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第二章
続編完結
しおりを挟むチュンチュン…
はあ、今日も爽やかな朝。
…では無い。
あっちこっちに、ティッシュやら何かの液体が溢れている部屋は、どんよりと色んな匂いも混ざり合って、これ以上無く不健康そのもの。
「はぁ…」
俺は、全裸に唯人の上着を羽織ってトイレへ行く。
タカヒロの部屋、ひどいことになったなぁ…
悪いことしたな…
なんか、いろいろと巻き込んじまって。
トイレから出てくると、バッタリとタカヒロに会った。
「「あっ」」
二人とも俯いて押し黙る。
どうしよう…なんて言えばいいか分からない。
「あの、さ…昨夜は、すまなかった」
まさかのタカヒロが暗い顔で謝ってきた。
「え?!いやいや、謝るのはこっちだよ!ごめん、あんなことに巻き込んで。その…難しいかもだけど、忘れてもらえると助かる…」
「あ、ああ…その、こっちも、忘れてもらえると助か…」
バン!とリビングの扉が開いて、鬼の形相で吉田が走ってきた。
「やっべぇ!!腹痛ぇ!!どいて、どいてー!漏れるから!!」
バタン!と勢い良くトイレに駆け込む。
「ふっ」
「あははっ」
二人で顔を見合わせて笑う。
いつもこうだ。
吉田は良い奴で、ムードメーカー。
これなら、元の友達にすぐ戻れ…
ガチャ、とトイレから吉田が出てきた。
二人とも笑顔で吉田を見る。
「あー、やばかったー!タカヒロ!昨日あんなにオレのケツに精子ぶっちゅぶっちゅ注いでくれちゃってさー。あのまんま寝たせいで、腹壊しただろーが!この絶倫!つーか、ケツの穴緩くなって、ちゃんと締まらないんだけど!責任取れよな!」
捲し立てる吉田に、二人の間の空気も凍った。
「ゔっ…トイレ…」
そして、タカヒロもトイレに急いで駆け込んだ。
トイレの前で吉田が元気に叫んでる。
「なに!タカヒロも腹壊した?なんだ、一緒じゃーん!オレの精子、粋が良いからね!タカヒロの腹ん中で暴れまわっちゃってる感じ?うあー、なんかそれも興奮すんなぁ~。やっぱり、アリだわ。こうなったら、オレ、タカヒロのケツの責任取るからさぁ、一緒に住んじゃう?」
トイレの中から、呪いの言葉みたいなのが聞こえるけど、吉田は一切気に留めることなく話し続けている。
吉田のメンタル、ある意味、鋼。
「健吾?そろそろ帰ろっか。早くシャワー浴びたいよね?」
いつの間にか、後ろに唯人がいた。
「あ、うん…そだな」
なんとなくだけど、タカヒロと吉田と俺の3人では、これから先、会うことは無い気がした。
「え?健吾と王子、帰っちゃうのー?なんだよ、朝飯食おうぜ!タカヒロの作る飯、すげー美味いの!」
よく知っている口ぶりの吉田に、ふと疑問をぶつける。
「吉田って、よくタカヒロの家に来てんの?」
「あー、んー、毎日じゃないけど、3日に一回くらい?ほら、金無いから、金ある奴にたかってる感じ?こっそり撮った健吾の写真とか渡すと、いろいろ食わせてもらえるし、」
バタン!とトイレのドアが開いた。
はあはあ、と息を切らせたタカヒロが、吉田の後頭部を殴ってる。
「俺のこと、なんだと思ってんだよ、吉田…」
「ほらね?早く帰ろう。ここは危ないよ、健吾。きっと、もう吉田くんはここに住むだろうし、二人の邪魔しちゃ悪いから」
俺の肩をぐいぐい押す唯人の手を掴んで、俺はタカヒロに向き直る。
「タカヒロ」
「うっ、健吾、その、これは」
タカヒロの目が泳いでる。
「昨日、お前に気持ちを伝えられて、俺、正直嬉しかった。もし、大学の時に分かってたら、きっと俺、タカヒロと今、一緒にいると思う」
隣の唯人が、ブルブル震えてる。
帰ったら絶対面倒くさいことになる。
でも、今、言わないと後悔する。
「それくらい、昔も今も、タカヒロは俺にとって大切で特別だ。昨夜のことは忘れることは出来ないかもしれないけど、俺はタカヒロとの友情をここで終わらせたくない。吉田とも、今まで通りバカやって遊びたい。二人のこと、大好きだから」
タカヒロが、ポロポロと泣いた。
あの冷静沈着、ポーカーフェイスのタカヒロが。
「健吾…ありが」
「けーんごぉーーっ!!お前ってば、めっちゃイイ奴だぁー!!写真とか色々、今まで売ってきて、ほんとごめんなぁ!オレ、もうお前で金儲けしようとなんて考えないから!!」
ぎゅうぎゅう抱きついてくる吉田の鼻水が付かないよう、顔を避けてタカヒロに笑いかける。
タカヒロも、泣きながら笑ってくれた。
「ああ、また3人でバカやろうな」
「おう!!あの頃のやつ、やろうぜ!」
懐かしいスクラムを組んで、笑い合う。
そこには、大学時代の3人がいた。
「で?」
絶対零度の唯人を忘れていた。
「仲良しごっこ、楽しかった?僕達、もう帰るんだけど。健吾から離れてくれる?」
ぐいっと俺を二人から引き離す。
「吉田くんもさ、分かってるよね?」
吉田の顔から笑顔が消えた。
「あ、ごめん、オレ、つい嬉しくなっちゃって」
「とにかく、あとはお二方で、ごゆっくり。じゃあ、失礼するね。楽しかったよ、ありがとう」
有無を言わさず、唯人に抱きかかえられてタカヒロの家を出る。
「唯人?怒って…」
「ぜーんぜん?僕が健吾に怒るはずないでしょう。あの二人は消し炭にしてやりたいけど」
車を走らせる間も、唯人は無言だった。
また、抱き上げられて我が家へと帰る。
「シャワー浴びよう」
「え?一緒に?」
唯人の瞳は、笑ってない。
「何か困ることでもあるの?まさか、僕に見せられないところに、アイツに跡でも付けられた?」
ヤバい。
完全に目がイッてる。
「そんなわけないだろ!タカヒロは、そんな奴じゃ」
「もう、あんな奴の名前呼ばないで!!!!」
唯人が叫んで床に崩れ落ちる。
ワナワナと震えて号泣し出した。
「なんっで、あんな、奴、ふぇっ、僕、ぼく、こんなに、ずっと、ずっと、がんばって、きた、のに」
しゃくり上げながら、唯人が嗚咽しながらも泣き叫ぶ。
「ぼく、より、金も、あって、性格も、よくって、あんな、マンション、そんなの、ぼく、ぼく、勝ち目なんて、ないじゃ、ないか…ひっく」
ああ、と健吾は腑に落ちた。
「不安にさせて、悪かった」
そっと唯人の頭を抱き寄せる。
タカヒロに俺を取られると思って、不安で不安で仕方なかったんだろう。
「バカだな、お前も」
ため息と共に自分が笑えてくる。
「だって、だって、けんご、タカヒロのこと、ずっと、見てる、し、二人、で、笑って、それに、」
「ごめん。一瞬だけ、気持ちが揺らいだのは本当」
唯人は、死にそうな顔になる。
「でも、お前の世話は俺にしか出来ないからって、ちゃんとタカヒロには断ったんだ」
「ゔぅ、世話って、けんご、は、ぼくの、ことなんて、ほんとは、タカヒロの、ほうが、」
エンドレスになりそうな予感。
「俺に世話されたくないわけ?下の世話も?」
ピクンっと耳が動いた。
すげー、うさぎか。
「え?それって」
期待込めすぎ。
「心も身体も、これからずっと唯人の世話は全部俺がしてやる。だから他の人の世話してる暇なんて無いから」
「つ、つまり?」
今日は、はっきりと言葉が欲しいらしい。
まあ、俺って普段、全然言わないから。
そのせいで、余計不安にさせたんだろう。
「つーまーり!お前だけを愛してる!ってこと!バカ唯人」
思いっ切りほっぺたを抓ってやる。
「いひゃいれふ、いひゃいけほ、うれひいれふ」
泣きながら笑う唯人。
付き合い始めてから、まだ一年。
これが、あと何十年も続くのか…
遠い目をした俺のところに、何か後ろに隠して照れながら唯人が近寄ってきた。
「愛の証として、これ…僕に挿れて下さい♡」
プジーを両手で握り締めて期待を込めた目で見られる。
シャワー浴びたら、アカネママに、ボコボコにしてもらいに行こう。
続編 完
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