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第三章 悪役令嬢は学院生活を送る
249.悪役令嬢はバーレモントの大穴に訪れる
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アリエルの誕生日を祝うお茶会の後日、私は女王キャロラインからの依頼で王都から最も近い位置にある魔導洞窟であるバーレモントの大穴にやって来ていた。
今回はクーベルト閣下が必死に探した魔導洞窟の隠し部屋を発見したという事から、その場所に向かって、管理者権限をもぎ取るのが目的となる。なお、メンツは私、お母様、クーベルト閣下、ランパート公その他大勢という感じになっている。
因みにその他大勢というのは近衛騎士だったり、閣下の部下だったり、なんだけど、ハーブスト公爵家からはお母様の専属メイドであるバネッサとエルーサだけなんだけど、これにはランパート公が問題があるのではないかと言っていたけれど、お母様は笑顔で『公は私の専属メイドを侮辱するのかしら?』と、圧を掛けて黙らせていた。
「兄上、申し訳ないが第三層までは近衛が付いて来るのは構わないのですが、第四層からは少人数で向かわねばなりませんから、ご注意ください」
「ああ、分かっている。私の護衛はディルが勤めてくれるのだろう?」
「まぁ、そうなりますかね」
と、クーベルト閣下は少し面白くなさそうな雰囲気でそう言った。思ったより兄弟仲って良く無いのかしら?
などと私は思いつつも、この場に子供は私だけという状況に微妙な気持ちになる。まぁ、アリエルも来たがったのだけど、さすがに女王キャロラインから許可は下りなかった。その代わりという形でランパート公が来ることになったのだけど、それはそれで面倒臭いなぁ。と、思わず思ってしまった。
まぁ、でもランパート公もかなり忙しいみたいだし、態々王族が来るということはそれだけ、今回のことを重要視しているという意味でもあるわね。
「お母様。第四層からは作りが随分と変わると聞いていますが、お母様はかなり深いところまで降りたことがあるのですよね?」
「ええ、ここバーレモントの大穴は三層ごとに魔導洞窟の様相が変わる場所になるわ。第三層までは広い場所が多いから騎士団の訓練にもいいわけですけどね。第四層から第六層まではとても狭い迷宮になっているわ。第七層から第九層までは複雑な構造の迷宮になっているのだけど――クーベルト卿ならば知っているから、彼に訊いた方がいいかしらね?」
と、お母様が言うとクーベルト閣下は「――そうですね」と、いいながらチラリと私とお母様に視線を向ける。私はお母様と視線を合わせ、ソッと結界の魔道具を最小範囲で起動した。
「エステリア嬢、助かる。周囲に訊かれると面倒なこともあるので」
「いいえ、問題ございません。そもそも、ここに来た目的自体が口外無用の案件ですからね」
お母様が落ち着いた雰囲気でそう言いながらスッと扇を広げる。
「流石というところか。私もその魔道具が欲しいのだが――どうにもキャロルも良い返事をくれないし、私が何かしたのか?」
「別にランパート公を信用していないわけでは無いでしょう? そもそも、貴方の側にはアチラ側の者がいるからでしょう?」
「――まぁ、その件に関してはなんとも。だな……流石に処分も出来ぬし、私だって困っているのだ。まぁ、それはキャロルにしてもだがね」
と、ランパート公は苦笑しながらそう言った。どれだけパルプスト公爵に近しい者がいても、簡単に排除出来ないのは困りものだものね。
「それに、結界の魔道具を何度も使って密談をしても、それはそれで問題になるでしょうし、判断が難しいところなのも理解出来るでしょう」
「まぁ、それはそうだな。最近のキャロルは多用し過ぎている節もある。そこはステファニーの方からも注意しておくようにお願いするよ。まったく、私は常に板挟みで神経をすり減らしておるのだ」
「それにしては、秘密の会合で旦那様と楽しく過ごしているように思いますが?」
「それくらいは許して欲しいところだよ。それにハーブストやレシアスが次々に美味い酒を造るのが悪い」
ランパート公は少し拗ねた風にそう言いながらも、楽しそうだ。
「兄上の酒好きも困ったものですね」
「そう言ってくれるな――っと、脱線していてはいかんぞ」
「――ですね。第七層から第九層はステファニー様が言ったようにかなり複雑な構造の階層になっていて、狭い通路や扉、階段などが複雑に絡み合う場所になっているのです。で、その第九層に隠し部屋を見つけました。アンダンテール大洞窟と同じような雰囲気の仕掛けになっていたのですが、私達はそこには入らずに印だけつけて撤退しました。何もなければ、今もその場所に隠し部屋があるハズです」
と、閣下は言った。確かに何もなければ――なんだろうなぁ。まぁ、さすがにコロコロと魔導洞窟の構造が変わる場所というのは困るよね。アンダンテール大洞窟が少し特殊なのもあるだろうけど。
「そこに我々全員が入る――と、いうことになるのか?」
ランパート公は少し考えるような仕草をしながらそう言う。確かに全員入るのは不安があるけれど、そこはお母様の判断というところなのかしら?
「流石に全員が入るのは問題があると思いますので、私と娘だけが入ります。そうですね……そこから二刻ほど、何も無ければ二人は一度撤退するようにお願いします」
「まぁ、アンダンテール大洞窟と同じモノであれば、特に大きな問題は起こらないと思いますけどね」
と、私は一応フォローしておく。そこは賢人サルバトーレ次第なところはあるだろうけどね。
今回はクーベルト閣下が必死に探した魔導洞窟の隠し部屋を発見したという事から、その場所に向かって、管理者権限をもぎ取るのが目的となる。なお、メンツは私、お母様、クーベルト閣下、ランパート公その他大勢という感じになっている。
因みにその他大勢というのは近衛騎士だったり、閣下の部下だったり、なんだけど、ハーブスト公爵家からはお母様の専属メイドであるバネッサとエルーサだけなんだけど、これにはランパート公が問題があるのではないかと言っていたけれど、お母様は笑顔で『公は私の専属メイドを侮辱するのかしら?』と、圧を掛けて黙らせていた。
「兄上、申し訳ないが第三層までは近衛が付いて来るのは構わないのですが、第四層からは少人数で向かわねばなりませんから、ご注意ください」
「ああ、分かっている。私の護衛はディルが勤めてくれるのだろう?」
「まぁ、そうなりますかね」
と、クーベルト閣下は少し面白くなさそうな雰囲気でそう言った。思ったより兄弟仲って良く無いのかしら?
などと私は思いつつも、この場に子供は私だけという状況に微妙な気持ちになる。まぁ、アリエルも来たがったのだけど、さすがに女王キャロラインから許可は下りなかった。その代わりという形でランパート公が来ることになったのだけど、それはそれで面倒臭いなぁ。と、思わず思ってしまった。
まぁ、でもランパート公もかなり忙しいみたいだし、態々王族が来るということはそれだけ、今回のことを重要視しているという意味でもあるわね。
「お母様。第四層からは作りが随分と変わると聞いていますが、お母様はかなり深いところまで降りたことがあるのですよね?」
「ええ、ここバーレモントの大穴は三層ごとに魔導洞窟の様相が変わる場所になるわ。第三層までは広い場所が多いから騎士団の訓練にもいいわけですけどね。第四層から第六層まではとても狭い迷宮になっているわ。第七層から第九層までは複雑な構造の迷宮になっているのだけど――クーベルト卿ならば知っているから、彼に訊いた方がいいかしらね?」
と、お母様が言うとクーベルト閣下は「――そうですね」と、いいながらチラリと私とお母様に視線を向ける。私はお母様と視線を合わせ、ソッと結界の魔道具を最小範囲で起動した。
「エステリア嬢、助かる。周囲に訊かれると面倒なこともあるので」
「いいえ、問題ございません。そもそも、ここに来た目的自体が口外無用の案件ですからね」
お母様が落ち着いた雰囲気でそう言いながらスッと扇を広げる。
「流石というところか。私もその魔道具が欲しいのだが――どうにもキャロルも良い返事をくれないし、私が何かしたのか?」
「別にランパート公を信用していないわけでは無いでしょう? そもそも、貴方の側にはアチラ側の者がいるからでしょう?」
「――まぁ、その件に関してはなんとも。だな……流石に処分も出来ぬし、私だって困っているのだ。まぁ、それはキャロルにしてもだがね」
と、ランパート公は苦笑しながらそう言った。どれだけパルプスト公爵に近しい者がいても、簡単に排除出来ないのは困りものだものね。
「それに、結界の魔道具を何度も使って密談をしても、それはそれで問題になるでしょうし、判断が難しいところなのも理解出来るでしょう」
「まぁ、それはそうだな。最近のキャロルは多用し過ぎている節もある。そこはステファニーの方からも注意しておくようにお願いするよ。まったく、私は常に板挟みで神経をすり減らしておるのだ」
「それにしては、秘密の会合で旦那様と楽しく過ごしているように思いますが?」
「それくらいは許して欲しいところだよ。それにハーブストやレシアスが次々に美味い酒を造るのが悪い」
ランパート公は少し拗ねた風にそう言いながらも、楽しそうだ。
「兄上の酒好きも困ったものですね」
「そう言ってくれるな――っと、脱線していてはいかんぞ」
「――ですね。第七層から第九層はステファニー様が言ったようにかなり複雑な構造の階層になっていて、狭い通路や扉、階段などが複雑に絡み合う場所になっているのです。で、その第九層に隠し部屋を見つけました。アンダンテール大洞窟と同じような雰囲気の仕掛けになっていたのですが、私達はそこには入らずに印だけつけて撤退しました。何もなければ、今もその場所に隠し部屋があるハズです」
と、閣下は言った。確かに何もなければ――なんだろうなぁ。まぁ、さすがにコロコロと魔導洞窟の構造が変わる場所というのは困るよね。アンダンテール大洞窟が少し特殊なのもあるだろうけど。
「そこに我々全員が入る――と、いうことになるのか?」
ランパート公は少し考えるような仕草をしながらそう言う。確かに全員入るのは不安があるけれど、そこはお母様の判断というところなのかしら?
「流石に全員が入るのは問題があると思いますので、私と娘だけが入ります。そうですね……そこから二刻ほど、何も無ければ二人は一度撤退するようにお願いします」
「まぁ、アンダンテール大洞窟と同じモノであれば、特に大きな問題は起こらないと思いますけどね」
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