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フラットシート
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社畜始めて早幾年。友人も多くなければ恋人もいない雅之の楽しみは、月に一回給料日にネットカフェでひと晩を過ごすことだった。
何が良いって、一人になれるのが最高に良い。良い年した社会人男性なんだから一人暮らししてると思われがちだが、雅之は実家暮らしである。一度家を出たりもしたけど結局、子離れ出来ない母親のおかげで泣く泣く実家に戻ったのだ。
自分だけの空間!と思って作り出したその場所に帰ったら、ほぼ毎晩母親がいる生活。ストレスの具合が半端じゃない。しかもダメ出しばかりされるものだから、疲れは溜まり仕事でもミス連発。結局一年も耐えられずに戻ったのである。
母と仲が悪かったり、母に恩がなければ良かったのだが。人並みに育ててもらったし、やっぱり母のことは好きだ。無理やり遠くに行くことも考えたが、雅之と同級生の親より少し上の世代の母は、足腰がかなり悪くなっていた。それもあって、実家から近い場所に家を借りたのも良くなかったかもしれないけど、やっぱりそんな母のそばにはいてやりたいもので。
そんなこんなで贅沢すると決めた月に一度。
母には会社の飲みで、そのあと同僚の家に泊まると言ってある。
もう昼間からウキウキだった。
定時になった途端に席を立った。確か実家近くの駅に新しい場所が出来ていたのだ。外観も結構綺麗だったし広そうだったから期待できる。この日はお値段なんて考えないようにしていた。
駅から歩いて二分。最近オープンしたらしいそのネットカフェは、近くにあるようだった。少し珍しい気がしたけど、構わず階段を降りる。
「いらっしゃいませー」
どこの店もあまり変わらない、やる気のなさそうな店員の声。この日が始まったという気分になる。
「初めてでしょうか」
「はい」
「会員制になってまして、入会金は無料ですがこちらのカードを発行させて頂きます。当店フラットシートのみになっております、料金は退出時間に合わせて自動的に最安値パックに切り替わるシステムです」
フラットシートのみ、ってかなり珍しい。とは思いながらも、雅之は必ずフラットシートに入るから特に問題はない。
「オプションはお付けしますか」
「オプション?」
「......、当店オリジナルのオプションをつけていただくと店員が接待に参ります。ああ、お客様は初めてのご利用ですから無料でご利用になれますがいかがしますか」
「へえ?」
全然ピンとこなかった。ネットカフェにおける接待って一体なんなんだ。ドリンクやコミックを持ってきてくれるのだろうか。
とはいえ無料だし、初めてなんだから付けてみればいいか、と雅之は決める。納得いかないものであれば早めに退出すればいいだけの話である。幸い近くには行き慣れた場所もあるわけで。
「じゃあ、付けます」
「かしこまりました。では会員カード発行しますのでこちらにご記入をお願いします」
ここまでくればあとはどこの店でもそう変わらない手順。カードを発行して、バインダーに部屋番号書かれた伝票が挟まれて。違うと云えば最後の一言くらい。
「館内の説明は今回お相手させていただく者からいたします」
そしてカウンターの裏から青年が顔を出す。
「よろしくお願いします」
「あ、ああ......」
ぺこりと軽く頭を下げた青年は少し気だるげで、猫背気味なせいもあってか、前髪が目元を少しだけ隠してしまっていた。
「こちらです」
青年に案内されて、雅之は館内を進み始める。
ネットカフェにしては漫画が少ない気がした。それから一室一室が少しだけ大きい気がする。外から見たとき結構広そうだと思っていたけど、部屋数ではなく一室の広さにスペースを使っているようで。
「ドリンクはこちらですけど、まあ、なんか飲みたかったら言ってくれれば俺が注ぎます」
「やっぱりそういう感じなのか」
「やっぱり?」
「ああ、いや、接待ってどんなもんなんだろうなと思って。あんまり説明聞いてないんだ」
「へえ......。......あ、もうなんか持っていきます?」
「ああ、そうだな、ココア飲もうかな」
雅之がそういうと、青年はすぐにサーバーに向かった。近くにソフトクリームもあったから、あとで取りに来ようと決める。
雅之にあてがわれた場所はドリンクコーナーからすぐ近くだった。青年が扉を開けて、雅之が中に入る。まずは荷物を置いてから漫画を取りに行こうか、それとももう何か動画でも見て過ごすか。
決まらないまま財布を金庫に中に入れた。コートとジャケットをハンガーにかけて、デスクの下にカバンを押し込む。青年は部屋の外でじっと待っている。そういえば、接待ってドリンク注ぐ以外になにかあるのだろうか。何もしないのも申し訳ない気がしてくる。
「あの、」
「はい」
ほかの人はどんな風にしてるんだ、そう聞こうとするが、それより先に青年がシートの中に入ってきた。そのまま扉を閉めてしまう。
「......ねえ、説明全部聞かなかったんです?」
「いや聞かなかったっていうか、無かった気が......」
「まあいいや、座ってください」
促されるままリクライニングチェアに座る。
青年も隣に座るから、思わず呆然と見てしまった。
「ココア飲まないんです?」
「え、いや、」
戸惑っている雅之に、青年は手を伸ばした。
「ここね、そういう店なんですよ」
頰にキスされた、と気付いた時には両手をしっかり掴まれていた。
「......え?」
「ご挨拶遅れました。本日お相手させていただきます、ミツヒロです」
そういえば、昔ネットカフェを調べているとき見かけたことがある。ネットカフェのような装いで、ゲイのハッテン場になってる場所があるとか。そんなのあるんだなぁ、くらいにしか思っていなかった。
「接待無しの人は客同士で、接待ありの人はスタッフとするんです。そういう店なんですよ」
「し、知らな......」
「本当は、間違って入っちゃった人は帰してあげないといけないんですけど、お兄さんすごく俺好みなんですよ。......犯しますね」
ミツヒロの言葉がまったく理解出来ない。何も難しいことなんて言っていないはずなのに、咀嚼できない。
両手をリクライニングチェアの後ろに回される。ミツヒロが手を離したから、逃げなくては、と体を捩っても腕がチェアから離れない。
「嘘だろ!?」
「これね、後ろにベルト付いてて腕を固定出来るんですよ」
ミツヒロの舌が、雅之の顎にあたる。そのまま目尻まで舐め上げられた。
「ねえ、痛い目みたくないですよね」
「や、やだ」
「大人しくしてれば優しくするんで」
「......ッ」
「後悔してください。頭のてっぺんからつま先まで俺好みだったこと」
雅之の柔らかい黒髪を撫でて、ミツヒロは静かに笑う。どこかで喘ぐ男の声が聞こえた。
ミツヒロの舌が、雅之の口内を廻る。顔を両手でしっかり掴まれて、上顎を撫でられた。歯列をゆっくりなぞって、思い出したかのように舌同士が絡まる。そのまま上手にミツヒロの口に招かれて、わざと音を立てながら吸われた。
「んっ、んん、んえ、......っ」
犯されるの意味が分からないわけではないのに、ここまで来てもまだ実感出来ていなかった。
そもそもこのミツヒロはからかっているんじゃないのか。そんな思いが消えない。迷い込んだ年上の男を見て遊んでるんじゃないのか。
だから、きっと寸前のところでやめてもらえる。
「もうちょっと抵抗してくれてもいいんですよ?その方が燃えるし」
酸素が薄くなって頭がぼうっとする。
唇が離れて、初めてミツヒロの顔が見れた。整った顔立ちに思わず息を飲んでしまう。伏せた眉毛が色っぽくて、モデルみたいだ、なんて月並みな感想しか出てこないけれど。
「危機感が足りてないんですかね」
手が、スラックスに伸びる。ベルトを外したら終わると思っていたのに、ベルトは抜かれてジッパーも降ろされた。下着まで降ろされそうになって慌てて足を閉じようとする。だけど足の間にミツヒロが入り込んでいるおかげでどうにもならなかった。
「も、もういいだろ!」
「キスで満足するようなガキだと思います?」
キスで緩く勃ってしまった自信を撫でられた。
嫌だと言ったはずなのに、快楽を得てしまったのが恥ずかしくて顔に熱が集まる。
「キス、気持ちよかったですか」
「なあ、もういいだろ、頼むよ」
「俺がなんて言ったか覚えてます?犯してやるって言ったんですよ」
ミツヒロの声が一気に低くなった。
地を這うような声に、ここにきて初めてミツヒロを怖いと思った。形のいい手がボクサーパンツの中に入り込む。雅之自身を通り越して、その奥、自分でも滅多に触らないしぼみに触れられた。
「ひっ」
気持ち悪い!正気じゃない!
ようやく自分の身が危ないのだと思った。血の気が引いていくのを感じる。
しぼみを撫でられて、逃げるように身をよじった。だけど手は拘束されたまま。意味をなさない動きをミツヒロが鼻で笑う。
「今からここに指が入って広げるんです。そしたら俺ので、アンタが泣こうが喚こうがガバガバになるまで犯してやる」
「犯罪じゃないか!」
「まあでも、ここじゃ全部そういうプレイってことになりますからね」
下着の中から抜いた指に、わざわざ雅之の顔の前で見せつけるように、備え付けのローションを垂らした。
また下着の中に潜り込まれる。ドッと心臓が跳ね上がった。いやだ。怖い、きもちわるい。キスで硬くなった自身もすっかり萎えてしまっていた。
「やだ!やだ、いやだ!!」
こんな目に遭うために来たわけじゃないのに。
ミツヒロは平然としぼみを撫でる。シワを一本一本伸ばすようにくるくると指を回した。
挿れられたくない。叫べば誰か助けてくれるだろうか。とん、と中心をノックされて、今しかないと思った。息を吸って、誰か、そう叫ぼうとした。
しかし口を強く塞がれる。
瞬間、指がねじ込まれた。
「んンンンンーーーッ!?」
「キッツ......」
痛い。張り裂けそう。気持ち悪くて、情けない。
「あ゛ッ、あ゛、うぅ、ひ、ぎっ」
口を塞いでいた手を離されても、もう叫ぶ気にもなれなくてされるがまま。強制的に排泄させられているような感覚が繰り返される。
「キッツいなぁ......、ケツオナもしたことない人とするの初めてなんですけど挿れるまで結構時間かかりそうです」
「ひッ、ああ゛、いっ、......ッあ、ぐっ」
気付けば一本指なら簡単に出たり入ったりするようになっているのが分かった。
「指二本、余裕で入るようになったら玩具でもいれましょうか。ここいっぱいあるんですよ。フェラとかしてあげます」
「い゛、いらない゛......ッ!」
「気持ちよくなれたら万々歳じゃないですか」
ミツヒロは指を引き抜いて、スタート画面のまま変わらないパソコンを見る。濡れた指で躊躇いもせずマウスを握って、メニューと書かれたページを出す。
そのままポインタは『アイテム』の文字をクリックした。
映し出されたのは雅之でも分かるバイブやローター、オナホールが並んでいて、スクロールして行けばいくほど見たことないものが並んでいた。それが性玩具だということは、分かる。
「どれにしましょうか」
「要らない!」
「俺のだけで良いってことです?嬉しいですけど、悪くないですよ?こういう玩具」
「違う!」
楽しそうに話すミツヒロに怒りが湧いてくる。戸惑いと痛みや違和感でいっぱいいっぱいだった体が解放されて、ようやくミツヒロを睨むことができた。
「......なあ、もういいだろ?頼むからもう解放してくれよ!」
ミツヒロは答えなかった。黙ったままパソコンを振り返る。そのままカチカチとクリック音がして、いくつかの商品を選んだようだったが、ミツヒロの肩が影になって見えなかった。
それからミツヒロは雅之に向き直る。
「怒った顔も、懇願してくる顔も俺好みで最高なんですよ。雅之さん」
頰にキスされた。ローションをかけ直した指がまた入ってくる。今度は二本の指がみちみちと、容赦無く奥へと進む。
「ぃぎッ......!ああ゛!」
痛いのに、最初にいられたときよりずっとスムーズなのがショックだ。
唇を塞がれて、くぐもった声とローションの音が響く。
「んっ、く、ん゛、ンンッ!」
「......ッはあ......。そういえば乳首って感じます?」
「あ゛、......っ、う、え?」
「乳首です、男の人ってあんまり触らないですけどたまにいるじゃないですか」
「さ、さわらない!」
どもってしまった。というのも、雅之はオナニーをするとき自分の乳首をいじる癖がある。昔興味本位で触れてからずっと習慣になってしまっていた。
つまり、雅之は乳首で快楽を得ることが出来る体なわけだ。
「雅之さん、わかりやすいってよく言われません?」
そう言ってニッコリ笑ったミツヒロは、シャツ越しに胸にしゃぶりついた。
「ひああッ!」
色のこもった声があがる。唾で濡れたシャツが擦れるだけで気持ちよかった。これはよくない。もっと酷い目ににあう。だけどどうしても快楽には抗えなかった。
「あっ、やだ、やめてくれ!あっ、あっ、ああっ」
「感じてる声、可愛いですね」
「うるさい!......ッぅ、ああ、ああっ、あっ!」
じゅぼじゅぼわざと音を立てられる。胸にしゃぶりつくミツヒロは、ジッと雅之を見ていた。いたたまれなくなって顔をそらして目を瞑る。
すっかり勃ちあがった乳首を前歯で噛んで、それから舌で舐め回す。小さなその場所を、余すことなく堪能するように。
お尻をいじられるより嫌だった。嫌がっていれば可哀想な被害者で済むのに、感じてしまえば自分がそれを望んでいるようになってしまうから。
「なあ、ほんと、やだっ、たのむ、やめて......!」
ゾクゾクと快楽が走る。根元をなぞって、それから先端まで撫で上げる。焦らすように乳輪を舐め回して、優しくキスをされた。そして思い切り吸い上げられる。
「~~~ッ!?......っ、ふ、ぅうんッ!」
「エッロ......」
シャツが濡れて、ピンとたちあがった真っ赤な突起が透けていた。
初めて胸を人にいじられた。自分で触るよりずっと気持ち良くて、自分では怖くてなかなかいけない快楽のその先にあっという間に連れて行かれてしまう。
恥ずかしくて死んでしまいそうだ。いっそこのまま殺してほしい。
「玩具がきたらココ、いっぱい可愛がってあげますね」
「嫌だ......、も、許してくれよ......」
「悪いことしてないでしょう、アンタ」
そう言って、挿れただけになっていた指がまた動き出す。
「あう゛......ッ、あ、......あ゛......!」
じゅぶじゅぶと鳴る音に、耳を塞いでしまいたい。
「結構緩くなってきましたね」
ノック音がした。ミツヒロは指を抜いて、ドアを開けてしまう。
「注文頂いたアイテム、お持ちしました」
「ありがとうございまーす」
きっと助けを求めるなら今だ。今、ミツヒロ以外の人間がいるこの瞬間しかない。
だけど動けなかったのはなけなしのプライドだ。こんな場所に迷い込んでしまったことも、情けなく年下に喘がされていることも、これから犯されそうになっていることも、どうしようもなく恥ずかしくて。他人言えど見られたくなかった。哀れな姿をこれ以上晒したくなかったのだ。
「いま助けてって言えばよかったじゃないですか。もしかして、結構期待してます?」
たとえ、こんな風にからかわれたとしても。
「......ッ」
「涙目で睨まれるの、グッと来ますね。好きです」
何を買ったのか、ミツヒロは見せようとしなかった。受け取った道具は雅之が座るリクライニングチェアの後ろに置かれる。カサカサと袋の中を漁るような音が聞こえた。
「これ、今からいれますね」
見せつけられたのは、目に痛いピンク色の、太いディルドだった。
「ヒッ......」
カチ、とスイッチが入る音がしてディルドがうねうね動き出した。グロテスクな光景に目をそらすと、頰を舐めあげられる。
「ズボン、脱がしますね」
「い、いやだ!」
いつかやめてくれるかも、きっと、もうすぐ。そう思って抵抗出来なかった体が、今になってようやく動いた。だというのに、蹴りあげようとした瞬間太ももを押さえる。
「雅之さん。この店、お客さん同士でもデキるんですよ。縛って、目隠しして、ケツ穴見せびらかすようにこの椅子に座って、肉便器になっても、ただのそういう性癖の淫乱お兄さんとしか思われません」
整った表情のない顔が、ただひたすら怖かった。
「俺だけに、しておきませんか?」
「......あ、」
ここで抵抗すれば、その言葉通りの目に遭う。そう確信してしまう表情、声色。
足から力を抜くと、ミツヒロはご機嫌な笑顔でスラックスを脱がせた。露わになった脚を撫でて、それから下着も脱がしてしまう。
「脚、拡げてください」
「......っ」
「拡げろ」
ゆっくり脚を広げると、褒めるように頰にキスをしてくる。一挙一動がバカにしてくるみたいだと思った。
ディルドをローションに垂らして、それから後孔に当てられる。冷たさに体が震えた。
押し込まれても、慣らされた後孔は簡単に開いてしまう。
「ああ゛、......ぐぅ......ッ」
指とは比べ物にならない圧迫感に脂汗が出る。ゆっくりゆっくり、雅之の腹を犯していく。そしてスイッチが入れられた。
「ッああぁああぁああ!」
腹のなかを押し拡げるように動く。異物が体内にいる違和感と不快感。気持ち悪くて吐きそうになる。
「やだっ!なあ、あっうぐうぅッ!」
「じゃあ気持ちいいことにして忘れましょう」
上擦った声でミツヒロが言う。興奮しているのが伝わって来て、もう意味が分からなかった。何が楽しいのか一切分からない。
目を瞑っていたおかげで、ミツヒロが胸に口付けるまで気付かなかった。触れられてなかった左側の乳首をじゅるりと吸われる。
「ひィンッ!?」
腹のなかの気持ち悪さを快感が上塗りした。
わざとらしく立てられた水音がいやでも耳に響く。舌全体で下から側からゆっくり舐めあげた。それから前歯で甘噛みを繰り返す。
「ひっ、やら、やめてくれ......ッ!あっ、ぅうんっ、んっ、んっ、ああっ!」
右側の乳首を指がカリカリと弾く。身をよじっても逃げられない。
「あああッ!いっ!ひっ、も、ゆるして、あっ、ぁああッ!」
体が甘く痺れていく。
「だから、アンタ何も悪くないでしょって」
嘲笑いながらぐにぃと両方指で引っ張られた。痛いはずなのに、気持ち良い。そして思い切り潰された。
「ひぎィッ!」
離された後もジンジンと熱く痛む。濡れたシャツが敏感なままのそこを擦った。
胸に気を取られたおかげですっかり後孔のディルドの存在は気にならなくなっていて、ミツヒロに膝で押し込まれて思い出す。
「......ぅあ!」
「乳首触られるの大好きなんですね、こんなバッキバキじゃないですか」
下を見れば、ミツヒロの言葉通りしっかりと形を持った自身があった。
「俺のも結構限界なんですよ」
ミツヒロは、雅之にまたがって硬くなった自身を腹に押し付けた。
そのまま雅之の後ろにある、先程受け取っていたアイテムに手を伸ばす。雅之の前に出されたのは二股のローターだった。シャツのボタンを乱暴に開けて、火照った体を撫でる。そしてピンと勃ったままの乳首にローターを当てて、一緒に受け取ったらしい医療用テープで貼り付けてしまった。ローターのリモコンもワキ腹のあたりに付けられる。
「そろそろ手も自由にしてあげますね」
ずっとリクライニングチェアの後ろで固定されていた手がようやく解放される。しかしずっと同じ体勢だったおかげで、すぐうまく動かすことは出来なかった。
手が自由になったところで、もう抵抗する気力も起きない。ミツヒロもそれを見越して解放したのだろう。
リクライニングチェアから降ろされて、代わりにミツヒロが座る。そして猛る自身を指差した。
「しゃぶって」
そして伸びきた手が胸のローターのスイッチを入れる。
「ああああっ!」
「イッたら全部外してあげますから」
「あっあっあっああんッ!......ッあっ、ああっ!」
外したらいけないのに、手が外しそうになる。堪える為に近くにあったものを掴めば、ミツヒロのズボンだった。
「早く、しゃぶって」
荒い息をミツヒロが吐く。
早く解放されたくて、ミツヒロ自身に飛びついた。こんな気持ちよくて恥ずかしくて苦しいのは早く終わらせてしまいたい。
熱いそれを口付けて、それから口を開いた。瞬間頭を鷲掴まれる。口内を肉棒が貫いた。
「んっおおぉおおおッ!?」
喉の奥まで一気に。それからギリギリまで引き抜かれて、また貫かれる。玩具のように頭を動かされた。
「おっ......ごっ、おっ、おっ!?」
「はっ、......ッ、く、......あっ、ぁあ」
「おえっ、え、お、おおっ、おっ!」
「......ぅあ、はあッ......、あー、っ」
やっと動きが止まったかと思えば、そのまま中に苦味が広がる。舌を動かしにくいほど粘っこくて、鼻がどうにかなりそうなくらい臭い。口の中に溜めているのが嫌で、口を開ける。溢れた白濁が垂れた。
「出してください」
渡された灰皿に吐き出す。粘ついて、出すのすら苦しかった。灰皿の上に溜まった白濁は思っていたよりずっと多い。
「これが今から雅之さんのお腹にいっぱい溜まるんです。楽しみでしょう?」
「あっ......ッ、んっ、あっ」
胸が気持ち良い。そのせいか、後ろにずっと入ったままのディルドも不快感がなくなってしまった。
ディルドを抜かれれば、開いて閉じないナカに空気が当たってすうすうする。
「今夜は、アンタは俺専用に肉便器になるって、理解しながら抱かれてくださいね」
なにもかも残酷だ。言葉のひとつひとつまで。
絶望しているはずなのに、感じるのをやめられない体が何より嫌だ。ミツヒロの腕が雅之を抱き寄せる。
もうとっくにぐちゃぐちゃのプライドは、今からまた踏みにじられる。
手首を床に縫い付けられたまま、ミツヒロは容赦なく腰を振って来た。内臓を思い切り揺さぶられる。引き抜かれると竿につられて後孔の縁がめくれる。
「あああぁああッ!あっ!ああっ!あッアアアッ!」
もう何度ナカに出されたのだろう。じゅぶ、と白濁の音がする。ローションなんてなくても白濁で事足りてしまう。
胸のローターは、途中で邪魔だからと外された。
だけど雅之自身はカウパーを垂れ流しながら震えている。
「ぁああっ、あっあっあっ!ああっ!」
「......ッ、緩くなってません?またアソコ責めましょうか......、っ」
「!いやぁ!ごめんなしゃ、ああっ!やだ!やだ、そこ、や、......~~ッはひっ!」
アソコ、と呼ばれたのは、雅之が快感を得てしまう場所だ。入口のすぐ近く。そこを突かれるといやでも勃ち上がって快楽を得てしまった。掘られたまま快楽を得てしまったが最後、雅之のお尻はいま、男性器を受け入れ喜ばせるための性器と化している。
雅之の弱い場所、前立腺に狙いを定めたミツヒロは、重点的にその場所をど突きまわす。腰をひねって逃げようとも許さない。腹から痺れて無いはずの子宮が喜ぶ。
「あああ!あっ!あん、ッ!ひっ!あああッいぐ!いぐ!イグっ!」
「......んっ、は、ッ、......イッてください!」
「いぐ!いぐ!いぐ!ぁ、ぁ、あ、ああッ!イッ、あああああぁああッ!」
足がピンと伸びたまま、震えが止まらない。目を開けているはずなのに、視界になにが入っているか処理が出来ない。
「上手にイけたからご褒美あげましょうか」
ミツヒロの肉棒が中から出て行く。くっぱり空いた孔からトロトロと白濁が溢れて行くのがわかった。
力が入らない体を反転される。そのままミツヒロが覆いかぶさってきた。背中に熱が当たる。
「ま、まだするのか......?」
「健気な肉便器にご褒美ですよ」
双丘の間を割いて、熱いものがまた埋まってくる。
「ぅあ、あっ、......ああっ」
そしてコツンと、あの、敏感な場所に当たった。
「寝バックって、前立腺突きやすいんですよ」
ひゅ、と喉がなった。
「......ッ!?やらあぁああああ!あっ!あああっ!あっあっあっ!いぐぅう!ッ!やっ、おッおおおッ!ぐ、......ぅあああッ!」
頭がおかしくなる。体のどこにも力が入らないはずなのに、お尻の中だけは喜んでミツヒロを締め付ける。
絶頂まで一気に追い詰められて、そこから降りることができない。
「おっ、おおっ!あひっ!あぁあぁあぁあぁ!おがしッ、ぐ、なう、からあ!いっでう!いっでうからあああっ!」
頭の中は真っ白。じゅぼじゅぼと大きな音と雅之の悲鳴が館内にひたすら響いた。ミツヒロは気持ち良さそうに吐息を漏らすだけで、やめるつもりなんてないらしい。
お尻の中は、ミツヒロから搾り取ろうと必死にうごめく。
ああ、もうバカになる。ふ、と自分の中で何かが切れた気がした。嫌だと思うから嫌なんだ。快楽にひたすら溺れていたい。気持ち良いに支配されるバカに堕ちてしまったほうが、きっと楽なんだ。
「......あひゅッ♡」
「気持ち良いでしょう?」
「......ッあ、い、いいっ、きもちいい......ッ♡」
言葉にしてしまえばもう、ダメだった。
雅之は心までミツヒロの肉便器に落ちていく。
「~~ッ!最高......!」
ミツヒロは雅之の胸に腕を忍び込ませた。そして胸の突起をきゅむ、と摘み上げる。
「ぁあああああっ♡」
乳首がビリビリ痺れて腰から蕩けていく。お尻の中を掻き回されると全身が熱くなってたまらなく気持ち良い。嫌だと言っても無理やり叩きつけられる快感がもっと欲しい。
「あんっ♡あっあっあっあっ♡いいっ♡きもちいッ♡ぁああんッ!あーっ!あっ♡いくっ、いくうッ♡」
「はっ、もっと気持ち良くしてやるよ......!」
「いく!いくぅうううッ♡......ッん、ああっ!いってう!いってうの!あっ♡ああッ!もっと、もっとぉッ♡」
「ねえ、雅之さん、俺の、好きって言って......!」
「しゅきいッ!しゅき、しゅ、あっああん♡あっあっあっ♡みつひ、ろ、......ッあひんッ!?ああーッ♡ぁああああッ♡」
また中に白濁が出される。それすら気持ち良いし、達したミツヒロの動くが止まってしまうのがもどかしかった。自然と腰を振りながらミツヒロを誘う。
「......ッあ♡......あん♡」
「......すげえ淫乱、最高」
はいったまま抱き起こされる。膝立ちのまま体が沿って、強引に唇を奪われた。
「あふ、ぅうんっ♡」
「よかったね、俺が絶倫で」
視界がぼやけてミツヒロがどんな表情をしているのか分からない。回らなくなった頭は、次に与えられる快楽のことばかり考えてしまっていた。
重たい瞼を開ける。
誰かの腕のなか。見覚えのない狭い空間と、グチャグチャになった性玩具。
意識がはっきりとしてくるとともに、痴態の記憶が蘇ってくる。
「ああッ!」
起き上がろうとしても叶わなかった。雅之の体はミツヒロに捕らえられている。
「ん、起きました?」
「ひっ」
「そんな怯えないでくださいよ」
ミツヒロはなにかを気にした様子もなく、雅之の頰にキスをした。
「かかったお金は全部払いますから。ああ、もちろん次もです」
「つ、つぎ?」
次ってなんだ。そう思っていたら、スマホを渡される。見覚えがないからきっとミツヒロのものだろう。
「ちゃんと見ててくださいね」
雅之が画面をタップすると動画が再生された。
ミツヒロの腹の上で腰を振る雅之がそこにいる。
『あっ♡あんッ♡あっあっあっ♡』
『っ、そんな気持ち良いなら、俺の専属肉便器になります?』
『んえ?えっ、あっ♡う?』
『また気持ち良いことしましょうか』
『ん、しゅる、しゅ、あっ、イグっいぐっ!イグううッ♡』
動画の再生が終わる。ミツヒロが動画画面を閉じると、雅之のアドレスへの送信履歴が開かれていた。
何が良いって、一人になれるのが最高に良い。良い年した社会人男性なんだから一人暮らししてると思われがちだが、雅之は実家暮らしである。一度家を出たりもしたけど結局、子離れ出来ない母親のおかげで泣く泣く実家に戻ったのだ。
自分だけの空間!と思って作り出したその場所に帰ったら、ほぼ毎晩母親がいる生活。ストレスの具合が半端じゃない。しかもダメ出しばかりされるものだから、疲れは溜まり仕事でもミス連発。結局一年も耐えられずに戻ったのである。
母と仲が悪かったり、母に恩がなければ良かったのだが。人並みに育ててもらったし、やっぱり母のことは好きだ。無理やり遠くに行くことも考えたが、雅之と同級生の親より少し上の世代の母は、足腰がかなり悪くなっていた。それもあって、実家から近い場所に家を借りたのも良くなかったかもしれないけど、やっぱりそんな母のそばにはいてやりたいもので。
そんなこんなで贅沢すると決めた月に一度。
母には会社の飲みで、そのあと同僚の家に泊まると言ってある。
もう昼間からウキウキだった。
定時になった途端に席を立った。確か実家近くの駅に新しい場所が出来ていたのだ。外観も結構綺麗だったし広そうだったから期待できる。この日はお値段なんて考えないようにしていた。
駅から歩いて二分。最近オープンしたらしいそのネットカフェは、近くにあるようだった。少し珍しい気がしたけど、構わず階段を降りる。
「いらっしゃいませー」
どこの店もあまり変わらない、やる気のなさそうな店員の声。この日が始まったという気分になる。
「初めてでしょうか」
「はい」
「会員制になってまして、入会金は無料ですがこちらのカードを発行させて頂きます。当店フラットシートのみになっております、料金は退出時間に合わせて自動的に最安値パックに切り替わるシステムです」
フラットシートのみ、ってかなり珍しい。とは思いながらも、雅之は必ずフラットシートに入るから特に問題はない。
「オプションはお付けしますか」
「オプション?」
「......、当店オリジナルのオプションをつけていただくと店員が接待に参ります。ああ、お客様は初めてのご利用ですから無料でご利用になれますがいかがしますか」
「へえ?」
全然ピンとこなかった。ネットカフェにおける接待って一体なんなんだ。ドリンクやコミックを持ってきてくれるのだろうか。
とはいえ無料だし、初めてなんだから付けてみればいいか、と雅之は決める。納得いかないものであれば早めに退出すればいいだけの話である。幸い近くには行き慣れた場所もあるわけで。
「じゃあ、付けます」
「かしこまりました。では会員カード発行しますのでこちらにご記入をお願いします」
ここまでくればあとはどこの店でもそう変わらない手順。カードを発行して、バインダーに部屋番号書かれた伝票が挟まれて。違うと云えば最後の一言くらい。
「館内の説明は今回お相手させていただく者からいたします」
そしてカウンターの裏から青年が顔を出す。
「よろしくお願いします」
「あ、ああ......」
ぺこりと軽く頭を下げた青年は少し気だるげで、猫背気味なせいもあってか、前髪が目元を少しだけ隠してしまっていた。
「こちらです」
青年に案内されて、雅之は館内を進み始める。
ネットカフェにしては漫画が少ない気がした。それから一室一室が少しだけ大きい気がする。外から見たとき結構広そうだと思っていたけど、部屋数ではなく一室の広さにスペースを使っているようで。
「ドリンクはこちらですけど、まあ、なんか飲みたかったら言ってくれれば俺が注ぎます」
「やっぱりそういう感じなのか」
「やっぱり?」
「ああ、いや、接待ってどんなもんなんだろうなと思って。あんまり説明聞いてないんだ」
「へえ......。......あ、もうなんか持っていきます?」
「ああ、そうだな、ココア飲もうかな」
雅之がそういうと、青年はすぐにサーバーに向かった。近くにソフトクリームもあったから、あとで取りに来ようと決める。
雅之にあてがわれた場所はドリンクコーナーからすぐ近くだった。青年が扉を開けて、雅之が中に入る。まずは荷物を置いてから漫画を取りに行こうか、それとももう何か動画でも見て過ごすか。
決まらないまま財布を金庫に中に入れた。コートとジャケットをハンガーにかけて、デスクの下にカバンを押し込む。青年は部屋の外でじっと待っている。そういえば、接待ってドリンク注ぐ以外になにかあるのだろうか。何もしないのも申し訳ない気がしてくる。
「あの、」
「はい」
ほかの人はどんな風にしてるんだ、そう聞こうとするが、それより先に青年がシートの中に入ってきた。そのまま扉を閉めてしまう。
「......ねえ、説明全部聞かなかったんです?」
「いや聞かなかったっていうか、無かった気が......」
「まあいいや、座ってください」
促されるままリクライニングチェアに座る。
青年も隣に座るから、思わず呆然と見てしまった。
「ココア飲まないんです?」
「え、いや、」
戸惑っている雅之に、青年は手を伸ばした。
「ここね、そういう店なんですよ」
頰にキスされた、と気付いた時には両手をしっかり掴まれていた。
「......え?」
「ご挨拶遅れました。本日お相手させていただきます、ミツヒロです」
そういえば、昔ネットカフェを調べているとき見かけたことがある。ネットカフェのような装いで、ゲイのハッテン場になってる場所があるとか。そんなのあるんだなぁ、くらいにしか思っていなかった。
「接待無しの人は客同士で、接待ありの人はスタッフとするんです。そういう店なんですよ」
「し、知らな......」
「本当は、間違って入っちゃった人は帰してあげないといけないんですけど、お兄さんすごく俺好みなんですよ。......犯しますね」
ミツヒロの言葉がまったく理解出来ない。何も難しいことなんて言っていないはずなのに、咀嚼できない。
両手をリクライニングチェアの後ろに回される。ミツヒロが手を離したから、逃げなくては、と体を捩っても腕がチェアから離れない。
「嘘だろ!?」
「これね、後ろにベルト付いてて腕を固定出来るんですよ」
ミツヒロの舌が、雅之の顎にあたる。そのまま目尻まで舐め上げられた。
「ねえ、痛い目みたくないですよね」
「や、やだ」
「大人しくしてれば優しくするんで」
「......ッ」
「後悔してください。頭のてっぺんからつま先まで俺好みだったこと」
雅之の柔らかい黒髪を撫でて、ミツヒロは静かに笑う。どこかで喘ぐ男の声が聞こえた。
ミツヒロの舌が、雅之の口内を廻る。顔を両手でしっかり掴まれて、上顎を撫でられた。歯列をゆっくりなぞって、思い出したかのように舌同士が絡まる。そのまま上手にミツヒロの口に招かれて、わざと音を立てながら吸われた。
「んっ、んん、んえ、......っ」
犯されるの意味が分からないわけではないのに、ここまで来てもまだ実感出来ていなかった。
そもそもこのミツヒロはからかっているんじゃないのか。そんな思いが消えない。迷い込んだ年上の男を見て遊んでるんじゃないのか。
だから、きっと寸前のところでやめてもらえる。
「もうちょっと抵抗してくれてもいいんですよ?その方が燃えるし」
酸素が薄くなって頭がぼうっとする。
唇が離れて、初めてミツヒロの顔が見れた。整った顔立ちに思わず息を飲んでしまう。伏せた眉毛が色っぽくて、モデルみたいだ、なんて月並みな感想しか出てこないけれど。
「危機感が足りてないんですかね」
手が、スラックスに伸びる。ベルトを外したら終わると思っていたのに、ベルトは抜かれてジッパーも降ろされた。下着まで降ろされそうになって慌てて足を閉じようとする。だけど足の間にミツヒロが入り込んでいるおかげでどうにもならなかった。
「も、もういいだろ!」
「キスで満足するようなガキだと思います?」
キスで緩く勃ってしまった自信を撫でられた。
嫌だと言ったはずなのに、快楽を得てしまったのが恥ずかしくて顔に熱が集まる。
「キス、気持ちよかったですか」
「なあ、もういいだろ、頼むよ」
「俺がなんて言ったか覚えてます?犯してやるって言ったんですよ」
ミツヒロの声が一気に低くなった。
地を這うような声に、ここにきて初めてミツヒロを怖いと思った。形のいい手がボクサーパンツの中に入り込む。雅之自身を通り越して、その奥、自分でも滅多に触らないしぼみに触れられた。
「ひっ」
気持ち悪い!正気じゃない!
ようやく自分の身が危ないのだと思った。血の気が引いていくのを感じる。
しぼみを撫でられて、逃げるように身をよじった。だけど手は拘束されたまま。意味をなさない動きをミツヒロが鼻で笑う。
「今からここに指が入って広げるんです。そしたら俺ので、アンタが泣こうが喚こうがガバガバになるまで犯してやる」
「犯罪じゃないか!」
「まあでも、ここじゃ全部そういうプレイってことになりますからね」
下着の中から抜いた指に、わざわざ雅之の顔の前で見せつけるように、備え付けのローションを垂らした。
また下着の中に潜り込まれる。ドッと心臓が跳ね上がった。いやだ。怖い、きもちわるい。キスで硬くなった自身もすっかり萎えてしまっていた。
「やだ!やだ、いやだ!!」
こんな目に遭うために来たわけじゃないのに。
ミツヒロは平然としぼみを撫でる。シワを一本一本伸ばすようにくるくると指を回した。
挿れられたくない。叫べば誰か助けてくれるだろうか。とん、と中心をノックされて、今しかないと思った。息を吸って、誰か、そう叫ぼうとした。
しかし口を強く塞がれる。
瞬間、指がねじ込まれた。
「んンンンンーーーッ!?」
「キッツ......」
痛い。張り裂けそう。気持ち悪くて、情けない。
「あ゛ッ、あ゛、うぅ、ひ、ぎっ」
口を塞いでいた手を離されても、もう叫ぶ気にもなれなくてされるがまま。強制的に排泄させられているような感覚が繰り返される。
「キッツいなぁ......、ケツオナもしたことない人とするの初めてなんですけど挿れるまで結構時間かかりそうです」
「ひッ、ああ゛、いっ、......ッあ、ぐっ」
気付けば一本指なら簡単に出たり入ったりするようになっているのが分かった。
「指二本、余裕で入るようになったら玩具でもいれましょうか。ここいっぱいあるんですよ。フェラとかしてあげます」
「い゛、いらない゛......ッ!」
「気持ちよくなれたら万々歳じゃないですか」
ミツヒロは指を引き抜いて、スタート画面のまま変わらないパソコンを見る。濡れた指で躊躇いもせずマウスを握って、メニューと書かれたページを出す。
そのままポインタは『アイテム』の文字をクリックした。
映し出されたのは雅之でも分かるバイブやローター、オナホールが並んでいて、スクロールして行けばいくほど見たことないものが並んでいた。それが性玩具だということは、分かる。
「どれにしましょうか」
「要らない!」
「俺のだけで良いってことです?嬉しいですけど、悪くないですよ?こういう玩具」
「違う!」
楽しそうに話すミツヒロに怒りが湧いてくる。戸惑いと痛みや違和感でいっぱいいっぱいだった体が解放されて、ようやくミツヒロを睨むことができた。
「......なあ、もういいだろ?頼むからもう解放してくれよ!」
ミツヒロは答えなかった。黙ったままパソコンを振り返る。そのままカチカチとクリック音がして、いくつかの商品を選んだようだったが、ミツヒロの肩が影になって見えなかった。
それからミツヒロは雅之に向き直る。
「怒った顔も、懇願してくる顔も俺好みで最高なんですよ。雅之さん」
頰にキスされた。ローションをかけ直した指がまた入ってくる。今度は二本の指がみちみちと、容赦無く奥へと進む。
「ぃぎッ......!ああ゛!」
痛いのに、最初にいられたときよりずっとスムーズなのがショックだ。
唇を塞がれて、くぐもった声とローションの音が響く。
「んっ、く、ん゛、ンンッ!」
「......ッはあ......。そういえば乳首って感じます?」
「あ゛、......っ、う、え?」
「乳首です、男の人ってあんまり触らないですけどたまにいるじゃないですか」
「さ、さわらない!」
どもってしまった。というのも、雅之はオナニーをするとき自分の乳首をいじる癖がある。昔興味本位で触れてからずっと習慣になってしまっていた。
つまり、雅之は乳首で快楽を得ることが出来る体なわけだ。
「雅之さん、わかりやすいってよく言われません?」
そう言ってニッコリ笑ったミツヒロは、シャツ越しに胸にしゃぶりついた。
「ひああッ!」
色のこもった声があがる。唾で濡れたシャツが擦れるだけで気持ちよかった。これはよくない。もっと酷い目ににあう。だけどどうしても快楽には抗えなかった。
「あっ、やだ、やめてくれ!あっ、あっ、ああっ」
「感じてる声、可愛いですね」
「うるさい!......ッぅ、ああ、ああっ、あっ!」
じゅぼじゅぼわざと音を立てられる。胸にしゃぶりつくミツヒロは、ジッと雅之を見ていた。いたたまれなくなって顔をそらして目を瞑る。
すっかり勃ちあがった乳首を前歯で噛んで、それから舌で舐め回す。小さなその場所を、余すことなく堪能するように。
お尻をいじられるより嫌だった。嫌がっていれば可哀想な被害者で済むのに、感じてしまえば自分がそれを望んでいるようになってしまうから。
「なあ、ほんと、やだっ、たのむ、やめて......!」
ゾクゾクと快楽が走る。根元をなぞって、それから先端まで撫で上げる。焦らすように乳輪を舐め回して、優しくキスをされた。そして思い切り吸い上げられる。
「~~~ッ!?......っ、ふ、ぅうんッ!」
「エッロ......」
シャツが濡れて、ピンとたちあがった真っ赤な突起が透けていた。
初めて胸を人にいじられた。自分で触るよりずっと気持ち良くて、自分では怖くてなかなかいけない快楽のその先にあっという間に連れて行かれてしまう。
恥ずかしくて死んでしまいそうだ。いっそこのまま殺してほしい。
「玩具がきたらココ、いっぱい可愛がってあげますね」
「嫌だ......、も、許してくれよ......」
「悪いことしてないでしょう、アンタ」
そう言って、挿れただけになっていた指がまた動き出す。
「あう゛......ッ、あ、......あ゛......!」
じゅぶじゅぶと鳴る音に、耳を塞いでしまいたい。
「結構緩くなってきましたね」
ノック音がした。ミツヒロは指を抜いて、ドアを開けてしまう。
「注文頂いたアイテム、お持ちしました」
「ありがとうございまーす」
きっと助けを求めるなら今だ。今、ミツヒロ以外の人間がいるこの瞬間しかない。
だけど動けなかったのはなけなしのプライドだ。こんな場所に迷い込んでしまったことも、情けなく年下に喘がされていることも、これから犯されそうになっていることも、どうしようもなく恥ずかしくて。他人言えど見られたくなかった。哀れな姿をこれ以上晒したくなかったのだ。
「いま助けてって言えばよかったじゃないですか。もしかして、結構期待してます?」
たとえ、こんな風にからかわれたとしても。
「......ッ」
「涙目で睨まれるの、グッと来ますね。好きです」
何を買ったのか、ミツヒロは見せようとしなかった。受け取った道具は雅之が座るリクライニングチェアの後ろに置かれる。カサカサと袋の中を漁るような音が聞こえた。
「これ、今からいれますね」
見せつけられたのは、目に痛いピンク色の、太いディルドだった。
「ヒッ......」
カチ、とスイッチが入る音がしてディルドがうねうね動き出した。グロテスクな光景に目をそらすと、頰を舐めあげられる。
「ズボン、脱がしますね」
「い、いやだ!」
いつかやめてくれるかも、きっと、もうすぐ。そう思って抵抗出来なかった体が、今になってようやく動いた。だというのに、蹴りあげようとした瞬間太ももを押さえる。
「雅之さん。この店、お客さん同士でもデキるんですよ。縛って、目隠しして、ケツ穴見せびらかすようにこの椅子に座って、肉便器になっても、ただのそういう性癖の淫乱お兄さんとしか思われません」
整った表情のない顔が、ただひたすら怖かった。
「俺だけに、しておきませんか?」
「......あ、」
ここで抵抗すれば、その言葉通りの目に遭う。そう確信してしまう表情、声色。
足から力を抜くと、ミツヒロはご機嫌な笑顔でスラックスを脱がせた。露わになった脚を撫でて、それから下着も脱がしてしまう。
「脚、拡げてください」
「......っ」
「拡げろ」
ゆっくり脚を広げると、褒めるように頰にキスをしてくる。一挙一動がバカにしてくるみたいだと思った。
ディルドをローションに垂らして、それから後孔に当てられる。冷たさに体が震えた。
押し込まれても、慣らされた後孔は簡単に開いてしまう。
「ああ゛、......ぐぅ......ッ」
指とは比べ物にならない圧迫感に脂汗が出る。ゆっくりゆっくり、雅之の腹を犯していく。そしてスイッチが入れられた。
「ッああぁああぁああ!」
腹のなかを押し拡げるように動く。異物が体内にいる違和感と不快感。気持ち悪くて吐きそうになる。
「やだっ!なあ、あっうぐうぅッ!」
「じゃあ気持ちいいことにして忘れましょう」
上擦った声でミツヒロが言う。興奮しているのが伝わって来て、もう意味が分からなかった。何が楽しいのか一切分からない。
目を瞑っていたおかげで、ミツヒロが胸に口付けるまで気付かなかった。触れられてなかった左側の乳首をじゅるりと吸われる。
「ひィンッ!?」
腹のなかの気持ち悪さを快感が上塗りした。
わざとらしく立てられた水音がいやでも耳に響く。舌全体で下から側からゆっくり舐めあげた。それから前歯で甘噛みを繰り返す。
「ひっ、やら、やめてくれ......ッ!あっ、ぅうんっ、んっ、んっ、ああっ!」
右側の乳首を指がカリカリと弾く。身をよじっても逃げられない。
「あああッ!いっ!ひっ、も、ゆるして、あっ、ぁああッ!」
体が甘く痺れていく。
「だから、アンタ何も悪くないでしょって」
嘲笑いながらぐにぃと両方指で引っ張られた。痛いはずなのに、気持ち良い。そして思い切り潰された。
「ひぎィッ!」
離された後もジンジンと熱く痛む。濡れたシャツが敏感なままのそこを擦った。
胸に気を取られたおかげですっかり後孔のディルドの存在は気にならなくなっていて、ミツヒロに膝で押し込まれて思い出す。
「......ぅあ!」
「乳首触られるの大好きなんですね、こんなバッキバキじゃないですか」
下を見れば、ミツヒロの言葉通りしっかりと形を持った自身があった。
「俺のも結構限界なんですよ」
ミツヒロは、雅之にまたがって硬くなった自身を腹に押し付けた。
そのまま雅之の後ろにある、先程受け取っていたアイテムに手を伸ばす。雅之の前に出されたのは二股のローターだった。シャツのボタンを乱暴に開けて、火照った体を撫でる。そしてピンと勃ったままの乳首にローターを当てて、一緒に受け取ったらしい医療用テープで貼り付けてしまった。ローターのリモコンもワキ腹のあたりに付けられる。
「そろそろ手も自由にしてあげますね」
ずっとリクライニングチェアの後ろで固定されていた手がようやく解放される。しかしずっと同じ体勢だったおかげで、すぐうまく動かすことは出来なかった。
手が自由になったところで、もう抵抗する気力も起きない。ミツヒロもそれを見越して解放したのだろう。
リクライニングチェアから降ろされて、代わりにミツヒロが座る。そして猛る自身を指差した。
「しゃぶって」
そして伸びきた手が胸のローターのスイッチを入れる。
「ああああっ!」
「イッたら全部外してあげますから」
「あっあっあっああんッ!......ッあっ、ああっ!」
外したらいけないのに、手が外しそうになる。堪える為に近くにあったものを掴めば、ミツヒロのズボンだった。
「早く、しゃぶって」
荒い息をミツヒロが吐く。
早く解放されたくて、ミツヒロ自身に飛びついた。こんな気持ちよくて恥ずかしくて苦しいのは早く終わらせてしまいたい。
熱いそれを口付けて、それから口を開いた。瞬間頭を鷲掴まれる。口内を肉棒が貫いた。
「んっおおぉおおおッ!?」
喉の奥まで一気に。それからギリギリまで引き抜かれて、また貫かれる。玩具のように頭を動かされた。
「おっ......ごっ、おっ、おっ!?」
「はっ、......ッ、く、......あっ、ぁあ」
「おえっ、え、お、おおっ、おっ!」
「......ぅあ、はあッ......、あー、っ」
やっと動きが止まったかと思えば、そのまま中に苦味が広がる。舌を動かしにくいほど粘っこくて、鼻がどうにかなりそうなくらい臭い。口の中に溜めているのが嫌で、口を開ける。溢れた白濁が垂れた。
「出してください」
渡された灰皿に吐き出す。粘ついて、出すのすら苦しかった。灰皿の上に溜まった白濁は思っていたよりずっと多い。
「これが今から雅之さんのお腹にいっぱい溜まるんです。楽しみでしょう?」
「あっ......ッ、んっ、あっ」
胸が気持ち良い。そのせいか、後ろにずっと入ったままのディルドも不快感がなくなってしまった。
ディルドを抜かれれば、開いて閉じないナカに空気が当たってすうすうする。
「今夜は、アンタは俺専用に肉便器になるって、理解しながら抱かれてくださいね」
なにもかも残酷だ。言葉のひとつひとつまで。
絶望しているはずなのに、感じるのをやめられない体が何より嫌だ。ミツヒロの腕が雅之を抱き寄せる。
もうとっくにぐちゃぐちゃのプライドは、今からまた踏みにじられる。
手首を床に縫い付けられたまま、ミツヒロは容赦なく腰を振って来た。内臓を思い切り揺さぶられる。引き抜かれると竿につられて後孔の縁がめくれる。
「あああぁああッ!あっ!ああっ!あッアアアッ!」
もう何度ナカに出されたのだろう。じゅぶ、と白濁の音がする。ローションなんてなくても白濁で事足りてしまう。
胸のローターは、途中で邪魔だからと外された。
だけど雅之自身はカウパーを垂れ流しながら震えている。
「ぁああっ、あっあっあっ!ああっ!」
「......ッ、緩くなってません?またアソコ責めましょうか......、っ」
「!いやぁ!ごめんなしゃ、ああっ!やだ!やだ、そこ、や、......~~ッはひっ!」
アソコ、と呼ばれたのは、雅之が快感を得てしまう場所だ。入口のすぐ近く。そこを突かれるといやでも勃ち上がって快楽を得てしまった。掘られたまま快楽を得てしまったが最後、雅之のお尻はいま、男性器を受け入れ喜ばせるための性器と化している。
雅之の弱い場所、前立腺に狙いを定めたミツヒロは、重点的にその場所をど突きまわす。腰をひねって逃げようとも許さない。腹から痺れて無いはずの子宮が喜ぶ。
「あああ!あっ!あん、ッ!ひっ!あああッいぐ!いぐ!イグっ!」
「......んっ、は、ッ、......イッてください!」
「いぐ!いぐ!いぐ!ぁ、ぁ、あ、ああッ!イッ、あああああぁああッ!」
足がピンと伸びたまま、震えが止まらない。目を開けているはずなのに、視界になにが入っているか処理が出来ない。
「上手にイけたからご褒美あげましょうか」
ミツヒロの肉棒が中から出て行く。くっぱり空いた孔からトロトロと白濁が溢れて行くのがわかった。
力が入らない体を反転される。そのままミツヒロが覆いかぶさってきた。背中に熱が当たる。
「ま、まだするのか......?」
「健気な肉便器にご褒美ですよ」
双丘の間を割いて、熱いものがまた埋まってくる。
「ぅあ、あっ、......ああっ」
そしてコツンと、あの、敏感な場所に当たった。
「寝バックって、前立腺突きやすいんですよ」
ひゅ、と喉がなった。
「......ッ!?やらあぁああああ!あっ!あああっ!あっあっあっ!いぐぅう!ッ!やっ、おッおおおッ!ぐ、......ぅあああッ!」
頭がおかしくなる。体のどこにも力が入らないはずなのに、お尻の中だけは喜んでミツヒロを締め付ける。
絶頂まで一気に追い詰められて、そこから降りることができない。
「おっ、おおっ!あひっ!あぁあぁあぁあぁ!おがしッ、ぐ、なう、からあ!いっでう!いっでうからあああっ!」
頭の中は真っ白。じゅぼじゅぼと大きな音と雅之の悲鳴が館内にひたすら響いた。ミツヒロは気持ち良さそうに吐息を漏らすだけで、やめるつもりなんてないらしい。
お尻の中は、ミツヒロから搾り取ろうと必死にうごめく。
ああ、もうバカになる。ふ、と自分の中で何かが切れた気がした。嫌だと思うから嫌なんだ。快楽にひたすら溺れていたい。気持ち良いに支配されるバカに堕ちてしまったほうが、きっと楽なんだ。
「......あひゅッ♡」
「気持ち良いでしょう?」
「......ッあ、い、いいっ、きもちいい......ッ♡」
言葉にしてしまえばもう、ダメだった。
雅之は心までミツヒロの肉便器に落ちていく。
「~~ッ!最高......!」
ミツヒロは雅之の胸に腕を忍び込ませた。そして胸の突起をきゅむ、と摘み上げる。
「ぁあああああっ♡」
乳首がビリビリ痺れて腰から蕩けていく。お尻の中を掻き回されると全身が熱くなってたまらなく気持ち良い。嫌だと言っても無理やり叩きつけられる快感がもっと欲しい。
「あんっ♡あっあっあっあっ♡いいっ♡きもちいッ♡ぁああんッ!あーっ!あっ♡いくっ、いくうッ♡」
「はっ、もっと気持ち良くしてやるよ......!」
「いく!いくぅうううッ♡......ッん、ああっ!いってう!いってうの!あっ♡ああッ!もっと、もっとぉッ♡」
「ねえ、雅之さん、俺の、好きって言って......!」
「しゅきいッ!しゅき、しゅ、あっああん♡あっあっあっ♡みつひ、ろ、......ッあひんッ!?ああーッ♡ぁああああッ♡」
また中に白濁が出される。それすら気持ち良いし、達したミツヒロの動くが止まってしまうのがもどかしかった。自然と腰を振りながらミツヒロを誘う。
「......ッあ♡......あん♡」
「......すげえ淫乱、最高」
はいったまま抱き起こされる。膝立ちのまま体が沿って、強引に唇を奪われた。
「あふ、ぅうんっ♡」
「よかったね、俺が絶倫で」
視界がぼやけてミツヒロがどんな表情をしているのか分からない。回らなくなった頭は、次に与えられる快楽のことばかり考えてしまっていた。
重たい瞼を開ける。
誰かの腕のなか。見覚えのない狭い空間と、グチャグチャになった性玩具。
意識がはっきりとしてくるとともに、痴態の記憶が蘇ってくる。
「ああッ!」
起き上がろうとしても叶わなかった。雅之の体はミツヒロに捕らえられている。
「ん、起きました?」
「ひっ」
「そんな怯えないでくださいよ」
ミツヒロはなにかを気にした様子もなく、雅之の頰にキスをした。
「かかったお金は全部払いますから。ああ、もちろん次もです」
「つ、つぎ?」
次ってなんだ。そう思っていたら、スマホを渡される。見覚えがないからきっとミツヒロのものだろう。
「ちゃんと見ててくださいね」
雅之が画面をタップすると動画が再生された。
ミツヒロの腹の上で腰を振る雅之がそこにいる。
『あっ♡あんッ♡あっあっあっ♡』
『っ、そんな気持ち良いなら、俺の専属肉便器になります?』
『んえ?えっ、あっ♡う?』
『また気持ち良いことしましょうか』
『ん、しゅる、しゅ、あっ、イグっいぐっ!イグううッ♡』
動画の再生が終わる。ミツヒロが動画画面を閉じると、雅之のアドレスへの送信履歴が開かれていた。
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