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第四部 〜止まった時間と動き出す歯車〜
第百七十四話
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「戻りましたー」
アルージェが仮設の家に戻ると、エマ・ミスティはすでに戻ってきていた。
紅茶を飲み二人とも寛いでいる。
「今日は二人とも早いですね」
アルージェが家の中を見渡す。
「あれ?ルーネは?」
「ルーネなら裏庭でマールとカレン教授の魔法を見守ってたぞ」
「あっ、本当ですか。マール頑張ってるんだなぁ」
「マールちゃんは何かしてるんですか?」
エマがティーカップをソーサーに置いて、アルージェに視線を移す。
「あぁ、実は僕が新魔法体系での魔法行使方法を教えてしまって。それでカレン教授が面倒見てくれてるんですよ」
「そ、そうだったんですね。カレン教授に直接見てもらえるなんて、英才教育ですね」
エマが笑う。
「確かにな。学園ですらなかなか一対一で見てもらうのは難しいだろうな。他にも生徒がいるからほぼ不可能か。」
「あはは、確かにそうですね」
話していると扉が開く。
「あっ、ルーネおかえり。今日はもう終わり?」
「ワウッ・・・」
ルーネは疲れているのか、軽く返事をする。
最近の定位置である端っこに移動して、丸まって寝始める。
「あはは、ルーネ疲れてるじゃん。いつもマールを見てくれてありがとうね」
アルージェはルーネに近づき、頭を撫でる。
「くぅーん」
ルーネは撫でられるのが嬉しいのか、甘えた声を出す。
「そういえば、僕はもう村でやりたかったこと終わりました。ミスティとエマはどうですか?」
アルージェはルーネにもたれ掛かりながら話す。
「そうだな。サイラスが未だに私から一本も取れないのが気になるが、まぁそれくらいか」
「わ、私はラーニャと一緒に型の稽古してるばっかりだから、どこでも出来るよ」
「おっ、なら二人はいつでも出れそうですね。マイアさんと秘密結社達はどうです?」
「私はお嬢様に従うだけですので」
秘密結社達は各々可愛いポーズと取って、問題ないことを教えてくれる。
「なら明日アインさんに進言しましょうか」
扉が開く。
「にぃにぃ達ぃ、ご飯出来たってママが呼んでるよー」
「ならついでに近々出て行くこと話さないとな」
ご飯を食べ終わってからサーシャとフリードに近々辺境伯様のところに向かう旨を話す。
「そう、分かったわ。久しぶりにアルに会えて楽しかったわ」
「そうだな。アルに限って無いと思うが、もう二度と会えなくなる可能性もあったしな」
「にぃにぃ、またどっか行っちゃうの?」
「うん、そろそろ行かないとここが危ないかもしれないから・・・。」
アルージェは覚悟を決める。
「父さん、母さん聞いてほしいことがあるんだけど、いいかな?」
「あぁ、なんでも言ってみろ」
フリードが頷く。
「聖国に命を狙われるんだ」
アルージェの言葉を聞き、フリードとサーシャはお互いに顔を見る。
「何を馬鹿なことをって思うかもしれないけど、これが現実なんだ。魔法学校を卒業してないのに、里帰りをしたのもそれが理由でこれから辺境伯様の家に行くのもそれが理由。要は僕の居場所がわからないようにしてるんだよね」
「・・・」
二人はキョトンとして、無言になる。
「だから、今度出て行ったら本当に二度と会えなくなるかもしれない」
アルージェはサーシャとフリードの顔をジッと見る。
アルージェの真剣な表情に二人は嘘を言っているとは思わないが、あまりに突拍子のない話でどうしたらいいか戸惑う。
フリードが口を開く。
「ただの農民の倅を聖国がなぁ。なら戦いを仕掛けてくるかもしれないってことか?」
「うん。だから本当はあんまり長居するつもりはなかったんですけど、なんか楽しくなって予想より長居しちゃって・・・、迷惑掛けちゃうかもしれない」
フリードが立ち上がりアルージェに近づく。
そしてポンと頭に手を置く。
「気にすんな!ここはアルの故郷だ。それに俺もサーシャもそんなに弱くない。こう見えて冒険者ランクそこそこ高かったんだ。聖国の刺客くらい片手間に倒せるさ」
「そうよ。アルがそんなこと心配する必要ないわ」
「でも、僕のせいで村に聖国の奴らが来たら・・・。」
「ははは、子供がそんな気を使う必要ないぞ」
アルージェの頭を撫で回す。
「うわっ、父さん髪が乱れるよ!」
サーシャはアルージェを抱きしめる。
「フリードの言う通り。私達アルが帰ってきてくれて本当に嬉しかった。村の人達だって、アルに会えてきっと楽しかったと思うわ。だからまた外に出るなら、ちゃんと帰ってきて」
「聖国と戦争になるかもしれない。だから約束は出来ないけど、僕もやりたいことまだ全部やってないから簡単に死んでやるつもりはないよ」
「ははは、その意気だ!それでこそ俺たちの息子だ!」
「もしも何かあったらちゃんと私達にも言うのよ?絶対に助けに行くからね。ミスティちゃんとエマちゃんもアルのことよろしくね?」
「はい、もちろんです」
「はい!わ、私達、最後まで一緒だって約束してますから!」
「あらあら!本当仲がいいのね!」
サーシャがフリードの肩をバシバシと叩く。
「父さん、母さん。ありがとう」
「アルは私達の大事な子なんだから当たり前でしょ。それより、さっきエマちゃんが言ってた最後まで一緒ってとこ詳しく教えて欲しいわ!」
サーシャは目を輝かせて、鼻息を荒くする。
村では楽しいことが少ないが色恋の話は娯楽の一つらしい。
もちろん逃げられる訳なく根掘り葉掘り詳しく話すことになり、顔を赤らめながらエマとミスティが話していた。
フリードは笑い、ニヤニヤしながらアルージェに何度も視線を送っていた。
その度にアルージェは「辞めてよ!」と言っていたが、フリードが辞める訳ない。
そして夜が更けていく。
翌日。
アイン達に村を出ることを話す。
「分かった。僕達もいつでも行けるよ。ただいきなりもどうかと思うし、明日の朝一番で村を出ようか」
「分かりました!」
アルージェが仮設の家に戻ると、エマ・ミスティはすでに戻ってきていた。
紅茶を飲み二人とも寛いでいる。
「今日は二人とも早いですね」
アルージェが家の中を見渡す。
「あれ?ルーネは?」
「ルーネなら裏庭でマールとカレン教授の魔法を見守ってたぞ」
「あっ、本当ですか。マール頑張ってるんだなぁ」
「マールちゃんは何かしてるんですか?」
エマがティーカップをソーサーに置いて、アルージェに視線を移す。
「あぁ、実は僕が新魔法体系での魔法行使方法を教えてしまって。それでカレン教授が面倒見てくれてるんですよ」
「そ、そうだったんですね。カレン教授に直接見てもらえるなんて、英才教育ですね」
エマが笑う。
「確かにな。学園ですらなかなか一対一で見てもらうのは難しいだろうな。他にも生徒がいるからほぼ不可能か。」
「あはは、確かにそうですね」
話していると扉が開く。
「あっ、ルーネおかえり。今日はもう終わり?」
「ワウッ・・・」
ルーネは疲れているのか、軽く返事をする。
最近の定位置である端っこに移動して、丸まって寝始める。
「あはは、ルーネ疲れてるじゃん。いつもマールを見てくれてありがとうね」
アルージェはルーネに近づき、頭を撫でる。
「くぅーん」
ルーネは撫でられるのが嬉しいのか、甘えた声を出す。
「そういえば、僕はもう村でやりたかったこと終わりました。ミスティとエマはどうですか?」
アルージェはルーネにもたれ掛かりながら話す。
「そうだな。サイラスが未だに私から一本も取れないのが気になるが、まぁそれくらいか」
「わ、私はラーニャと一緒に型の稽古してるばっかりだから、どこでも出来るよ」
「おっ、なら二人はいつでも出れそうですね。マイアさんと秘密結社達はどうです?」
「私はお嬢様に従うだけですので」
秘密結社達は各々可愛いポーズと取って、問題ないことを教えてくれる。
「なら明日アインさんに進言しましょうか」
扉が開く。
「にぃにぃ達ぃ、ご飯出来たってママが呼んでるよー」
「ならついでに近々出て行くこと話さないとな」
ご飯を食べ終わってからサーシャとフリードに近々辺境伯様のところに向かう旨を話す。
「そう、分かったわ。久しぶりにアルに会えて楽しかったわ」
「そうだな。アルに限って無いと思うが、もう二度と会えなくなる可能性もあったしな」
「にぃにぃ、またどっか行っちゃうの?」
「うん、そろそろ行かないとここが危ないかもしれないから・・・。」
アルージェは覚悟を決める。
「父さん、母さん聞いてほしいことがあるんだけど、いいかな?」
「あぁ、なんでも言ってみろ」
フリードが頷く。
「聖国に命を狙われるんだ」
アルージェの言葉を聞き、フリードとサーシャはお互いに顔を見る。
「何を馬鹿なことをって思うかもしれないけど、これが現実なんだ。魔法学校を卒業してないのに、里帰りをしたのもそれが理由でこれから辺境伯様の家に行くのもそれが理由。要は僕の居場所がわからないようにしてるんだよね」
「・・・」
二人はキョトンとして、無言になる。
「だから、今度出て行ったら本当に二度と会えなくなるかもしれない」
アルージェはサーシャとフリードの顔をジッと見る。
アルージェの真剣な表情に二人は嘘を言っているとは思わないが、あまりに突拍子のない話でどうしたらいいか戸惑う。
フリードが口を開く。
「ただの農民の倅を聖国がなぁ。なら戦いを仕掛けてくるかもしれないってことか?」
「うん。だから本当はあんまり長居するつもりはなかったんですけど、なんか楽しくなって予想より長居しちゃって・・・、迷惑掛けちゃうかもしれない」
フリードが立ち上がりアルージェに近づく。
そしてポンと頭に手を置く。
「気にすんな!ここはアルの故郷だ。それに俺もサーシャもそんなに弱くない。こう見えて冒険者ランクそこそこ高かったんだ。聖国の刺客くらい片手間に倒せるさ」
「そうよ。アルがそんなこと心配する必要ないわ」
「でも、僕のせいで村に聖国の奴らが来たら・・・。」
「ははは、子供がそんな気を使う必要ないぞ」
アルージェの頭を撫で回す。
「うわっ、父さん髪が乱れるよ!」
サーシャはアルージェを抱きしめる。
「フリードの言う通り。私達アルが帰ってきてくれて本当に嬉しかった。村の人達だって、アルに会えてきっと楽しかったと思うわ。だからまた外に出るなら、ちゃんと帰ってきて」
「聖国と戦争になるかもしれない。だから約束は出来ないけど、僕もやりたいことまだ全部やってないから簡単に死んでやるつもりはないよ」
「ははは、その意気だ!それでこそ俺たちの息子だ!」
「もしも何かあったらちゃんと私達にも言うのよ?絶対に助けに行くからね。ミスティちゃんとエマちゃんもアルのことよろしくね?」
「はい、もちろんです」
「はい!わ、私達、最後まで一緒だって約束してますから!」
「あらあら!本当仲がいいのね!」
サーシャがフリードの肩をバシバシと叩く。
「父さん、母さん。ありがとう」
「アルは私達の大事な子なんだから当たり前でしょ。それより、さっきエマちゃんが言ってた最後まで一緒ってとこ詳しく教えて欲しいわ!」
サーシャは目を輝かせて、鼻息を荒くする。
村では楽しいことが少ないが色恋の話は娯楽の一つらしい。
もちろん逃げられる訳なく根掘り葉掘り詳しく話すことになり、顔を赤らめながらエマとミスティが話していた。
フリードは笑い、ニヤニヤしながらアルージェに何度も視線を送っていた。
その度にアルージェは「辞めてよ!」と言っていたが、フリードが辞める訳ない。
そして夜が更けていく。
翌日。
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