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第三章 悪役令嬢は学院生活を送る
228.悪役令嬢は武闘大会に参加する その5
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次の試合はフィリアンヌとナイアスル男爵令息との試合になる。私は観覧席でマリーやリンリィ達と試合開始を待っている。
この試合が終わった後、昼食の為に休憩を挟んで準決勝が行わる予定らしい。時間的に考えたら決勝まで一日で全部出来るのでは無いかと思うけれど、まぁ、そういうスケジュールなのだから仕方ないわね。
「で、フィリアンヌはここで勝ったらルアーナと戦うのね」
「エステリア様は決勝に駒を進めるのはウィンディだと思っています?」
と、リンリィから真面目な質問をされ、私は少し考える。単純な強さで考えるとウィンディではあるのよね。でも、一撃の強さはルアーナの方があることを考えると実は彼女が勝つ可能性も無くは無いのよね。
「正直なところ、分からないわ。魔法アリの戦闘なら確実にウィンディなんだけどね。魔術はどちらかと言えば微妙だけど、魔法のセンスはかなり高いし」
「エステリア様でも分からない――と、いうことはルアーナ様って凄く強いのですか?」
「ええ、一撃の強さならそこいらの娘とは比べ物にならないわよ」
そう言うとマリーが興味深そうに「へぇ」と、声をあげた。
「そうなると、フィリアンヌ嬢は大変ですね。ここでナイアスル男爵令息に勝ったとしても、ルアーナと戦うわけでしょう?」
リンリィはそう言いながら身体強化で視力を上げ、会場に視線を向ける。
この世界では魔力量がある程度ある人間は皆、視力が思っている以上に良い傾向がある。目が悪いというのは稀ではあるけど、リンリィは目が相当悪いのは本人も言っていたほどなのよね。でも、彼女は身体強化によって視力強化が出来ることを知って物凄く喜んだらしい。
で、私は彼女が魔力量を伸ばした要因というのは四六時中、身体強化で視力を強化していたからではないかと思っている。
部分的な身体強化というのは実は結構難易度が高い。これが簡単に見えるように扱える者というのは近接戦闘や体術を扱うのに適している人間といえる。実はこの子鍛えたらヤベーんじゃない? と、いうリストに入っているナンバーワンなんだけど、性格が前衛前線には向いていない。と、いうことも理解っているので本人には言っていない。
「そろそろ始まりそうですね」
と、リンリィが言った後すぐに審判役の騎士が開始の合図を出し、フィリアンヌとナイアスル男爵令息が武器を構える。フィリアンヌは半身でロングソードを構え、ジリジリと相手の様子を見るように動く。ナイアスル男爵令息も同じ正統派タイプで同じような構えでお互いにジリジリとゆっくり動く。
なかなかの緊張感ではあるけど、ナイアスル男爵令息はしびれを切らしたのか気合の入った声で上段から叩きつけるように剣を振るう。フィリアンヌはうまくそれをロングソードでいなしながら、反撃の一撃を繰り出す――が、男爵令息は素早く後方に飛んでそれを躱した。
スピード自慢の子達なら、ここで確実に追撃を入れに動くところをフィリアンヌは再び剣をしっかりと構え、再びジリジリと動く。
その後も数度、お互いに攻め手に欠けるのか、同じようなやり取りを行う。
「なんとも、もどかしいですね……」
と、リンリィが苦笑しつつ言った。まぁ、お互いに攻め手に欠けてるというところはあるけれど、フィリアンヌの防御が上手く。下手に手を出すとカウンターで攻撃を貰いそうになる展開が続いている所為で、彼はかなり攻め辛いように見える。
「でも、フィリアンヌは意外と落ち着いているわ」
「そういえば、フィリアンヌに武器云々って言ってなかった?」
マリーが楽し気に言うとリンリィも興味深そうな視線を私に向ける。
「昨日の今日の話じゃない。そんなすぐに用意出来るモノでは無いわよ」
「ツーハンデットソードですよね? どんな機能を考えているんですか?」
と、リンリィの研究者魂に火を点けてしまったのか、キラキラした目でそう言った――まぁ、機能的にはそこまで考えては無かったけど、フィリアンヌの魔力量と傾向を考えれば、そこまで複雑な仕組みにはしない方がいいかもしれない。と、思うけれど……でも、取り敢えずの一本と考えて、シンプルで使いやすさを重視した方がいいかしら。
「出来るだけシンプルで丈夫な剣がいいかしらね。複雑な仕組みにすると、扱いが手間だし、魔力も多く使うしね」
「――なるほど。でも、術式的に省魔力設計で作るのは可能では無いですか?」
「んー、そこまでする意義があればね。やるとしたら、通常では封印しておいて、後から解放出来るような仕組みを入れておいた方がいいかしら?」
私の言葉にリンリィは感心したように「なるほど!」と、瞳を輝かせる。って、いうかマリー、なんでニヤニヤして見てるのよ!
この試合が終わった後、昼食の為に休憩を挟んで準決勝が行わる予定らしい。時間的に考えたら決勝まで一日で全部出来るのでは無いかと思うけれど、まぁ、そういうスケジュールなのだから仕方ないわね。
「で、フィリアンヌはここで勝ったらルアーナと戦うのね」
「エステリア様は決勝に駒を進めるのはウィンディだと思っています?」
と、リンリィから真面目な質問をされ、私は少し考える。単純な強さで考えるとウィンディではあるのよね。でも、一撃の強さはルアーナの方があることを考えると実は彼女が勝つ可能性も無くは無いのよね。
「正直なところ、分からないわ。魔法アリの戦闘なら確実にウィンディなんだけどね。魔術はどちらかと言えば微妙だけど、魔法のセンスはかなり高いし」
「エステリア様でも分からない――と、いうことはルアーナ様って凄く強いのですか?」
「ええ、一撃の強さならそこいらの娘とは比べ物にならないわよ」
そう言うとマリーが興味深そうに「へぇ」と、声をあげた。
「そうなると、フィリアンヌ嬢は大変ですね。ここでナイアスル男爵令息に勝ったとしても、ルアーナと戦うわけでしょう?」
リンリィはそう言いながら身体強化で視力を上げ、会場に視線を向ける。
この世界では魔力量がある程度ある人間は皆、視力が思っている以上に良い傾向がある。目が悪いというのは稀ではあるけど、リンリィは目が相当悪いのは本人も言っていたほどなのよね。でも、彼女は身体強化によって視力強化が出来ることを知って物凄く喜んだらしい。
で、私は彼女が魔力量を伸ばした要因というのは四六時中、身体強化で視力を強化していたからではないかと思っている。
部分的な身体強化というのは実は結構難易度が高い。これが簡単に見えるように扱える者というのは近接戦闘や体術を扱うのに適している人間といえる。実はこの子鍛えたらヤベーんじゃない? と、いうリストに入っているナンバーワンなんだけど、性格が前衛前線には向いていない。と、いうことも理解っているので本人には言っていない。
「そろそろ始まりそうですね」
と、リンリィが言った後すぐに審判役の騎士が開始の合図を出し、フィリアンヌとナイアスル男爵令息が武器を構える。フィリアンヌは半身でロングソードを構え、ジリジリと相手の様子を見るように動く。ナイアスル男爵令息も同じ正統派タイプで同じような構えでお互いにジリジリとゆっくり動く。
なかなかの緊張感ではあるけど、ナイアスル男爵令息はしびれを切らしたのか気合の入った声で上段から叩きつけるように剣を振るう。フィリアンヌはうまくそれをロングソードでいなしながら、反撃の一撃を繰り出す――が、男爵令息は素早く後方に飛んでそれを躱した。
スピード自慢の子達なら、ここで確実に追撃を入れに動くところをフィリアンヌは再び剣をしっかりと構え、再びジリジリと動く。
その後も数度、お互いに攻め手に欠けるのか、同じようなやり取りを行う。
「なんとも、もどかしいですね……」
と、リンリィが苦笑しつつ言った。まぁ、お互いに攻め手に欠けてるというところはあるけれど、フィリアンヌの防御が上手く。下手に手を出すとカウンターで攻撃を貰いそうになる展開が続いている所為で、彼はかなり攻め辛いように見える。
「でも、フィリアンヌは意外と落ち着いているわ」
「そういえば、フィリアンヌに武器云々って言ってなかった?」
マリーが楽し気に言うとリンリィも興味深そうな視線を私に向ける。
「昨日の今日の話じゃない。そんなすぐに用意出来るモノでは無いわよ」
「ツーハンデットソードですよね? どんな機能を考えているんですか?」
と、リンリィの研究者魂に火を点けてしまったのか、キラキラした目でそう言った――まぁ、機能的にはそこまで考えては無かったけど、フィリアンヌの魔力量と傾向を考えれば、そこまで複雑な仕組みにはしない方がいいかもしれない。と、思うけれど……でも、取り敢えずの一本と考えて、シンプルで使いやすさを重視した方がいいかしら。
「出来るだけシンプルで丈夫な剣がいいかしらね。複雑な仕組みにすると、扱いが手間だし、魔力も多く使うしね」
「――なるほど。でも、術式的に省魔力設計で作るのは可能では無いですか?」
「んー、そこまでする意義があればね。やるとしたら、通常では封印しておいて、後から解放出来るような仕組みを入れておいた方がいいかしら?」
私の言葉にリンリィは感心したように「なるほど!」と、瞳を輝かせる。って、いうかマリー、なんでニヤニヤして見てるのよ!
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