277 / 314
第四章 悪役令嬢は王女と共に戦場を駆ける
278.悪役令嬢はアンサルド砦に書状を送る
しおりを挟む
「正直、新型で撃ち抜けるとは思うけど、効果的な方法は他にあると思うわよ」
と、私は空間収納から魔銃を取り出す。
「なるほど――逆に威力高すぎでは無いか?」
「その辺りはアリエルが調整するところでしょ?」
そう言って二人でニヤリと笑っていると、リンリィが小さく吹き出した。
「どうしたのだリンリィ」
「そうよ?」
「いえ、だって――二人とも悪役っぽかったので、つい、失礼しました」
と、言いながらも随分とツボだったようで、ちょっとプルプルしていた。失礼しちゃうわね――と、思いつつも、まぁ、悪役令嬢だし、問題無いかな?
「ふふっ、悪役結構じゃないか――スーリアルを恐怖のどん底へ落としてやろうじゃないか」
アリエルはそう言った後に「あっ」と、小さく言ってから小さく咳払いする。
「エステリア、ソイツを私に貸してくれ。よく考えたら長距離用の魔銃は持っておらん」
「あれ? 渡しておいたと思ったけれど……」
「アレはナスターシアが持っておる。魔銃の練習にもアレは扱いが良いからな」
なんとも、勝手に人に渡していたらしい。まぁ、ナスターシアなら全然問題無いっちゃないんだけど――と、私は予備の魔銃を取り出してアリエルに手渡す。彼女は可愛らしい笑みで受け取って空間収納に入れる。
「助かる。では、まずは使者を送るか。書状を書くから――そうだな、ダンディバル卿を呼んでくれ」
そう言うとナスターシアが「畏まりました」と、素早くその場を立ち去る。そして、しばらくして額の汗を拭いながらダンが現れる。
「お呼びでしょうか?」
「ダンディバル卿、少しお待ち頂けるかしら? 今、アリエルは書状をしたためているので」
「書状――ですかい?」
そう言いながら、流石に閣下の部下というところ、話し方は砕けた感はあるけれど、キチンと騎士らしい立ち居振る舞いがある。
そして、机に向かって、小さく「むぅむぅ」言いながら書状を書き終えたアリエルはまず私に手渡してくる。
「こんな感じでどうだ?」
と、取り敢えず意見を聞かれ、内容を確認する――ふむふむ、要約すれば今日中に無血開城しなければ攻撃をするぞ。出来れば、即座に砦からパーレンダムへ引け。って、感じね。悪くないんじゃないかしらね。もう少し猶予を与えてもいいような気もするけど、まぁ、ここで何日も使うのもってことかな。
「いいんじゃないかしら?」
私はそう答えながら書状をアリエルに返すと、彼女は再度内容を確認した上でナスターシアに手渡すと、彼女は素早く書箱へそれを写し、リボンで封をし、それをダンディバル卿へ手渡す。
「他に数名舐められては困るから、出来るだけ男を連れていけ。それと、相手は随分とこちらを舐めているから、無礼な態度は許すな。無体をしてくるようなら、主らだけで制圧しても構わん」
「――畏まりました、王女殿下。即座に準備をして出立いたします」
と、ダンはそう言って立ち去ろうとしたのを私が声を掛けて止める。
「お嬢、な、何かありましたか?」
「通信機が扱える者を付け――いいえ、エルーサ。ダンディバル卿の補佐に付きなさい。問題が起こった場合でも絶対に死ぬようなことは許しません」
「――畏まりました、お嬢様」
「ってか、まぁ、エルーサ殿の腕前であれば、百人力ですかな。ただ、いいんですかい? あっちさんは女性蔑視が強いってどころじゃ無いですぜ?」
ダンは心配そうにそう言うけど、余程の騙し討ちで無い限りは大丈夫だと私は思っている。それにエルーサを入れる事で、ある程度、ダンが選ぶ面子が想像出来るし。
「問題があれば、ダンが責任を取ってくれるでしょ?」
「ちょ、待ってくだせぇ――んんっ、失礼しました。お嬢、責任取るのは勘弁なんで、最悪、こっちで敵さんを制圧する方向で動きやすんで、じゃ、急ぎますんで!!!」
と、ダンは逃げるように去って行き、エルーサは静かに笑いつつ、その後を付いて行った。
「また、待ち時間になってしまったが、取り敢えず馬車の中へ戻るか」
「そうね」
そんなやり取りをしてから、私達は馬車内の司令官室へ戻る。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
丁度、2時間ほど後にダンが戻って来た旨の連絡――と、いうより司令官室にエルーサがダンを連れて戻って来た。
「おお、どうだった?」
と、アリエルがだらけていたのを誤魔化すようにソファから立ち上がり声をあげた。因みにリンリィが笑いを堪えているのはいつもの感じだけど、そろそろ慣れようね?
「いやぁ、あっちさん――砦の堅牢さを声高々にしてやして、話にならんということで、戻って来ました」
「んー、理解出来ていないと?」
「そのような感じですね。因みにザッと見た感じ、規模的に2千人といった感じではあるんですが、正規の兵は随分と少ないように見受けられました」
流石、一流の斥候ね。キチンと情報収集もした上での話なんでしょうね。
「はぁ、仕方あるまい。一応、明日の朝イチでやるか。書状に認めた通りにせねばいかんだろうしな。ご苦労だったダンディバル卿。ボーナスは後で請求するようにしてくれ。ああ、それからダンディバル卿には悪いが、ミルレーンに夜襲を警戒するように伝えておいてくれ」
「ハッ、畏まりました」
と、ダンは臣下の礼を取ってから司令官室から出て行く。
「ふむ。やらねばならんか――やっぱり、という気持ちが先に立ってしまったが、仕方なしだな」
アリエルはそう言いながら小さく溜息を吐くのだった。
と、私は空間収納から魔銃を取り出す。
「なるほど――逆に威力高すぎでは無いか?」
「その辺りはアリエルが調整するところでしょ?」
そう言って二人でニヤリと笑っていると、リンリィが小さく吹き出した。
「どうしたのだリンリィ」
「そうよ?」
「いえ、だって――二人とも悪役っぽかったので、つい、失礼しました」
と、言いながらも随分とツボだったようで、ちょっとプルプルしていた。失礼しちゃうわね――と、思いつつも、まぁ、悪役令嬢だし、問題無いかな?
「ふふっ、悪役結構じゃないか――スーリアルを恐怖のどん底へ落としてやろうじゃないか」
アリエルはそう言った後に「あっ」と、小さく言ってから小さく咳払いする。
「エステリア、ソイツを私に貸してくれ。よく考えたら長距離用の魔銃は持っておらん」
「あれ? 渡しておいたと思ったけれど……」
「アレはナスターシアが持っておる。魔銃の練習にもアレは扱いが良いからな」
なんとも、勝手に人に渡していたらしい。まぁ、ナスターシアなら全然問題無いっちゃないんだけど――と、私は予備の魔銃を取り出してアリエルに手渡す。彼女は可愛らしい笑みで受け取って空間収納に入れる。
「助かる。では、まずは使者を送るか。書状を書くから――そうだな、ダンディバル卿を呼んでくれ」
そう言うとナスターシアが「畏まりました」と、素早くその場を立ち去る。そして、しばらくして額の汗を拭いながらダンが現れる。
「お呼びでしょうか?」
「ダンディバル卿、少しお待ち頂けるかしら? 今、アリエルは書状をしたためているので」
「書状――ですかい?」
そう言いながら、流石に閣下の部下というところ、話し方は砕けた感はあるけれど、キチンと騎士らしい立ち居振る舞いがある。
そして、机に向かって、小さく「むぅむぅ」言いながら書状を書き終えたアリエルはまず私に手渡してくる。
「こんな感じでどうだ?」
と、取り敢えず意見を聞かれ、内容を確認する――ふむふむ、要約すれば今日中に無血開城しなければ攻撃をするぞ。出来れば、即座に砦からパーレンダムへ引け。って、感じね。悪くないんじゃないかしらね。もう少し猶予を与えてもいいような気もするけど、まぁ、ここで何日も使うのもってことかな。
「いいんじゃないかしら?」
私はそう答えながら書状をアリエルに返すと、彼女は再度内容を確認した上でナスターシアに手渡すと、彼女は素早く書箱へそれを写し、リボンで封をし、それをダンディバル卿へ手渡す。
「他に数名舐められては困るから、出来るだけ男を連れていけ。それと、相手は随分とこちらを舐めているから、無礼な態度は許すな。無体をしてくるようなら、主らだけで制圧しても構わん」
「――畏まりました、王女殿下。即座に準備をして出立いたします」
と、ダンはそう言って立ち去ろうとしたのを私が声を掛けて止める。
「お嬢、な、何かありましたか?」
「通信機が扱える者を付け――いいえ、エルーサ。ダンディバル卿の補佐に付きなさい。問題が起こった場合でも絶対に死ぬようなことは許しません」
「――畏まりました、お嬢様」
「ってか、まぁ、エルーサ殿の腕前であれば、百人力ですかな。ただ、いいんですかい? あっちさんは女性蔑視が強いってどころじゃ無いですぜ?」
ダンは心配そうにそう言うけど、余程の騙し討ちで無い限りは大丈夫だと私は思っている。それにエルーサを入れる事で、ある程度、ダンが選ぶ面子が想像出来るし。
「問題があれば、ダンが責任を取ってくれるでしょ?」
「ちょ、待ってくだせぇ――んんっ、失礼しました。お嬢、責任取るのは勘弁なんで、最悪、こっちで敵さんを制圧する方向で動きやすんで、じゃ、急ぎますんで!!!」
と、ダンは逃げるように去って行き、エルーサは静かに笑いつつ、その後を付いて行った。
「また、待ち時間になってしまったが、取り敢えず馬車の中へ戻るか」
「そうね」
そんなやり取りをしてから、私達は馬車内の司令官室へ戻る。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
丁度、2時間ほど後にダンが戻って来た旨の連絡――と、いうより司令官室にエルーサがダンを連れて戻って来た。
「おお、どうだった?」
と、アリエルがだらけていたのを誤魔化すようにソファから立ち上がり声をあげた。因みにリンリィが笑いを堪えているのはいつもの感じだけど、そろそろ慣れようね?
「いやぁ、あっちさん――砦の堅牢さを声高々にしてやして、話にならんということで、戻って来ました」
「んー、理解出来ていないと?」
「そのような感じですね。因みにザッと見た感じ、規模的に2千人といった感じではあるんですが、正規の兵は随分と少ないように見受けられました」
流石、一流の斥候ね。キチンと情報収集もした上での話なんでしょうね。
「はぁ、仕方あるまい。一応、明日の朝イチでやるか。書状に認めた通りにせねばいかんだろうしな。ご苦労だったダンディバル卿。ボーナスは後で請求するようにしてくれ。ああ、それからダンディバル卿には悪いが、ミルレーンに夜襲を警戒するように伝えておいてくれ」
「ハッ、畏まりました」
と、ダンは臣下の礼を取ってから司令官室から出て行く。
「ふむ。やらねばならんか――やっぱり、という気持ちが先に立ってしまったが、仕方なしだな」
アリエルはそう言いながら小さく溜息を吐くのだった。
0
あなたにおすすめの小説
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
【完結】長男は悪役で次男はヒーローで、私はへっぽこ姫だけど死亡フラグは折って頑張ります!
くま
ファンタジー
2022年4月書籍化いたしました!
イラストレータはれんたさん。とても可愛いらしく仕上げて貰えて感謝感激です(*≧∀≦*)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
池に溺れてしまったこの国のお姫様、エメラルド。
あれ?ここって前世で読んだ小説の世界!?
長男の王子は悪役!?次男の王子はヒーロー!?
二人共あの小説のキャラクターじゃん!
そして私は……誰だ!!?え?すぐ死ぬキャラ!?何それ!兄様達はチート過ぎるくらい魔力が強いのに、私はなんてこった!!
へっぽこじゃん!?!
しかも家族仲、兄弟仲が……悪いよ!?
悪役だろうが、ヒーローだろうがみんな仲良くが一番!そして私はへっぽこでも生き抜いてみせる!!
とあるへっぽこ姫が家族と仲良くなる作戦を頑張りつつ、みんなに溺愛されまくるお話です。
※基本家族愛中心です。主人公も幼い年齢からスタートなので、恋愛編はまだ先かなと。
それでもよろしければエメラルド達の成長を温かく見守ってください!
※途中なんか残酷シーンあるあるかもなので、、、苦手でしたらごめんなさい
※不定期更新なります!
現在キャラクター達のイメージ図を描いてます。随時更新するようにします。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
悪役令嬢はモブ化した
F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。
しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す!
領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。
「……なんなのこれは。意味がわからないわ」
乙女ゲームのシナリオはこわい。
*注*誰にも前世の記憶はありません。
ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。
性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。
作者の趣味100%でダンジョンが出ました。
ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします
未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢
十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう
好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ
傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する
今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる