど、小学で教わる程度の話は既に終わっていると思って貰えるかしら?」
「私と比べてはどうだ?」
「アリエルの方が理解出来ていると思うわよ。それに私達の場合はそこらへんの理解はある意味、反則チートだからね」

 アリエルやウィンディは苦手な傾向はあっても、基礎部分の理解は前世の記憶で簡単に受け入れれている事を考えると、この世界の人と比べて確実に突出しているのよね。まぁ、それを簡単に理解してしまうお母様が異常なだけなのよね。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

【完結】長男は悪役で次男はヒーローで、私はへっぽこ姫だけど死亡フラグは折って頑張ります!

くま
ファンタジー
2022年4月書籍化いたしました! イラストレータはれんたさん。とても可愛いらしく仕上げて貰えて感謝感激です(*≧∀≦*) ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 池に溺れてしまったこの国のお姫様、エメラルド。 あれ?ここって前世で読んだ小説の世界!? 長男の王子は悪役!?次男の王子はヒーロー!? 二人共あの小説のキャラクターじゃん! そして私は……誰だ!!?え?すぐ死ぬキャラ!?何それ!兄様達はチート過ぎるくらい魔力が強いのに、私はなんてこった!! へっぽこじゃん!?! しかも家族仲、兄弟仲が……悪いよ!? 悪役だろうが、ヒーローだろうがみんな仲良くが一番!そして私はへっぽこでも生き抜いてみせる!! とあるへっぽこ姫が家族と仲良くなる作戦を頑張りつつ、みんなに溺愛されまくるお話です。 ※基本家族愛中心です。主人公も幼い年齢からスタートなので、恋愛編はまだ先かなと。 それでもよろしければエメラルド達の成長を温かく見守ってください! ※途中なんか残酷シーンあるあるかもなので、、、苦手でしたらごめんなさい ※不定期更新なります! 現在キャラクター達のイメージ図を描いてます。随時更新するようにします。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします

未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢 十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう 好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ 傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する 今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった

悪役令嬢はモブ化した

F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。 しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す! 領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。 「……なんなのこれは。意味がわからないわ」 乙女ゲームのシナリオはこわい。 *注*誰にも前世の記憶はありません。 ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。 性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。 作者の趣味100%でダンジョンが出ました。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

処理中です...