悪役令嬢同盟 ―転生したら悪役令嬢だった少女達の姦しい日々―

もいもいさん

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第四章 悪役令嬢は王女と共に戦場を駆ける

278.悪役令嬢はアンサルド砦に書状を送る

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「正直、新型で撃ち抜けるとは思うけど、効果的な方法は他にあると思うわよ」

 と、私は空間収納アイテムボックスから魔銃を取り出す。

「なるほど――逆に威力高すぎでは無いか?」
「その辺りはアリエルが調整するところでしょ?」

 そう言って二人でニヤリと笑っていると、リンリィが小さく吹き出した。

「どうしたのだリンリィ」
「そうよ?」
「いえ、だって――二人とも悪役っぽかったので、つい、失礼しました」

 と、言いながらも随分とツボだったようで、ちょっとプルプルしていた。失礼しちゃうわね――と、思いつつも、まぁ、悪役令嬢だし、問題無いかな?

「ふふっ、悪役結構じゃないか――スーリアルを恐怖のどん底へ落としてやろうじゃないか」

 アリエルはそう言った後に「あっ」と、小さく言ってから小さく咳払いする。

「エステリア、ソイツを私に貸してくれ。よく考えたら長距離ロングレンジ用の魔銃は持っておらん」
「あれ? 渡しておいたと思ったけれど……」
「アレはナスターシアが持っておる。魔銃の練習にもアレは扱いが良いからな」

 なんとも、勝手に人に渡していたらしい。まぁ、ナスターシアなら全然問題無いっちゃないんだけど――と、私は予備の魔銃を取り出してアリエルに手渡す。彼女は可愛らしい笑みで受け取って空間収納アイテムボックスに入れる。

「助かる。では、まずは使者を送るか。書状を書くから――そうだな、ダンディバル卿を呼んでくれ」

 そう言うとナスターシアが「畏まりました」と、素早くその場を立ち去る。そして、しばらくして額の汗を拭いながらダンが現れる。

「お呼びでしょうか?」
「ダンディバル卿、少しお待ち頂けるかしら? 今、アリエルは書状をしたためているので」
「書状――ですかい?」

 そう言いながら、流石に閣下の部下というところ、話し方は砕けた感はあるけれど、キチンと騎士らしい立ち居振る舞いがある。

 そして、机に向かって、小さく「むぅむぅ」言いながら書状を書き終えたアリエルはまず私に手渡してくる。

「こんな感じでどうだ?」

 と、取り敢えず意見を聞かれ、内容を確認する――ふむふむ、要約すれば今日中に無血開城しなければ攻撃をするぞ。出来れば、即座に砦からパーレンダムへ引け。って、感じね。悪くないんじゃないかしらね。もう少し猶予を与えてもいいような気もするけど、まぁ、ここで何日も使うのもってことかな。

「いいんじゃないかしら?」

 私はそう答えながら書状をアリエルに返すと、彼女は再度内容を確認した上でナスターシアに手渡すと、彼女は素早く書箱へそれを写し、リボンで封をし、それをダンディバル卿へ手渡す。

「他に数名舐められては困るから、出来るだけ男を連れていけ。それと、相手は随分とこちらを舐めているから、無礼な態度は許すな。無体をしてくるようなら、主らだけで制圧しても構わん」
「――畏まりました、王女殿下。即座に準備をして出立いたします」

 と、ダンはそう言って立ち去ろうとしたのを私が声を掛けて止める。

「お嬢、な、何かありましたか?」
「通信機が扱える者を付け――いいえ、エルーサ。ダンディバル卿の補佐に付きなさい。問題が起こった場合でも絶対に死ぬようなことは許しません」
「――畏まりました、お嬢様」
「ってか、まぁ、エルーサ殿の腕前であれば、百人力ですかな。ただ、いいんですかい? あっちさんは女性蔑視が強いってどころじゃ無いですぜ?」

 ダンは心配そうにそう言うけど、余程の騙し討ちで無い限りは大丈夫だと私は思っている。それにエルーサを入れる事で、ある程度、ダンが選ぶ面子が想像出来るし。

「問題があれば、ダンが責任を取ってくれるでしょ?」
「ちょ、待ってくだせぇ――んんっ、失礼しました。お嬢、責任取るのは勘弁なんで、最悪、こっちで敵さんを制圧する方向で動きやすんで、じゃ、急ぎますんで!!!」

 と、ダンは逃げるように去って行き、エルーサは静かに笑いつつ、その後を付いて行った。

「また、待ち時間になってしまったが、取り敢えず馬車の中へ戻るか」
「そうね」

 そんなやり取りをしてから、私達は馬車内の司令官室へ戻る。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 丁度、2時間ほど後にダンが戻って来た旨の連絡――と、いうより司令官室にエルーサがダンを連れて戻って来た。

「おお、どうだった?」

 と、アリエルがだらけていたのを誤魔化すようにソファから立ち上がり声をあげた。因みにリンリィが笑いを堪えているのはいつもの感じだけど、そろそろ慣れようね?

「いやぁ、あっちさん――砦の堅牢さを声高々にしてやして、話にならんということで、戻って来ました」
「んー、理解出来ていないと?」
「そのような感じですね。因みにザッと見た感じ、規模的に2千人といった感じではあるんですが、正規の兵は随分と少ないように見受けられました」

 流石、一流の斥候ね。キチンと情報収集もした上での話なんでしょうね。

「はぁ、仕方あるまい。一応、明日の朝イチでやるか。書状に認めた通りにせねばいかんだろうしな。ご苦労だったダンディバル卿。ボーナスは後で請求するようにしてくれ。ああ、それからダンディバル卿には悪いが、ミルレーンに夜襲を警戒するように伝えておいてくれ」
「ハッ、畏まりました」

 と、ダンは臣下の礼を取ってから司令官室から出て行く。

「ふむ。やらねばならんか――やっぱり、という気持ちが先に立ってしまったが、仕方なしだな」

 アリエルはそう言いながら小さく溜息を吐くのだった。
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