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2人の聖女様
ごじゅうきゅう
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ちょっとカレンと相談する為に引きたい。
引きたい気持ちが強い。
でも逃げたらいけない気がする。
でも僕に出来るのは魔法をぶっぱなすことだけ。
モンスターならともかく、人間に攻撃する勇気はまだない。
……でもやる、果穂とカレンに攻撃してきたらやってやる、ただ火力の調整間違ったらごめん。
カレンを庇うように前に立つと、ふふ、と口元を緩ませ、聖女様はいいわね、と言われた。
カレンが下を向いたのがわかる。
「王子達に精霊士様だなんて、聖女様は物語のお姫様のようねえ」
「そんな……つもりは……」
「リュカ様から離れて大丈夫かしら、目を離した隙に息を引き取ってしまったら責任重大よ、この国を敵に回す気かしら」
「……っ」
いやなんでカレンはこの人を一番怪しいと言わなかったんだ、こんなの自白してるようなものではないか。
エリザ様は頭が悪いのか?綺麗な人だし魔力もすごいみたいだけど、こんなバレバレでいいのか?
いや周りも不審に思ってないなら何かあるのか?僕が嵌められてるだけか?
「失礼ですがエリザ様」
「あらなぁに?気に障ったかしら、王族と並べられるなんて光栄なことよ」
「いえ、そこはどうでもいいで……そのお話ではなく」
「……言ってご覧なさい」
「エリザ様の周りに精霊が居ないのは元々なのでしょうか」
「はぁ?」
果穂に今口を開かせる訳にはいかない。
だからエリザ様の周りに精霊がいるかどうかなんて僕にはわからない。
ただ精霊が見える大人はなかなかいないようなので、エリザ様からも見えないだろうと勝手なことをそれっぽく言っても大丈夫な筈だ。
「小さな子以外はご存知だと思いますが、魔法は精霊の力を借りて使うものになります。エリザ様の周りには精霊が居ないようですが、大丈夫でしょうか、体調は崩されてませんか?リュカ様のようになっては大変です、お部屋でお休みなさっては」
「存じてますわ、でもお気遣いなく。ちゃんと精霊様はいらっしゃいますので」
「そうでしょうか、僕には見えないのですが……リュカ様と同じ状態ですので」
「ふふ、リュカと同じな訳ないでしょう、私ご覧の通り元気でしてよ、あまり勝手なこと言うべきではないわ」
顔色を変えることもない。
自分の周りは割と顔に出す人が多かったから、流石生きてる歳も場数も違うなと思った。
「いいえ、気を付けた方が良いです、何かあってからでは遅いですからね」
「ご忠告ありがとうございます、そうね、気をつけますわ、でも感染症なのでしょう?精霊様は関係ないのでは?」
「リュカ様のお部屋は極端に精霊が少ない状態でした。失礼ながら、先程見えたエリザ様のお部屋も同じように見えましたので……」
「……」
漸く少し苛ついたような表情にかわる。
その時、先程聞いたばかりの声がした。
「お母様、どうなさいましたか」
「ルイズ」
「……ルイズ様」
第2王子だ。
こちらにぺこりと頭を下げると、エリザ様の元へ行く。
エリザ様は少し眉を顰め、こんなところで何をしてるのです、と冷たく言う。
「……先生が、授業の準備に時間が掛かるので休憩をとっていいと言われたので、お茶でもと思いまして」
「そんな暇があるのなら訓練でもしなさい、ただでさえ貴方は遅れているのだから」
「……はい」
目に見えてしゅんとしたルイズ様に、果穂が手を伸ばした。
「その娘は?」
「僕の妹です、子供にも精霊は見えますからね、今後の為にいつも傍に置いております」
「贅沢な授業ですわね」
ぼそりと果穂が耳元で囁く。
ずっとまっくろいの出てる、と。
通りで更に息苦しくなってる筈だ。
「ルイズ」
「はい」
「貴方も早く授業に戻りなさい」
「でも」
「でもじゃないわ、何の為に教師を雇ってるの?貴方にはまだまだ覚えることやるべき事は沢山あるでしょう」
「……はい」
肩を落としたルイズ様は僕達に背を向け、また戻っていく。
自分の息子だというのに……いや、息子だからこそ王位につかせるためにこんなことをしているのか。
「貴方たちもいつまでもこんなところに居ずに戻りなさい、リュカを診にこられたのでしょう?」
苦々しげに、でも笑みは忘れずに言う。
このままどうにかした方が、とも思ったが、やっとこの人から離れられる。
一度カレンと相談したい。
「ええ、暫くリュカ様のお部屋にいますので、何かございましたら」
元きた廊下を戻り、またカレンの案内でリュカ様の部屋に戻る。
駆け寄ったカレンは、リュカ様にかわりがないことを確認して安堵の息を漏らした。
「……エリザ様がやっている……ということなんですよね?」
震えた声でカレンが訊く。
頷くと、顔を覆い、こんなことに、と腰を落とした。
「……でも予測はついていたんじゃないか」
「……確かに……エリザ様はルイズ様を王位につかせる為に必死なのはわかっていましたが、でも、こんな……リュカ様だけではなく、他にも伝染るようなことを……」
「もしかしたらなんだけど」
「……?」
「今日動くんじゃないだろうか」
「……え」
初めて城に来て王妃に喧嘩を売る胡散臭い精霊士。
そんなの都合良いに決まってる。
精霊士のせいに出来て、そんな胡散臭い精霊士を連れてきた聖女様の排除が出来るチャンスだ。
あの態度からして、自信があるのだろう。
この城を覆う程の魔力。対して聖女様はほぼ力を出せないくらいに追い詰めてる。
でも残念でした、こっちにはもう1人聖女様がいるのだ。
引きたい気持ちが強い。
でも逃げたらいけない気がする。
でも僕に出来るのは魔法をぶっぱなすことだけ。
モンスターならともかく、人間に攻撃する勇気はまだない。
……でもやる、果穂とカレンに攻撃してきたらやってやる、ただ火力の調整間違ったらごめん。
カレンを庇うように前に立つと、ふふ、と口元を緩ませ、聖女様はいいわね、と言われた。
カレンが下を向いたのがわかる。
「王子達に精霊士様だなんて、聖女様は物語のお姫様のようねえ」
「そんな……つもりは……」
「リュカ様から離れて大丈夫かしら、目を離した隙に息を引き取ってしまったら責任重大よ、この国を敵に回す気かしら」
「……っ」
いやなんでカレンはこの人を一番怪しいと言わなかったんだ、こんなの自白してるようなものではないか。
エリザ様は頭が悪いのか?綺麗な人だし魔力もすごいみたいだけど、こんなバレバレでいいのか?
いや周りも不審に思ってないなら何かあるのか?僕が嵌められてるだけか?
「失礼ですがエリザ様」
「あらなぁに?気に障ったかしら、王族と並べられるなんて光栄なことよ」
「いえ、そこはどうでもいいで……そのお話ではなく」
「……言ってご覧なさい」
「エリザ様の周りに精霊が居ないのは元々なのでしょうか」
「はぁ?」
果穂に今口を開かせる訳にはいかない。
だからエリザ様の周りに精霊がいるかどうかなんて僕にはわからない。
ただ精霊が見える大人はなかなかいないようなので、エリザ様からも見えないだろうと勝手なことをそれっぽく言っても大丈夫な筈だ。
「小さな子以外はご存知だと思いますが、魔法は精霊の力を借りて使うものになります。エリザ様の周りには精霊が居ないようですが、大丈夫でしょうか、体調は崩されてませんか?リュカ様のようになっては大変です、お部屋でお休みなさっては」
「存じてますわ、でもお気遣いなく。ちゃんと精霊様はいらっしゃいますので」
「そうでしょうか、僕には見えないのですが……リュカ様と同じ状態ですので」
「ふふ、リュカと同じな訳ないでしょう、私ご覧の通り元気でしてよ、あまり勝手なこと言うべきではないわ」
顔色を変えることもない。
自分の周りは割と顔に出す人が多かったから、流石生きてる歳も場数も違うなと思った。
「いいえ、気を付けた方が良いです、何かあってからでは遅いですからね」
「ご忠告ありがとうございます、そうね、気をつけますわ、でも感染症なのでしょう?精霊様は関係ないのでは?」
「リュカ様のお部屋は極端に精霊が少ない状態でした。失礼ながら、先程見えたエリザ様のお部屋も同じように見えましたので……」
「……」
漸く少し苛ついたような表情にかわる。
その時、先程聞いたばかりの声がした。
「お母様、どうなさいましたか」
「ルイズ」
「……ルイズ様」
第2王子だ。
こちらにぺこりと頭を下げると、エリザ様の元へ行く。
エリザ様は少し眉を顰め、こんなところで何をしてるのです、と冷たく言う。
「……先生が、授業の準備に時間が掛かるので休憩をとっていいと言われたので、お茶でもと思いまして」
「そんな暇があるのなら訓練でもしなさい、ただでさえ貴方は遅れているのだから」
「……はい」
目に見えてしゅんとしたルイズ様に、果穂が手を伸ばした。
「その娘は?」
「僕の妹です、子供にも精霊は見えますからね、今後の為にいつも傍に置いております」
「贅沢な授業ですわね」
ぼそりと果穂が耳元で囁く。
ずっとまっくろいの出てる、と。
通りで更に息苦しくなってる筈だ。
「ルイズ」
「はい」
「貴方も早く授業に戻りなさい」
「でも」
「でもじゃないわ、何の為に教師を雇ってるの?貴方にはまだまだ覚えることやるべき事は沢山あるでしょう」
「……はい」
肩を落としたルイズ様は僕達に背を向け、また戻っていく。
自分の息子だというのに……いや、息子だからこそ王位につかせるためにこんなことをしているのか。
「貴方たちもいつまでもこんなところに居ずに戻りなさい、リュカを診にこられたのでしょう?」
苦々しげに、でも笑みは忘れずに言う。
このままどうにかした方が、とも思ったが、やっとこの人から離れられる。
一度カレンと相談したい。
「ええ、暫くリュカ様のお部屋にいますので、何かございましたら」
元きた廊下を戻り、またカレンの案内でリュカ様の部屋に戻る。
駆け寄ったカレンは、リュカ様にかわりがないことを確認して安堵の息を漏らした。
「……エリザ様がやっている……ということなんですよね?」
震えた声でカレンが訊く。
頷くと、顔を覆い、こんなことに、と腰を落とした。
「……でも予測はついていたんじゃないか」
「……確かに……エリザ様はルイズ様を王位につかせる為に必死なのはわかっていましたが、でも、こんな……リュカ様だけではなく、他にも伝染るようなことを……」
「もしかしたらなんだけど」
「……?」
「今日動くんじゃないだろうか」
「……え」
初めて城に来て王妃に喧嘩を売る胡散臭い精霊士。
そんなの都合良いに決まってる。
精霊士のせいに出来て、そんな胡散臭い精霊士を連れてきた聖女様の排除が出来るチャンスだ。
あの態度からして、自信があるのだろう。
この城を覆う程の魔力。対して聖女様はほぼ力を出せないくらいに追い詰めてる。
でも残念でした、こっちにはもう1人聖女様がいるのだ。
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