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彼女たちの寄り道
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望美たちが働いている占いの館へは地下鉄の『元街中華街駅』か、JRの『横濱中華街駅』が最寄駅となっている。
どちらの駅も徒歩圏内にあるが、望美は地下鉄、カトリーヌ先生はJRを使っているので帰宅の時はそれぞれの駅の改札へ向かう。
今日はカトリーヌ先生と仕事帰りにご飯に行く約束をしているので、2人は地下鉄の駅へ向かう。
なぜなら地下鉄の駅側には、緑色の看板が目印の格安有名イタリアン料理のチェーン店『サイジェリアン』があるのだ。
昨年、この『サイジェリアン 元街中華街駅前店』が閉店するという噂があった。
そのことを聞きつけた望美とカトリーヌ先生が『サイジェリアン』の本部に閉店しないでくれと何度も問い合わせをして頼み込んだのだった。
その甲斐があってか今もなお、望美たちが大好きな『サイジェリアン』が駅前に残っているのだ。
望美とカトリーヌ先生にとって『サイジェリアン』の魅力は安いだけではなかった。
なんと言ってもここのワインが2人とも大好きで2人で食事に行くとなると、もっぱらこの『サイジェリアン』を選ぶのだった。
「「おつかれさまー!!」」
望美とカトリーヌ先生は白ワインで乾杯をした。
「あーっ、美味しい」
仕事帰りのワインがとても美味しく感じる。
次々とやってくるご馳走たちも、望美がどんどん食べていく。
「のんちゃん、今朝は色気あって可愛かったのに、いつも通りの色気無しの姿に戻っているわよ。」
カトリーヌ先生は仕事以外では望美のことを『のんちゃん』と呼んでいる。
望美はカトリーヌ先生の事を『カトちゃん』と呼んでいるので、『のんちゃん』・『カトちゃん』コンビとエミリー先生によく言われている。
カトリーヌ先生はピンクのグロスを塗った唇をとがらせている。
カトリーヌ先生の前では、気を付けていてもつい気が緩んで本当の自分を出してしまう。
しかし、今朝の話しを持ち出されたので、緩んでいたものが一気にピンと張り出した。
そうだ私は今朝、この男に弄ばれたのだ!!
いやそれ以前に自分の事を占った時に出てきたのが、カトリーヌ先生だったのを思い出してしまった。
「のんちゃん、どうしたの?顔赤くなってない?」
カトリーヌ先生は本当に心配そうに聞いた。
心配そうにされたものだから本当の事を言ってみた。
「のんちゃんの未来に私が出てきたの?」
カトリーヌ先生が不思議そうに言った。
雄司に頬をキスされたことは何故か言えなかった。
「どうして出てきたのかまでは視れなくて、どういう結果になるのかまでは分からなかったけど・・・。」
「うーん、今は視るタイミングではないのかもね。」
カトリーヌ先生はワインを飲み干しながら言った。
確かにこの世の中にタイミングというのは、とても重要だったりする。
例えば、タイミングでない時には何かしらの邪魔が入ったりして物事が進まないものだ。
「王子はどうして出てこなかったんだろ?」
カトリーヌ先生が突然雄司の事を言うもんだから、望美は再び顔が赤くなりそうになった。
「どうして王子が出てくるなんて思ったの?」
望美は冷静さを装って聞いてみた。
「・・・だって、のんちゃんも王子好きでしょ?」
カトリーヌ先生の発言に一瞬頭がフリーズしてしまった。
私が雄司のことを好きだというのか。
・・・いや、違う。違わなくないけど。いや違わなくないってそういう事じゃないけど。
「『私も』って他に誰が王子のこと好きだっていうの?」
つい望美は前のめりで聞いてしまった。
するとカトリーヌ先生が顔を少し赤くしながらゆっくりと人差し指を自分に向けた。
「・・・私もなの。」
どちらの駅も徒歩圏内にあるが、望美は地下鉄、カトリーヌ先生はJRを使っているので帰宅の時はそれぞれの駅の改札へ向かう。
今日はカトリーヌ先生と仕事帰りにご飯に行く約束をしているので、2人は地下鉄の駅へ向かう。
なぜなら地下鉄の駅側には、緑色の看板が目印の格安有名イタリアン料理のチェーン店『サイジェリアン』があるのだ。
昨年、この『サイジェリアン 元街中華街駅前店』が閉店するという噂があった。
そのことを聞きつけた望美とカトリーヌ先生が『サイジェリアン』の本部に閉店しないでくれと何度も問い合わせをして頼み込んだのだった。
その甲斐があってか今もなお、望美たちが大好きな『サイジェリアン』が駅前に残っているのだ。
望美とカトリーヌ先生にとって『サイジェリアン』の魅力は安いだけではなかった。
なんと言ってもここのワインが2人とも大好きで2人で食事に行くとなると、もっぱらこの『サイジェリアン』を選ぶのだった。
「「おつかれさまー!!」」
望美とカトリーヌ先生は白ワインで乾杯をした。
「あーっ、美味しい」
仕事帰りのワインがとても美味しく感じる。
次々とやってくるご馳走たちも、望美がどんどん食べていく。
「のんちゃん、今朝は色気あって可愛かったのに、いつも通りの色気無しの姿に戻っているわよ。」
カトリーヌ先生は仕事以外では望美のことを『のんちゃん』と呼んでいる。
望美はカトリーヌ先生の事を『カトちゃん』と呼んでいるので、『のんちゃん』・『カトちゃん』コンビとエミリー先生によく言われている。
カトリーヌ先生はピンクのグロスを塗った唇をとがらせている。
カトリーヌ先生の前では、気を付けていてもつい気が緩んで本当の自分を出してしまう。
しかし、今朝の話しを持ち出されたので、緩んでいたものが一気にピンと張り出した。
そうだ私は今朝、この男に弄ばれたのだ!!
いやそれ以前に自分の事を占った時に出てきたのが、カトリーヌ先生だったのを思い出してしまった。
「のんちゃん、どうしたの?顔赤くなってない?」
カトリーヌ先生は本当に心配そうに聞いた。
心配そうにされたものだから本当の事を言ってみた。
「のんちゃんの未来に私が出てきたの?」
カトリーヌ先生が不思議そうに言った。
雄司に頬をキスされたことは何故か言えなかった。
「どうして出てきたのかまでは視れなくて、どういう結果になるのかまでは分からなかったけど・・・。」
「うーん、今は視るタイミングではないのかもね。」
カトリーヌ先生はワインを飲み干しながら言った。
確かにこの世の中にタイミングというのは、とても重要だったりする。
例えば、タイミングでない時には何かしらの邪魔が入ったりして物事が進まないものだ。
「王子はどうして出てこなかったんだろ?」
カトリーヌ先生が突然雄司の事を言うもんだから、望美は再び顔が赤くなりそうになった。
「どうして王子が出てくるなんて思ったの?」
望美は冷静さを装って聞いてみた。
「・・・だって、のんちゃんも王子好きでしょ?」
カトリーヌ先生の発言に一瞬頭がフリーズしてしまった。
私が雄司のことを好きだというのか。
・・・いや、違う。違わなくないけど。いや違わなくないってそういう事じゃないけど。
「『私も』って他に誰が王子のこと好きだっていうの?」
つい望美は前のめりで聞いてしまった。
するとカトリーヌ先生が顔を少し赤くしながらゆっくりと人差し指を自分に向けた。
「・・・私もなの。」
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