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恐れ
③
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部活で、α相手に勝てないと分かったβたちが、口々に言い訳していたときの顔。
そして、「どうせ勝てっこない」「相手がαだから仕方ない」と、諦めを正当化してた俺の顔。
……俺と松田はよく似ている。だから気持ちが良くわかるし、否定することもできない。
「でもさ、絶対ってわけじゃないだろ?」
暗い雰囲気を壊すように、新山が声を弾ませる。
「絶対大手が勝つなら、うちみたいな中小はとっくに潰れてるって。
それこそ、お前の上司の司馬さん、コンペ得意って噂だよ?」
「そういえばうちの上司なんか、この前のコンペで司馬さんにアドバイスもらいに行ってたよ。
もう、司馬さんにおんぶに抱っこで任せちゃえば?」
確かに、司馬さんがコンペに強いのは知っていた。
部署内で話した時も、みんな口を揃えて「司馬さんがいるなら大丈夫だろ」と言っていたくらいだ。
でも――だからって全部任せきり、というのは嫌だった。
司馬さんに頼り切っている気がして、俺が何もできないって烙印を押されるみたいで。
一方で、心のどこかでは自分でやって、責任を負うのが怖いと思っている。
この前の失敗が尾を引いているのか、また失望される未来ばかりが頭に浮かぶ。
「……でもなぁ。だからって任せきりも……」
「出来そうなとこだけ自分でやればいいんじゃない?考えすぎだよ。」
新山は軽く肩をすくめてそう言い、それから思い出したように俺を見た。
「――あ、そういえば。この前言ってた“司馬さんに勝ちたい”ってやつ、それがあるから任せたくないの?」
ああ、そんなことを新山には話していたな。
松田にはバカにされそうで黙っていたけど、そこまで隠す話でもない。まあいいかと思い、新山に話したことを伝えた。
「へぇ、お前すごいじゃん。簡単には無理だろうけど。」
意外にも真面目に返したかと思えば、余計なひと言がついて来た。
「難しいことくらい分かってるよ」
思わずぶっきらぼうに返す。胸の奥がチリッとした。
その時ふと、考えてしまった。
「……司馬さんも、仕事で不安になることってあるのかな」
気づけば口からこぼれていた。
「あるんじゃない?考え込むタイプだし」新山が言う。
「いやー、あの人は入社当時から何でも一人でできそうじゃん?悩む暇もなさそう」松田は即答する。
二人の答えは割れて、答えは出ない。
――明日休みだし、会いに行くついでに聞いてみようかな。
その日の飲み会は、最初からハイペースで飲んでいた俺と松田の酔いが回って来た頃に、そのままお開きとなった。
そして、「どうせ勝てっこない」「相手がαだから仕方ない」と、諦めを正当化してた俺の顔。
……俺と松田はよく似ている。だから気持ちが良くわかるし、否定することもできない。
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暗い雰囲気を壊すように、新山が声を弾ませる。
「絶対大手が勝つなら、うちみたいな中小はとっくに潰れてるって。
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「そういえばうちの上司なんか、この前のコンペで司馬さんにアドバイスもらいに行ってたよ。
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一方で、心のどこかでは自分でやって、責任を負うのが怖いと思っている。
この前の失敗が尾を引いているのか、また失望される未来ばかりが頭に浮かぶ。
「……でもなぁ。だからって任せきりも……」
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「――あ、そういえば。この前言ってた“司馬さんに勝ちたい”ってやつ、それがあるから任せたくないの?」
ああ、そんなことを新山には話していたな。
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「難しいことくらい分かってるよ」
思わずぶっきらぼうに返す。胸の奥がチリッとした。
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「……司馬さんも、仕事で不安になることってあるのかな」
気づけば口からこぼれていた。
「あるんじゃない?考え込むタイプだし」新山が言う。
「いやー、あの人は入社当時から何でも一人でできそうじゃん?悩む暇もなさそう」松田は即答する。
二人の答えは割れて、答えは出ない。
――明日休みだし、会いに行くついでに聞いてみようかな。
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