悪役令嬢同盟 ―転生したら悪役令嬢だった少女達の姦しい日々―

もいもいさん

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第四章 悪役令嬢は王女と共に戦場を駆ける

289.悪役令嬢は小さく微笑む

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「正直なところ、貴女達が死にたければ死ねばよい。と、思わなくも無い――だが、子供達も同じ運命を辿るというのか? 残念ながら、私はそうは思わない」

 アリエルが真剣な表情でそう言った。スーリアルでは命が軽いと伝え聞いている。民さえも知っている話で貴族女性だけにはなりたくないとまで言われているのは色々と問題が多すぎると私は思う。特にこの数十年は継承問題など様々なことで大量の粛清、連座が行われ、貴族の数が減っているらしい。けれども、女性軽視――と、いうよりも蔑視。下手すると奴隷の方が待遇が良い場合もあるらしいから、貴族女性の扱いというのはよっぽどなのだろう。

 そして、彼女達は戦に負ければ死ぬよりも酷い扱いを受けると教えられて育つらしい。なので、こういった状況になる場合、死を選ぶそうだ。私達がこの城に入ってきた段階で数名、自ら命を絶った者がいるとも言っていたし、まぁ、国にもよるけど、そういうのもあるよね――とは思う。思うけどね。流石に私達には理解出来ないのよね、残念ながら。

「――しかし、お主らの面倒を見る。と、いうほど我々も暇でも余裕があるワケでは無い。エステリア、何か良い案は無いだろうか?」

 これに関しては事前に幾つか案を出し合っている。とりあえず、どこかに軟禁するという意見もあったのだけど、正直なところ、面倒事踏まえて考えると悪くない案ではあるのだけど、出来れば彼女達を救いたい――という意見が多くあった。これに関して私とアリエルでは意見の相違がある。正直、軟禁してしばらく放っておくのがいいと私は思っているのだけど、実情、自死されても面倒なのよね。通信でチラリとマリーにも意見を求めた時に彼女が保護したいと言っていたので、多数決によって彼女らを救う手立てを模索する方向で動くことは決まっている。

「残念ながら、私は――いいえ、良いというほどの案は持っていないわ。しかしながら、これからの作戦上の案は幾つか既に考えているので、後程、話をしましょう。とりあえず、貴族女性とは思えない身なりを整えて頂いて、キチンとした食事と環境を整えるのはいかがかしら?」
「そうだな。スーリアルの常識は我らには分からぬが、貴族女性以外も令嬢達もそのような格好のままでは我々が気になるしな。では、準備したうえで、我々の食事会に招待しよう」

 ここまでは既定路線だ。私達がつれているメイド達が集められたガスパール侯爵夫人含めた女性と子供達を連れて行く。因みにすでに城内を隈なく調査済みで彼女等の衣装ダンスの中も確認済みだ。一応、社交用のドレスなどがあることは分かっているけれど、マリーが色々と持って来ることが決まっている。

 とりあえず、身なりを整えるのにある程度の時間は必要だから、その間に私達は軍議を開いて次の動きを決定する予定になっている。

「さて、我らも移動するか――」

 アリエルはそう言って豪華な椅子から立ち上がり、大きく伸びをして歩き出す。私は他の者達に指示を出してから、馬車内にある指令室へ移動する。

 正直、城内よりも自分達の馬車内の方が防衛力にも優れている。

 私が指令室に入った時には既に各部隊の隊長が集合していた。

「待たせたわね」
「細かい指示まわりはエステリアに任せきりだからな。皆も恐縮するばかりだろう?」
「あら、アリエルがそういうこというのは珍しいわね」
「――別にたまには言っておかねばならんだろう。一部ではいいように使われているとか思われるのも困る。まぁ、王家側からはエステリアにいいよう利用されておる――みたいな事を言う者もいるが、それについては気にする必要は無い。我を助けてくれておるのはよく分かっておるからな」

 と、アリエルは敢えてそう言っているのは分かる。こういう時だからこそ、私とアリエルの関係性をキチンと発言しておくことは大事だ。

「時間も無い事だから、さっさと軍議を開始するか。まずはアンネマリーの方にはこの街の占領政策について基本的に一任する方向で考えている。ま、相談には乗る、定期報告は頼む。あと、事前に話していると思うが保護したご婦人、ご令嬢達も任せることで良いか?」
「はい、お任せを――申し訳ありませんが、即座に動かせて頂きます」
「ああ、頼んだ」

 そうして、マリーは美しい所作で臣下の礼をしてから指令室から出て行く。レシアス侯爵家からも結構な人数を連れてきているみたいで、よく集められたな。と、感心するところね。まぁ、事前に様々な可能性を考慮して話をしておいて良かったと思うところではあるけれど。

「質問、よろしいでしょうか?」

 そう言って挙手をしたのはルアーナだ。アリエルは即座に「よい」と、肯定しルアーナは略式の一礼だけおこなって口を開く。

「城塞都市パーレンダムを拠点として軍を動かす――と、いう話では無いのでしょうか?」
「うん、良い質問だ。私はここに大軍を駐留させる気は無い。まぁ、母上とは意見が異なる可能性はあるが、それはその時で良い。今は目的を達成する上で、ここを中心の拠点にする気は無い。と、いう話だ」

 普通、軍事拠点としても機能するハズの城塞都市に軍を駐留させないと言われると疑問に思うわよね。そもそも、私達ってそこまで大人数で動いてないし、一応、レシアス侯爵側からはある程度の人数は派遣されてくるとは思うけれど、あくまでも守備的に必要最低限のラインって感じの予定だ。それよりも、私達は面倒なことを考えているわけだけどね。

 そんなことを思いつつ、私は小さく微笑んだ。
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