パン屋の裏稼業?そんなものやってません!

にじいろ♪

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第一章

完結

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あれから僕たちは、ささやかな式をあげて二人で暮らし始めた。
僕はもちろんリアーノパン屋の店主も続けているし、サルシンは長官を頑張ってる。
随分、部下とも仲良くなれたらしい。
秘書のケルビンさんは、時々、リアーノパン屋にもパンを買いに来てくれている。
サルシンが職場の皆さんに好かれていて嬉しい。


そして、僕たちは三人暮らしになった。


「ほら、ミヤ?ちゃんと椅子に座ってね」

ミヤは、今年で3才になる。
僕達の家族になって、もう2年が経つ。

サルシンと僕とミヤ、3人でリアーナパン屋の近くの小さな家で暮らしている。

「ムーパパ、だっこー」

「んー、もう、しょうがないなー」

ミヤは、僕に顔立ちがよく似た男の子だ。
サルシンが教会で孤児のミヤを一目見て、僕に似てる!と騒いで是非にと養子に迎えた。
ごく普通の顔の僕に似てても、喜ぶのはサルシンと父さん母さんくらいなんだけど。
みんなの愛情を一身に受けて、ミヤはすくすくと育っている。
ミヤには、どうやら魔法の才能もあったらしくって。
サルシンは、ミヤにもう魔法の使い方を教えようとしてる。
僕が早いって言っても、魔法は早く始める方が良い!と引かない。
その結果、ミヤは、もうかなりの魔法が使えるとサルシンが自慢していた。

「将来は、魔術課長官だな」

会う人、会う人にそう言いふらしている。
親バカだなぁ、と僕でさえ思う。

「サーパパ、新しいお人形買って」

ミヤにでろでろに甘いサルシンは、息子の欲しがる物を全てを買ってしまう病気にかかっているらしい。
このままだと、家の中どころか家の外まで、ミヤのおもちゃや服で埋め尽くされかねない。

「だめだよ、昨日も買ったばかりだよ?ほら、サルシンもお財布出さないの!」

「これは仕方ないんだ。医者がそういう病気だと言っていた」

注意しても、もはや完全に開き直っている。

「僕のお願いでも…だめなんだ?」

悲しそうに呟いて上目遣いに見詰めると、サルシンは分かりやすくオロオロする。
僕だって、サルシンの扱いには随分と慣れた。

「なっ!この俺がムンスの願いを叶えないはずがないだろう!」

「じゃあ、僕が良いって言うまで、ミヤのおもちゃ買うのは止めて?」

上目遣いで、うるうると見つめる。

「ーーハァッハァッ」

サルシンの息が荒くなってる。
鼻が膨らんで抑えてる。
鼻血出そうになるとこうなる。

「分かった…その代わり、俺と、今夜…いいか?」

僕のお尻を、そっと揉んでくる。
もう、ミヤの前では止めてって言ってるのに。

「ん…いいよ?サルシンが良ければ…アレもする?」

サルシンの唇をペロっと舐め上げる。
僕も大概だ。

ボブっ
遂にサルシンが鼻血を吹き出した。
やり過ぎたらしい。
でも、僕もすっかり慣れたから鼻血の処置をテキパキとして、チュッと鼻の頭にキスを落としてウインクする。
もうケルビンさんの手は借りなくても大丈夫。
サルシンは何か叫びながら床でゴロゴロ悶えているけど、しばらくすれば落ち着いて仕事へ行くから放っておく。
どちらにしろ、後でパンを届けに行くから、その時にサルシンとはまたゆっくり話せる。
有能な秘書さんのおかげでサルシンの仕事は絶好調らしいし、時間の余裕もあると言っていた。

「母さーん!ミヤをお願い!」

僕はミヤを母さんに預けに行く。

「おやおや、かわいい我が家の天使が来たよ。さあ、何して遊ぼうねぇ」 

「えーっとね、魔法!」

何その遊び。
将来有望すぎて恐いよ。
母さんにミヤの世話をお願いしたら、パン屋の主としての仕事が始まる。

「おはようムンス、ミヤは元気か?」

父さんも、ミヤにデロデロ民族だ。

「うん、元気過ぎるくらいだよ。すっかり重くなって、抱っこが大変になってきたね」

話しながら手早く店の支度をする。
父さんだって、仕事の後には毎日ミヤ会っているけど常にミヤが気になって仕方ないらしい。
初孫フィーバーってやつかな?
母さんは、ミヤを抱いたら離さないレベルのミヤ中毒だ。
そのうち、もう少し大きくなったらミヤにパン屋の手伝いもさせてみようか。
将来は、魔術課長官か、リアーナパンの店主か。
慣れた作業をしながら、将来が楽しみでふふふと笑いが込み上げてくる。

今夜はサルシンに、たくさんサービスしちゃおう。
この前、喜んでたアレも、コレも?
顎が疲れるから、アレよりも、ソッチかな…

明日は休みだし、ミヤを父さん母さんに一晩お願いしちゃおう。
きっと2人とも喜ぶし、ミヤも大喜びだ。
何より、サルシンが…

外に店の看板を立てに出る。
ああ、朝の空が青くて、空気が気持ちがいい。

そういえば、サルシンは僕と出会って朝が好きになったなんて言っていた。
目覚めて僕とミヤにキスするのが楽しみで、むしろ早く起きたいって。
僕も、毎日朝が来るのが嬉しくて幸せだ。
この幸せを、世界中の人に分けてあげたいくらい。

ほら、今日のパンも良い焼き色がついている。
完璧な朝だ。
さあ、リアーナパン開店だよ!

この僕が主だ!


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