ドロイドベル

ふりかけ大王

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第4章~青と白~

白の国

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白の王国はいつもと比べて少しばかり慌ただしかった。それはどうも白の王国の預言者が大事な信託を下したという噂が原因だった。

「それで、僕はあの術はどこの段階まで進んだんですか?」

豪華な客間一室にあるテーブル席にアドラムともう一人、深くローブを被った人物が腰を掛けていた。

「そうだな・・・。もう実戦になっても十分使えるだろう。」

「そう。それは頼もしいですね。」

アドラムはにこりと表情を崩さずにいた。ローブの人物は声からして若い男だろうか、彼は対照的にローブの陰で表情を見せることはなかった。

「レギナが連れ去られたと評判になっているようだが?」

「・・・えぇ、存じていますよ。」

ローブの男の言葉に一瞬アドラムは詰まったものの影響はないといった口調で返事をする。

「ただ、彼らにはレギナ様のちょっとした里帰り、とでも説明しておけば問題ないでしょう。」

手でボディランゲージを取りながら悠然とアドラムは言った。フードの男は興味がないかのようにそう、と呟くと前のお茶に口をつけた。

「それよりもモーリアが裏切ったことがショックですね。」

「あの女か。」

心底残念だという顔でアドラムは眉を下げる。しかし、不思議なことに言葉と行動には重みが、心が感じられなかった。

「あんな女程度の実力なら、これから作る兵士に――。」

ローブの男が言いかけた瞬間だった。アドラムの顔つきが別人のように変わり、男を睨む。

「彼女を罵倒するのはやめていただきたい。」

「・・・。」

アドラムの剣幕に押されたのか、相手にするのが面倒なのか男は再びお茶をすすった。

「・・・失礼を。あの術に関しては期待しておりますよ。クラード様。」

アドラムは立ち上がり、その場を後にする。ローブの男、クラードはつまらなそうにその後姿を見ていた。

=====================================

エバンたちが青の王国に来て1週間の時が流れた。何事もなく、というよりもエバンたちは青の王国に歓迎され、徐々に馴染みつつあった。青の王国には姫君がいないということもあってか、中でも特にレギナは親しまれていた。

「エバン分隊長、フラティス殿がお呼びだそうです。」

ハーパーが部屋にいるエバンを呼びに来た。何かと思い、エバンが扉を開けるとそこにはステッドもいた。レギナも同行してエバンたちはフラティスの待つ応接に向かう。

「おぉ、悪かったな。」

「いや、別に構わない。」

部屋にはフラティスと、そしてモーリアがいた。エバたちは久々に見る彼女の姿に少々驚くも今回の話題をすぐさま察した。要されていた席にエバンたちは腰かけ、フラティスたちと向かい合う。

「この通り、おかげでモーリアは回復した。まずは礼を言う。」

フラティスとモーリアは互いに頭を下げた。

「今回の件はもう何となく分かっているかもしれないが、俺たちのことについてしっかり話そうと思う。」

「――聞こう。」

=====================================

「まずは、俺たちエリカンテ王国がなぜ分裂し、内戦状態になっているかについてだ。」

「先代のエリカンテ王は双子の息子がいてな、兄がアドラム、弟がこの俺、フラティスだ。」

自分を指さしてフラティスは言った。

「ここら辺の地理を見たからわかる通り、元々エリカンテ王国は自然の要塞みたいなところだったから、軍事力にはあまり力を入れてなく貿易で栄えた国だったんだ。」

「俺たち兄弟は13まで両親に育てられたが、その時流行り病で両親が死んでな。」

少し、陰のあるような表情をフラティスは浮かべた。それを見てレギナが声をかける。

「それは・・・。お辛かったでしょう?」

「まぁ、そうだな。自分で言うのもなんだが、王族としても親としても尊敬できたからな。でも幸いなことに大臣をはじめ、周りの人間に野心を持つ馬鹿がいなかったお陰で大した混乱も起きずに平穏は保たれたんだ。」

「そんな中、モーリアがうちの騎士団に入ってな。こいつとはそこで知り合った。」

ちらっとフラティスはモーリアを見る。

「それから5年くらい経って俺たちが18になったころにはようやく王族として仕事を回せるようになった。」

「アドラムは文武両道ってのかな、頭の切れる奴だったし交渉にも強かったんで外交担当、専ら俺はご機嫌取りだけは上手かったから内政を担当していたんだ。」

といっても仕事らしい仕事は何もしてなかったけどな、とフラティスは付け足す。

「モーリアはその頃にはアドラムの護衛騎士団長に任命されてな。優秀で年も近いし、アドラムも気に入ってた。」

懐かしそうに、でもどこか儚げにフラティスは言う。そして少し間をおいて次の言葉を出した。

「順調だった、本当にこのまま続くものだと思っていたよ。だけど、そこで事件は起きた。」
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