ドロイドベル

ふりかけ大王

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第4章~青と白~

信頼

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「待たせた!」

先に走っていたレギナを連れた馬車にエバンは合流する。

「エバン無事でしたか!?」

「ええ、何とか。それよりレギナ様、外はまだ危険です。狭苦しいとは思いますが、ご辛抱を。」

ガタンガタンと激しく揺れる馬車の積み荷からひょこっと顔を出すレギナを諭すようにエバンは言う。レギナは慌てて引っ込もうとするがエバンの腕にいるモーリアを見て先程より身を乗り出す。

「モーリアさん!ご無事ですか!?」

「レ、ギナ様・・・、私、は、大、丈夫です。」

カラ元気とすぐに分かるような笑みをレギナに向けながら、モーリアは言葉が途切れ途切れになりながらも言った。あばらが折れているだけとは言っても、呼吸もままならないだろうに。

モーリアとエバン顔を心配そうに交互に見たレギナだったが、どうしようもできないと知っているだけにおずおずと顔を引っ込めた。

「そろそろ出ます!」

馬車を運転するハーパーが叫んだ。段々と大きくなるエリカンテの門にはこの騒ぎで門番が集まっていた。

――よし、作戦通りだ。

隣では馬上からステッドが火のついた弓矢を空に向かって放った。星と共に一点の灯りが夜空を照らす。

=====================================

「――お、合図だ!」

天に上る火を見てフラティスは楽しげに言う。近くにいた部下は、それを聞いてエリカンテの門前に仕掛けていた爆弾の導火線に火をつけた。おそらくフラティスたちにやられたのだろうか、離れた位置にエバンたちの対応をした門番が縄で縛られ麻袋を被せられていた。

ドォオーンという轟音と共に固く閉じていた大きな木造の門が吹き飛ぶ。煙が巻き上がる中、フラティスはそれを確認して馬に飛び乗る。

「あとはあいつらが来るだけだな。」

=====================================

「待て!止まれ!!」

エバンたちに気づいた門番たちは武器をこちらに向けて懸命に叫んだ。だが、それにエバンらが従うこともなくスピードを緩めることなく門へと突き進む。

それを見て門番たちは激しく動揺していた。エバンたちは門があたかも無いかの如く猪突猛進する。

「門に激突するつもりか!?」

愚かな判断だと門番は笑った。その瞬間――。

「――っ!?」

轟音が鳴り響いかと思うと門番たちが四方に吹き飛ぶ。白煙と共に遠方に人の姿が見える。何とか難を逃れた門番もオロオロするだけで烏合の衆とかしていた。

「よし!脱出するぞ!」

エバンたちはエリカンテを背に白煙の向こう側に消えていった。

=====================================

「エバン!よくやったな!」

エバンの乗る馬の横にフラティスがつける。

「・・・ん?そいつは・・・。」

エバンが抱える人物を誰かと目を向けたフラティスの顔から笑みが消えた。

「おい、モーリア!!大丈夫か!?」

ひょうひょうとしているフラティスには似つかない語気でモーリアの名を呼ぶ。それを見たエバンは複雑そうに言う。

「・・・モーリアは怪我こそあるが、命に別状はない。」

エバンの言葉を裏付けるようにモーリアが小さく手を振り無事をアピールする。

「そ、そうか。良かった。」

胸をなでおろすようにフラティスは言った。

「これから青の国に向かうのだったか?」

「ん~そうだな。とりあえずは俺らの国が距離的にも一番いいだろう。」

エバンの問いにフラティスは上に目をやりながら応える。

「ならば一度止まってレギナ様の無事を確認したい。いいか?」

「もちろん。お前も心配だろうしな。」

エバンの要望に快くフラティスは応じて部下たちの足を止めさせる。エバンは馬を降り、レギナを馬車の積み荷から降ろす。

「レギナ様、ご無事ですか?」

「え、えぇ。私は無事です。しかし・・・。」

レギナはエバンの馬に残るモーリアの姿をちらりと見る。モーリアはまだ幾分苦しそうではあるが、呼吸のリズムも戻りつつあった。

「モーリアは早くどこかで休ませましょう。レギナ様はこちらに。」

エバンはフラティスの連れた簡易的な馬車を指さす。

「私は別に先のところで構いません。私よりモーリアさんを乗せてあげてください。」

きっぱりとした口調でモーリアはエバンの申し出を断る。エバンは彼女がこう言ったらてこでも動かない性格であると長い付き合いからよく知っていた。

「分かりました。モーリアを乗せましょう。レギナ様には、もう少々ご苦労を掛けます。」

エバンは馬を呼び、モーリアをこちらに寄せる。

「いいのか?怪我しているとはいえモーリアは軍人だぞ。王族を差し置いてなんて・・・。」

レギナの言動に驚いた様子でフラティスは言う。

「そうがレギナ様だからな。」

困ったようにエバンは笑う。そして、モーリアの体を脇に両手を入れて彼女の体を持ち上げる。何処か痛むのかモーリアは少し顔をゆがめた。

「ありがとうございます、レギナ様、エバン――。」

モーリアは眉を下げながらお礼を言う。いや、正確には言いかけた。その原因はエバンの鋭い一言だった。

「お前ら動くな、動いたらこいつを斬る。」
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