【完結】幼い義妹が聖女なのは内緒でお願いします

ほんだし

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はじめての旅

さんじゅういち

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「学校も、なんだか段々楽しくなくなってきて、家にいることが多くなったんですけど。学校さぼっても、結局やることなくて、ずっと料理とか、お菓子とか作ってました」

「自分じゃ食べきれなくて、親も外で食べてくるし、友達にも会わないから、結局いつも捨てちゃって。でも作ることだけが趣味になっちゃってたから、やめられなくって、たまに怒られたりしてました」

「買い物以外家に篭ってたら、変な人がうちにきたんです。多分、泥棒かなにかなのかなって思うんですけど」

「わたしがうちに残ってたのにびっくりしたみたいで、うちの包丁で刺されちゃいました。わたしが使って、出しっぱなしにしてたから」

「気が付いたら眩しくて、真っ白なとこにいて、わたし死んだって言われて、あ、やっぱり、もう痛くないもんなって思って」

「びっくりしたけど、死んだことってないから……皆さんそうだと思うんですけど。死んだことってないから、死んだらこんな世界に来るのかな、三途の川とかお花畑とかないのかなって思ってたら、違う世界に行ってもらうって言われて」

「よくわかんないけど、生まれ変わるんだ、って思ってたら、なんだかわたし、このまんまで、生まれ変わったりしないで、知らない人の家にいました」

「山の中で倒れてたみたいで、おじいさんとおばあさんが助けてくれたみたいで、最初は頭打ったんだろうって親切にしてくれてたんですけど」

「……わたし、こわくてこわくて、こんなところ知らないって思って、そんな態度が悪かったんですよね、おじいさんとおばあさんは庇ってくれたんですけど、町の人に出ていってくれって言われて……王都に学園があるし、そこに通えばいいって。もう面倒は見れないって」

「でも学園っていったって、大したことない自分が無料で通えるわけないし、どうすればいいんだろうって思ってたら、ギルド登録とかダンジョンで稼げばいいって」

「あんまりにも何も知らないから、怪しがられたんですけど、違う世界から来たって言っても、皆さん頭おかしいやつとしか思わなかったみたいで、自分でも自分がおかしくなったんだなって思うようになってきて、人の言うことを聞こう、自分の意見はなあんも、正しくないんだからって思ってました」

「そしたら、少し、魔力のこととか教えて貰えて、でもそれだけで、特に使い方教えて貰ったわけじゃないから、見よう見まねでどうにかこうにかって感じで、荷物持ちくらいにはなれるようになって、学費も多分、どうにかなるってなって、それで昨日、あのダンジョンに行ったんです」

「いつもよりたくさん回収出来て、帰るって時に、ここに置いていくって言われて、え、って、意味わからなくて、何か悪いことしたのかな、弱いからかな、迷惑掛けたかなって考えたけど、確かに迷惑しかかけてないの思い出しちゃって……でもちゃんと、言うこと聞いてきたのになって思って」

「荷物も回収したものも全部持っていかれて、わたしここで死ぬのかなって思った」

「こわいし、おなかはすくし、変な声はするし、こわいし、誰を信用していいかわかんないし、誰か来たら自分の方が怪しくて殺されちゃうんじゃないかな、その前にモンスターに殺されちゃうんじゃないかって、でも」

「その前に、悠斗さんたちが来てくれた」

「わたしなんかに笑ってくれるし、優しくしてくれるし、でも信用したらだめなのかな、また騙されたらどうしようって思ったんだけど」

「……大丈夫、ですよね?」

 最後の方は泣いていた。
 12、13歳の女の子が1人で抱えてきた不安だ。仕方がない。
 裏切られたこともある。人を疑ったって当然だ。

「……大丈夫だよ」
「……!」
「もう百花も妹みたいなもんだと思ってるよ、僕もそんなに出来ることはないし、ララとルルに任せっぱなしだけど、でもやっぱり百花と会えてよかったって思ってる」
「悠斗さん……」
「学校の先輩でも親戚でも兄ちゃんでもいいよ、だからもっと頼っていいよ」
「……はいっ」
「別に敬語じゃなくてもいいよ、急には無理かもしんないけど。こんな世界で会えた日本人なんてもう家族みたいなもんじゃん」

 そう伝えると、じゃあ、あの、ひとつお願いが、ともじもじしながら百花が口を開いた。

「大丈夫だったら……駄目じゃなかったらなんですけど、その、王都に戻っても、遊びに来るんじゃなくて、その、一緒に居てもいいですか……?」
「……?あ、そうだね、百花も一緒に住めばいいよ」
「!」
「そうだそうだ、1人より安全だ、果穂も喜ぶよ、うん、一緒に暮らそう!」

 そうだ、1人で帰らすことに少し不安だったんだ。
 あんな話を聞いて、1人の部屋に帰す気もなくなった。

「ほんとにいいんですか……?」
「いいよ、自由に料理してもいいし、うちの方が綺麗で安心出来るでしょ?僕も百花が1人で寂しい思いをするより、うちで果穂と笑っててくれたら嬉しいよ」
「……わたしもうれしぃです……!」

 もう鼻水まで出してしまってる。
 ティッシュで拭ってやり、まだぐずぐず泣いてる百花に布団を掛け、果穂にするように背中を叩く。
 子供みたいだ。いや子供なんだけど。
 境遇と見た目の問題かな、自分の時を思い出すと少し幼い気もする。
 頑張って大人になろうと思ったけど、かえって精神が育たなかったのかもしれない。近くにお手本がいないから。

 大丈夫だ僕はお兄ちゃんだ、妹のひとりやふたり、この世界で守ってやる!
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