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第一章:二人の出会い
episode-17
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「ツイタヨ」
「ありがとう」
前にエドと来た場所の筈なのに、そこは全然違う風景に見えました。
湖面の真上に禍々しく黒を帯びた球体が浮遊していました。
「アレガマリョクサイガイノカクダヨ。」
「ハミィ、アレニフレテ。アノカタマリノコエヲキイテ。」
ゆっくりと、私はソレに近づき側面に触れました。すると冷水に包まれる感覚におそわれ、辺りはひたすらな闇となっていたのです。
「ここは、、」
見回すと、そこに一人見覚えのある小さな背中がうずくまって泣いていました。
「っマルク!」
その方に触れこちらに向かすと、マルクの目は空洞で。真っ黒な涙を流していました。
「ボクハ、チガウ。」
「あなた、、あなたはもしかして。」
「ソウ、ボクハヤミ。キミハイトシゴ、、」
「マルクは、マルクは大丈夫なの。」
「コレハボクノウツワ、モウボクノモノ。」
「駄目よ、マルクは私の大切な家族なの、返して。」
フルフルと首を降り、闇はそれ以降何も言おうとはしませんでした。
「…分かったわ。それなら、あなたの器は私が成りましょう。マルクの魔力より、私の魔力の方が遥かに多い、それはあなたも感じるでしょう。だから弟を使って私を呼び寄せたのでしょう?ならば私に入りなさい。」
すると闇はニタァ、と気持ちの悪い笑顔をしながら弟の口から出てきました。
「ハヤク、ハヤク。」
弟が元の姿に戻ったのを確認してから、私は闇に向かって言いました。
「さぁ、入るといいわ。」
ドンッ!体全体が吹っ飛びそうな衝撃が体を突き抜けましたが、それに耐えると頭の中から私の意志とは違う声が響き渡りました。
悲しい叫びや憎しみの声、この世のあらゆる負の感情が一気に私の中で爆発します。それは私にとって理性を失いそうなくらい、私自身も狂ってしまいそうなくらいなものでした。ですが私は狂っている暇などないのです。
この闇に触れた以上、マルクも精神に限界が来ているはず、私は必死に自分の中の闇を押さえ付けながらマルクを抱き抱え、精霊にマルクを頼みました。
「精霊、、さん。マルクを、マルクをお母様の所まで連れていってあげて。。」
「ハミィ!ナンデボクタチニネガワナカッタノ!?」
闇の球体から出てきた私の姿は、金髪碧眼から真っ黒な髪に真っ黒な瞳となっていて、着ていた白い服まで黒に染まっていました。私の体の血管も黒く浮かび上がり、もはや人間のそれではありません。
「ごめんなさい、、弟を助けるにはこれしか無かったの。」
「ハミィ、、」
「あなたたちも急いでここを離れた方がいいわ、もう私の正気も保てそうにないの、、。さっきから頭の中がガンガンして、、もう、、。だから、早く逃げなさい。」
私の気に圧されてか、精霊はマルクを連れて屋敷へと向かってくれました。
「良かったわ、、これでもう、、ボクノモノダ。」
体を得た闇は器の強大な魔力をより増幅させ、負の魔力を体に纏い、次々と生あるものを殺していきました。自分より強きものに出会うまで、それは止まることはないのです。
「ありがとう」
前にエドと来た場所の筈なのに、そこは全然違う風景に見えました。
湖面の真上に禍々しく黒を帯びた球体が浮遊していました。
「アレガマリョクサイガイノカクダヨ。」
「ハミィ、アレニフレテ。アノカタマリノコエヲキイテ。」
ゆっくりと、私はソレに近づき側面に触れました。すると冷水に包まれる感覚におそわれ、辺りはひたすらな闇となっていたのです。
「ここは、、」
見回すと、そこに一人見覚えのある小さな背中がうずくまって泣いていました。
「っマルク!」
その方に触れこちらに向かすと、マルクの目は空洞で。真っ黒な涙を流していました。
「ボクハ、チガウ。」
「あなた、、あなたはもしかして。」
「ソウ、ボクハヤミ。キミハイトシゴ、、」
「マルクは、マルクは大丈夫なの。」
「コレハボクノウツワ、モウボクノモノ。」
「駄目よ、マルクは私の大切な家族なの、返して。」
フルフルと首を降り、闇はそれ以降何も言おうとはしませんでした。
「…分かったわ。それなら、あなたの器は私が成りましょう。マルクの魔力より、私の魔力の方が遥かに多い、それはあなたも感じるでしょう。だから弟を使って私を呼び寄せたのでしょう?ならば私に入りなさい。」
すると闇はニタァ、と気持ちの悪い笑顔をしながら弟の口から出てきました。
「ハヤク、ハヤク。」
弟が元の姿に戻ったのを確認してから、私は闇に向かって言いました。
「さぁ、入るといいわ。」
ドンッ!体全体が吹っ飛びそうな衝撃が体を突き抜けましたが、それに耐えると頭の中から私の意志とは違う声が響き渡りました。
悲しい叫びや憎しみの声、この世のあらゆる負の感情が一気に私の中で爆発します。それは私にとって理性を失いそうなくらい、私自身も狂ってしまいそうなくらいなものでした。ですが私は狂っている暇などないのです。
この闇に触れた以上、マルクも精神に限界が来ているはず、私は必死に自分の中の闇を押さえ付けながらマルクを抱き抱え、精霊にマルクを頼みました。
「精霊、、さん。マルクを、マルクをお母様の所まで連れていってあげて。。」
「ハミィ!ナンデボクタチニネガワナカッタノ!?」
闇の球体から出てきた私の姿は、金髪碧眼から真っ黒な髪に真っ黒な瞳となっていて、着ていた白い服まで黒に染まっていました。私の体の血管も黒く浮かび上がり、もはや人間のそれではありません。
「ごめんなさい、、弟を助けるにはこれしか無かったの。」
「ハミィ、、」
「あなたたちも急いでここを離れた方がいいわ、もう私の正気も保てそうにないの、、。さっきから頭の中がガンガンして、、もう、、。だから、早く逃げなさい。」
私の気に圧されてか、精霊はマルクを連れて屋敷へと向かってくれました。
「良かったわ、、これでもう、、ボクノモノダ。」
体を得た闇は器の強大な魔力をより増幅させ、負の魔力を体に纏い、次々と生あるものを殺していきました。自分より強きものに出会うまで、それは止まることはないのです。
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