19 / 26
第4章~青と白~
信頼
しおりを挟む
「待たせた!」
先に走っていたレギナを連れた馬車にエバンは合流する。
「エバン無事でしたか!?」
「ええ、何とか。それよりレギナ様、外はまだ危険です。狭苦しいとは思いますが、ご辛抱を。」
ガタンガタンと激しく揺れる馬車の積み荷からひょこっと顔を出すレギナを諭すようにエバンは言う。レギナは慌てて引っ込もうとするがエバンの腕にいるモーリアを見て先程より身を乗り出す。
「モーリアさん!ご無事ですか!?」
「レ、ギナ様・・・、私、は、大、丈夫です。」
カラ元気とすぐに分かるような笑みをレギナに向けながら、モーリアは言葉が途切れ途切れになりながらも言った。あばらが折れているだけとは言っても、呼吸もままならないだろうに。
モーリアとエバン顔を心配そうに交互に見たレギナだったが、どうしようもできないと知っているだけにおずおずと顔を引っ込めた。
「そろそろ出ます!」
馬車を運転するハーパーが叫んだ。段々と大きくなるエリカンテの門にはこの騒ぎで門番が集まっていた。
――よし、作戦通りだ。
隣では馬上からステッドが火のついた弓矢を空に向かって放った。星と共に一点の灯りが夜空を照らす。
=====================================
「――お、合図だ!」
天に上る火を見てフラティスは楽しげに言う。近くにいた部下は、それを聞いてエリカンテの門前に仕掛けていた爆弾の導火線に火をつけた。おそらくフラティスたちにやられたのだろうか、離れた位置にエバンたちの対応をした門番が縄で縛られ麻袋を被せられていた。
ドォオーンという轟音と共に固く閉じていた大きな木造の門が吹き飛ぶ。煙が巻き上がる中、フラティスはそれを確認して馬に飛び乗る。
「あとはあいつらが来るだけだな。」
=====================================
「待て!止まれ!!」
エバンたちに気づいた門番たちは武器をこちらに向けて懸命に叫んだ。だが、それにエバンらが従うこともなくスピードを緩めることなく門へと突き進む。
それを見て門番たちは激しく動揺していた。エバンたちは門があたかも無いかの如く猪突猛進する。
「門に激突するつもりか!?」
愚かな判断だと門番は笑った。その瞬間――。
「――っ!?」
轟音が鳴り響いかと思うと門番たちが四方に吹き飛ぶ。白煙と共に遠方に人の姿が見える。何とか難を逃れた門番もオロオロするだけで烏合の衆とかしていた。
「よし!脱出するぞ!」
エバンたちはエリカンテを背に白煙の向こう側に消えていった。
=====================================
「エバン!よくやったな!」
エバンの乗る馬の横にフラティスがつける。
「・・・ん?そいつは・・・。」
エバンが抱える人物を誰かと目を向けたフラティスの顔から笑みが消えた。
「おい、モーリア!!大丈夫か!?」
ひょうひょうとしているフラティスには似つかない語気でモーリアの名を呼ぶ。それを見たエバンは複雑そうに言う。
「・・・モーリアは怪我こそあるが、命に別状はない。」
エバンの言葉を裏付けるようにモーリアが小さく手を振り無事をアピールする。
「そ、そうか。良かった。」
胸をなでおろすようにフラティスは言った。
「これから青の国に向かうのだったか?」
「ん~そうだな。とりあえずは俺らの国が距離的にも一番いいだろう。」
エバンの問いにフラティスは上に目をやりながら応える。
「ならば一度止まってレギナ様の無事を確認したい。いいか?」
「もちろん。お前も心配だろうしな。」
エバンの要望に快くフラティスは応じて部下たちの足を止めさせる。エバンは馬を降り、レギナを馬車の積み荷から降ろす。
「レギナ様、ご無事ですか?」
「え、えぇ。私は無事です。しかし・・・。」
レギナはエバンの馬に残るモーリアの姿をちらりと見る。モーリアはまだ幾分苦しそうではあるが、呼吸のリズムも戻りつつあった。
「モーリアは早くどこかで休ませましょう。レギナ様はこちらに。」
エバンはフラティスの連れた簡易的な馬車を指さす。
「私は別に先のところで構いません。私よりモーリアさんを乗せてあげてください。」
きっぱりとした口調でモーリアはエバンの申し出を断る。エバンは彼女がこう言ったらてこでも動かない性格であると長い付き合いからよく知っていた。
「分かりました。モーリアを乗せましょう。レギナ様には、もう少々ご苦労を掛けます。」
エバンは馬を呼び、モーリアをこちらに寄せる。
「いいのか?怪我しているとはいえモーリアは軍人だぞ。王族を差し置いてなんて・・・。」
レギナの言動に驚いた様子でフラティスは言う。
「そうがレギナ様だからな。」
困ったようにエバンは笑う。そして、モーリアの体を脇に両手を入れて彼女の体を持ち上げる。何処か痛むのかモーリアは少し顔をゆがめた。
「ありがとうございます、レギナ様、エバン――。」
モーリアは眉を下げながらお礼を言う。いや、正確には言いかけた。その原因はエバンの鋭い一言だった。
「お前ら動くな、動いたらこいつを斬る。」
先に走っていたレギナを連れた馬車にエバンは合流する。
「エバン無事でしたか!?」
「ええ、何とか。それよりレギナ様、外はまだ危険です。狭苦しいとは思いますが、ご辛抱を。」
ガタンガタンと激しく揺れる馬車の積み荷からひょこっと顔を出すレギナを諭すようにエバンは言う。レギナは慌てて引っ込もうとするがエバンの腕にいるモーリアを見て先程より身を乗り出す。
「モーリアさん!ご無事ですか!?」
「レ、ギナ様・・・、私、は、大、丈夫です。」
カラ元気とすぐに分かるような笑みをレギナに向けながら、モーリアは言葉が途切れ途切れになりながらも言った。あばらが折れているだけとは言っても、呼吸もままならないだろうに。
モーリアとエバン顔を心配そうに交互に見たレギナだったが、どうしようもできないと知っているだけにおずおずと顔を引っ込めた。
「そろそろ出ます!」
馬車を運転するハーパーが叫んだ。段々と大きくなるエリカンテの門にはこの騒ぎで門番が集まっていた。
――よし、作戦通りだ。
隣では馬上からステッドが火のついた弓矢を空に向かって放った。星と共に一点の灯りが夜空を照らす。
=====================================
「――お、合図だ!」
天に上る火を見てフラティスは楽しげに言う。近くにいた部下は、それを聞いてエリカンテの門前に仕掛けていた爆弾の導火線に火をつけた。おそらくフラティスたちにやられたのだろうか、離れた位置にエバンたちの対応をした門番が縄で縛られ麻袋を被せられていた。
ドォオーンという轟音と共に固く閉じていた大きな木造の門が吹き飛ぶ。煙が巻き上がる中、フラティスはそれを確認して馬に飛び乗る。
「あとはあいつらが来るだけだな。」
=====================================
「待て!止まれ!!」
エバンたちに気づいた門番たちは武器をこちらに向けて懸命に叫んだ。だが、それにエバンらが従うこともなくスピードを緩めることなく門へと突き進む。
それを見て門番たちは激しく動揺していた。エバンたちは門があたかも無いかの如く猪突猛進する。
「門に激突するつもりか!?」
愚かな判断だと門番は笑った。その瞬間――。
「――っ!?」
轟音が鳴り響いかと思うと門番たちが四方に吹き飛ぶ。白煙と共に遠方に人の姿が見える。何とか難を逃れた門番もオロオロするだけで烏合の衆とかしていた。
「よし!脱出するぞ!」
エバンたちはエリカンテを背に白煙の向こう側に消えていった。
=====================================
「エバン!よくやったな!」
エバンの乗る馬の横にフラティスがつける。
「・・・ん?そいつは・・・。」
エバンが抱える人物を誰かと目を向けたフラティスの顔から笑みが消えた。
「おい、モーリア!!大丈夫か!?」
ひょうひょうとしているフラティスには似つかない語気でモーリアの名を呼ぶ。それを見たエバンは複雑そうに言う。
「・・・モーリアは怪我こそあるが、命に別状はない。」
エバンの言葉を裏付けるようにモーリアが小さく手を振り無事をアピールする。
「そ、そうか。良かった。」
胸をなでおろすようにフラティスは言った。
「これから青の国に向かうのだったか?」
「ん~そうだな。とりあえずは俺らの国が距離的にも一番いいだろう。」
エバンの問いにフラティスは上に目をやりながら応える。
「ならば一度止まってレギナ様の無事を確認したい。いいか?」
「もちろん。お前も心配だろうしな。」
エバンの要望に快くフラティスは応じて部下たちの足を止めさせる。エバンは馬を降り、レギナを馬車の積み荷から降ろす。
「レギナ様、ご無事ですか?」
「え、えぇ。私は無事です。しかし・・・。」
レギナはエバンの馬に残るモーリアの姿をちらりと見る。モーリアはまだ幾分苦しそうではあるが、呼吸のリズムも戻りつつあった。
「モーリアは早くどこかで休ませましょう。レギナ様はこちらに。」
エバンはフラティスの連れた簡易的な馬車を指さす。
「私は別に先のところで構いません。私よりモーリアさんを乗せてあげてください。」
きっぱりとした口調でモーリアはエバンの申し出を断る。エバンは彼女がこう言ったらてこでも動かない性格であると長い付き合いからよく知っていた。
「分かりました。モーリアを乗せましょう。レギナ様には、もう少々ご苦労を掛けます。」
エバンは馬を呼び、モーリアをこちらに寄せる。
「いいのか?怪我しているとはいえモーリアは軍人だぞ。王族を差し置いてなんて・・・。」
レギナの言動に驚いた様子でフラティスは言う。
「そうがレギナ様だからな。」
困ったようにエバンは笑う。そして、モーリアの体を脇に両手を入れて彼女の体を持ち上げる。何処か痛むのかモーリアは少し顔をゆがめた。
「ありがとうございます、レギナ様、エバン――。」
モーリアは眉を下げながらお礼を言う。いや、正確には言いかけた。その原因はエバンの鋭い一言だった。
「お前ら動くな、動いたらこいつを斬る。」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サディストの私がM男を多頭飼いした時のお話
トシコ
ファンタジー
素人の女王様である私がマゾの男性を飼うのはリスクもありますが、生活に余裕の出来た私には癒しの空間でした。結婚しないで管理職になった女性は周りから見る目も厳しく、私は自分だけの城を作りまあした。そこで私とM男の週末の生活を祖紹介します。半分はノンフィクション、そして半分はフィクションです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる