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はじめての旅
さんじゅう
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「あの短時間でよくここまで集められたな」
「わたしこれくらいしか取り柄がないので!取り敢えず触れたもの全部取ってきました!」
「いやいやいやそんなことないよ!」
目の前にどっさりある財宝にくらくらする。
さっきは広い空間にあったからか、たくさんあるなーすごいなーくらいだったのに、纏めて置かれると迫力がすごい。
日本だとこれ幾らくらいになるんだ、もうこれ一生働かないでいいんじゃないか。
僕達が回収した分も出してみたが、流石に百花に適わなかった。
「この中でなんかすごいのとかある?」
「そうねえ……」
これは魔力が篭ってる、これはただの剣、このブレスレットは魔力を増幅して、これは……とてきぱきとララが仕分けしてくれる。
ルルは既に飽きたのか横になって果穂と遊んでいた。
「これ折角だからユート持ってなさいよ」
「魔力が増幅するブレスレット……まぁ僕には雀の涙だろうけど」
「これはモモカね」
「髪飾り……かわいい、これは何か効力あるんですか?」
「それはね、お守り」
「おまもり?」
「戦うの苦手みたいだから。少しくらいの魔力なら弾くわよ」
「でもわたしより果穂ちゃんが持ってた方が……」
「カホは大丈夫よ、ほら、えっと、ユートがいるし。それにほら、この紅い宝石はモモカの髪色によく合うわ。カホにはちょっと大人っぽいわね」
防御力が上がる……みたいなものなのだろうか。
ゲームのように数値がわかるものでもないから、実際に試してみないとわからない。
ララも少しくらい、と言ってるのだから、過信せずに己の力をどうにかした方がいいんだろうな。
「土地代には十分すぎるでしょ。生活費もあるし、ユートも学園通えるんじゃないの」
「えっ悠斗さんもですか!?」
「いやー、無理だよ、果穂を1人にできないし、そもそも僕受験的なもの何もしてないから」
「そう……ですよね」
しゅんとする百花。
……何も悪いことしてないのに罪悪感が酷い。
「大丈夫大丈夫、一緒に学園通わなくても王都にいるし」
「ほんとですか?お休みの日とか遊びに来ていいですか?」
「勿論」
というかこの子1人で住んでるのだろうか。学生寮みたいなものがあるのか。
既に気分が兄である僕としては、安心出来るところに住んでいてほしいが……
駄目だ心配になってきた。でも13歳といえばそれなりに年頃だろう、兄でもない兄みたいな奴に心配されても鬱陶しいのでは。
「……ご飯食べに来たり作ったりしにきてね」
「はいっ」
満面の笑顔。今日のところはこれで十分だ。
何しろ懐かしさで意気投合してしまったが、まだ今日出会ったばかり。この人うざいきもいと思われないよう、距離の詰め方には気をつけた方がいい。
「ところで寝室はどうしましょうか」
「あ」
「寝室は2つでしょ?モモカはあたしと寝てもいいけど、積もる話もあるみたいだしユートの部屋で寝る?」
「あー……」
一応女の子だ、果穂がいるとはいえ男の寝室で眠るのも嫌だろう、ここはララに……と思ってると、まだ悠斗さんとお話したいです、と純新無垢なきらきらした瞳でお願いしてくる百花に、兄の意志は簡単に折れた。
「わー!ふかふかのベッドだ!」
「やっぱり王都のベッドも硬いんだ」
「わたしが寝たベッドは全部硬かったです!気持ちいい~!」
嬉しそうにベッドへダイブした百花を見て、果穂も真似て飛び込む。
2人でくすくす笑う姿を見ていると、この世界で日本人離れした容姿の人ばかりみてきたからか、黒髪を揺らす2人が姉妹のように見えてきた。
「良く眠れそうなら良かった、もし気に入ったら王都についたらそのベッドあげるよ」
「いいんですか!?」
「元手タダだからね」
「やったあ」
本当ならもっとお高い良いベッドもあるんだろうけど、僕が出せるのは使ったことあるものだけだからなあ……それでも硬いベッドよりはずっといい。
暫く果穂と百花は日本のアニメ等で盛り上がっていたが、それも少しすると、眠い、と僕のベッドの方へやってきた。
こうなると果穂は寝落ちするのも早い。
軽くぽんぽんと撫でてやると、すぐにすうすう寝息を立てた。
「……いいな、果穂ちゃん」
「ん?」
「あっ、その、一緒に寝たいとかじゃなくて、優しいお兄ちゃんがいていいなって」
「百花は一人っ子?」
「いえ、お姉ちゃんがいました」
「そっか、寂しいね」
「……全然です」
わたし、お姉ちゃんと仲悪かったんです、全然話とかしてなくて、と続けるものだから、ああうちと似たようなものかと納得してしまった。
僕だって果穂が懐いてくるまでは妹なんてかわいくないと思ってたもんな……
「わたしの家、皆仲悪くて……皆家にいなくて、お姉ちゃんも大学、そんなに遠くないのに家出てっちゃって、帰ってこないし……ご飯とか、おうちのこととかしたら喜んでくれるかなって思って頑張ったんですけど、……あんまりご飯、食べてくれなかったな」
ぽつぽつと話してくれる声が酷く悲しくて、そんな話を好んで聞きたいわけではないけど、自分から話をしてくれるならちゃんと聞きたいと思った。
「わたしこれくらいしか取り柄がないので!取り敢えず触れたもの全部取ってきました!」
「いやいやいやそんなことないよ!」
目の前にどっさりある財宝にくらくらする。
さっきは広い空間にあったからか、たくさんあるなーすごいなーくらいだったのに、纏めて置かれると迫力がすごい。
日本だとこれ幾らくらいになるんだ、もうこれ一生働かないでいいんじゃないか。
僕達が回収した分も出してみたが、流石に百花に適わなかった。
「この中でなんかすごいのとかある?」
「そうねえ……」
これは魔力が篭ってる、これはただの剣、このブレスレットは魔力を増幅して、これは……とてきぱきとララが仕分けしてくれる。
ルルは既に飽きたのか横になって果穂と遊んでいた。
「これ折角だからユート持ってなさいよ」
「魔力が増幅するブレスレット……まぁ僕には雀の涙だろうけど」
「これはモモカね」
「髪飾り……かわいい、これは何か効力あるんですか?」
「それはね、お守り」
「おまもり?」
「戦うの苦手みたいだから。少しくらいの魔力なら弾くわよ」
「でもわたしより果穂ちゃんが持ってた方が……」
「カホは大丈夫よ、ほら、えっと、ユートがいるし。それにほら、この紅い宝石はモモカの髪色によく合うわ。カホにはちょっと大人っぽいわね」
防御力が上がる……みたいなものなのだろうか。
ゲームのように数値がわかるものでもないから、実際に試してみないとわからない。
ララも少しくらい、と言ってるのだから、過信せずに己の力をどうにかした方がいいんだろうな。
「土地代には十分すぎるでしょ。生活費もあるし、ユートも学園通えるんじゃないの」
「えっ悠斗さんもですか!?」
「いやー、無理だよ、果穂を1人にできないし、そもそも僕受験的なもの何もしてないから」
「そう……ですよね」
しゅんとする百花。
……何も悪いことしてないのに罪悪感が酷い。
「大丈夫大丈夫、一緒に学園通わなくても王都にいるし」
「ほんとですか?お休みの日とか遊びに来ていいですか?」
「勿論」
というかこの子1人で住んでるのだろうか。学生寮みたいなものがあるのか。
既に気分が兄である僕としては、安心出来るところに住んでいてほしいが……
駄目だ心配になってきた。でも13歳といえばそれなりに年頃だろう、兄でもない兄みたいな奴に心配されても鬱陶しいのでは。
「……ご飯食べに来たり作ったりしにきてね」
「はいっ」
満面の笑顔。今日のところはこれで十分だ。
何しろ懐かしさで意気投合してしまったが、まだ今日出会ったばかり。この人うざいきもいと思われないよう、距離の詰め方には気をつけた方がいい。
「ところで寝室はどうしましょうか」
「あ」
「寝室は2つでしょ?モモカはあたしと寝てもいいけど、積もる話もあるみたいだしユートの部屋で寝る?」
「あー……」
一応女の子だ、果穂がいるとはいえ男の寝室で眠るのも嫌だろう、ここはララに……と思ってると、まだ悠斗さんとお話したいです、と純新無垢なきらきらした瞳でお願いしてくる百花に、兄の意志は簡単に折れた。
「わー!ふかふかのベッドだ!」
「やっぱり王都のベッドも硬いんだ」
「わたしが寝たベッドは全部硬かったです!気持ちいい~!」
嬉しそうにベッドへダイブした百花を見て、果穂も真似て飛び込む。
2人でくすくす笑う姿を見ていると、この世界で日本人離れした容姿の人ばかりみてきたからか、黒髪を揺らす2人が姉妹のように見えてきた。
「良く眠れそうなら良かった、もし気に入ったら王都についたらそのベッドあげるよ」
「いいんですか!?」
「元手タダだからね」
「やったあ」
本当ならもっとお高い良いベッドもあるんだろうけど、僕が出せるのは使ったことあるものだけだからなあ……それでも硬いベッドよりはずっといい。
暫く果穂と百花は日本のアニメ等で盛り上がっていたが、それも少しすると、眠い、と僕のベッドの方へやってきた。
こうなると果穂は寝落ちするのも早い。
軽くぽんぽんと撫でてやると、すぐにすうすう寝息を立てた。
「……いいな、果穂ちゃん」
「ん?」
「あっ、その、一緒に寝たいとかじゃなくて、優しいお兄ちゃんがいていいなって」
「百花は一人っ子?」
「いえ、お姉ちゃんがいました」
「そっか、寂しいね」
「……全然です」
わたし、お姉ちゃんと仲悪かったんです、全然話とかしてなくて、と続けるものだから、ああうちと似たようなものかと納得してしまった。
僕だって果穂が懐いてくるまでは妹なんてかわいくないと思ってたもんな……
「わたしの家、皆仲悪くて……皆家にいなくて、お姉ちゃんも大学、そんなに遠くないのに家出てっちゃって、帰ってこないし……ご飯とか、おうちのこととかしたら喜んでくれるかなって思って頑張ったんですけど、……あんまりご飯、食べてくれなかったな」
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