悪役令嬢同盟 ―転生したら悪役令嬢だった少女達の姦しい日々―

もいもいさん

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第三章 悪役令嬢は学院生活を送る

243.悪役令嬢は王女の誕生日を祝う

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「アリエル王女殿下、我らハーブスト公爵家一同お祝い申し上げる。日々、ご成長される御姿に我々も未来のミストリアに希望を感じざるを得ません」

 と、お父様は何だかなぁ。と、言いたくなるような言葉をスラスラと言った。うん、お父様って外交交渉とか、調略が専門だったわ。

「ハーブスト公爵の皆からの言葉も様々な品も本当に心から感謝する」
「いえいえ、私は何もしておりませんが、我が愛する妻や娘達が頑張った物ですので、大事にお使いください。それでは他の者達も控えているでしょうから、それでは――」

 そうお父様が言って、私達も臣下の礼を再度取ってから壇上から下がる。最後にアリエルが小さく私に「後でな」と、言ったのでニコリと微笑むことで返答しておいた。

 その後も次々と貴族達が挨拶に向かうわけだけど、当然、挨拶を行えるのは順位順で且つここに挨拶にこれるのは子爵家までで、特別な理由がない限りは男爵、準男爵、騎士爵などの貴族家はそもそも呼ばれていない。

 昔はこういう催しに男爵家も呼ばれていたらしいけど、男爵家の多くは領地を持たず、上位の貴族家の家臣として立場の者が多い為に呼ばれなくなった。と、いうのが正しい。まぁ、控室までは多くの家の者は来ていたりはするけど、会場に来ている場合というのは、王城で働いている執事やメイド、近衛騎士とかになるわけで、直に会って挨拶をする立場とは少し違うかな。

 今回のお茶会はかなり格式ばった形式になっていて、まず参加者全員が壇上へ挨拶へ向かう。その後、お茶会の本会場である庭園へ移動して、そこで準備されているテーブルに着席しお茶をして、その後、解散となる。解散後は下位貴族から順に退出して行って、最後に公爵家が退出し、このお茶会は終了となる。

 各貴族家が交流をするタイミングは王族が登場する前と庭園へ移動する間、解散となった後に馬車を待つ間くらいになる。この形式のお茶会はかなり古くから行われている形式で、立太子の生誕祭などではよくある形らしい。本来はクリフト殿下と同じようなカジュアル? な催しにする予定だったらしいけど、ヴィジタリア公とリブロス侯爵がこの形にするように推したらしい。

 なんとも意図が見えないけど、キチンとした形式のお茶会を行うのはアリエルにとっても悪い事じゃないし、私にとっても良い事だと思う。いや、クリフト殿下が出席となると、色々と面倒だったかもしれない。

 まぁ、そんなこんなでアリエルの誕生日のお茶会の一次会は終わりを迎え、会場を後にしたところで、アリエル付の近衛に呼ばれ、お母様と共に王城にある離宮へ移動する。

「お母様、お忙しいのに私に付き合って王城に残っても大丈夫だったのですか?」
「ええ、気になくてもいいわよ。私達もこの後、貴女達と同様にキャロルとお茶会予定ですからね」

 なるほど、お母様も母親同士でお茶会という流れなのね。まぁ、今回、お母様が使っていた離宮を借りれたのはお母様様様だ。アリエルの離宮はここまで広くなく、お母様の離宮は元々はお母様のお婆様にあたる先々代のミストリアの女王が使っていた場所らしくて、離宮の中では相当広い部類らしいのだけど、何故お母様がこんな広い離宮を使っていたかと言うと、元々は姉妹で暮らす離宮だったから――だ、そうだ。

 この世界では双子が忌子という風習は無いらしいのだけど、まぁ、そういう不可思議なところはなんともご都合主義的な世界構築だと思いつつも考えないようにしている。

「では、私は客間を使っているから、何か問題があれば言いなさい」
「はい。では、私も行ってきますね」
「ええ、楽しんでらっしゃいな」

 と、私はお母様と別れて、二次会会場へ案内される。

 会場であるお母様の離宮の庭には既に今回招待された者達が所定のテーブルに着いて凄く緊張した雰囲気で座っていた。因みにイツメンに限っては会場の空気にやや飲まれた感じで私が現れたことで表情を緩めた。

 今回のテーブル割りはアリエルの仕切りなのだけど、なんだか巨大企業の会議テーブルみたいな感じに設置されているので、それは――緊張もしちゃうわ。と、思いつつ、私に用意されている席へ向かい、案内をしてくれたメイドにお礼を伝えてから、着席する。

 私の隣の席だけが空いている事を考えると、隣の席はアリエルなんでしょうね。うーん、この席の配置で言えば、私はナンバーツーの位置なんだけど、なんだろう? このしっくりこない感じ。

 そんな事を考えながら周囲を見回していると、誕生日のお茶会とはまた別のドレスに着替えたアリエルがやって来る。結構な早着替えではないかしら?

「皆、待たせたな。今日は私の茶会に出席した者達、今回の招待に応えてくれた者達には本当に感謝する」

 そう言いながら、彼女は私の隣に座る。

「さて、この会は気軽なモノと思って欲しい。まずはゆっくりと茶を楽しんで欲しい」

 アリエルの言葉に大勢のメイド達が素早く配膳を行い、目の前には次々とお菓子などが並べられる。と、言っても我が家が提供しているお菓子なので内容も知っているので、残念ながら私には驚きは無い。これは少しだけ悲しいところではあるけど、我が家の頑張りが分かる人には分かるだろう。

「それにしても、態々着替えて来たのね」
「流石にあのドレスを汚したり皺にしたら、母上にシバかれ――んんっ、怒られてしまう」

 一応、色々と配慮した結果なのね。

「あのドレス、派手ではあったけど、似合ってたわよ」
「ふふーん、であろう? アレは母上が私くらいの頃に着たものを直したのだ。中々に良い布地を使っているし、着心地も悪くなかった。素晴らしい一品だったぞ。あ、そうだ。リアから貰ったアレは本当に素晴らしいな。思わずあそこに暫く住みたいと思ったほどだ」
「出来れば、使うことが無いようにしたいところだけどね」

 と、言いながら、アリエルは普段使いするのだろうな――と、思いつつ。我が家も普段使いしているから、実のところなとも言えない。

「まぁ、喜んで貰えたなら送った甲斐があったわ。あ、そうだ、誕生日おめでとう」
「うむ。ちと遅いが特別に許そう」

 そう言いながら彼女は全員にお菓子とお茶が行き渡ったのを確認して、敢えて席を立ち会場に綺麗な声を響かせる。
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