【R18】獅子の麗人は鼠の従者の手のひらの上

獅子の麗人と従僕の夜3※

　自分の体から聞こえた音に驚いて、びくりと体を震わせる。するとアウレールが、安心させるように私の頬をすりすりと撫でてくれた。
　下穿きの上から細い指が蜜壺をさする。指はしばらく花弁の形を確認するように表面を往復した後に、布地の隙間から内側へと忍び込んだ。

「あっ……」

　熱を纏った指が花弁に触れ、濡れそぼったそれを開く。そして丁寧に、蕩かすように。優しい愛撫を繰り返した。
　アウレールが触れるたびに、蜜壺は淫猥な湿りを増していく。頭がふわふわとして、どこか別のところに連れて行かれそうな妙な心地だ。

「アウレールッ……なにか、変だっ」
「エーファ様、大丈夫。怖くない」

　アウレールは私の胸や腹に口づけをしながら、蜜壺を探っていく。
　閨のことは、もちろん知識としては知っていた。
　だけどそれはあくまで『知識』なのだ。実際に『経験』してみると、それは想像よりも何倍も生々しくて……そして気持ちいい。

「ふ、ぁあっ！」

　アウレールの指が、花弁の上にあるしこりのような部分に触れた。そのとたん、雷で打たれたかのような衝撃が全身に走り、頭の中が真っ白になった。

「花芽を、自分で触ったことは？」
「な、ないっ」
「ふふ。そうなんですね。気持ちがいいところなので、もっとたくさん触ってあげます」
「やっ、待って……ああっ！」

　アウレールは『花芽』と呼んだ部分に執拗に触れる。くりくりと指先で愛撫されているうちに、それは『もっと触れて欲しい』とばかりに膨らんだ。
　彼の指によって、頭の中を何度も真っ白に塗り替えられる。これが『達する』ということなのだと、アウレールが嬉しそうに教えてくれた。

「あうれーる、あうれーる……！」

　呂律の回らない口調で彼を呼ぶと、子猫をあやすように優しく腹を撫でられる。その淡い刺激にも体は高められ、私は甘い鳴き声を上げた。

　……寝台の上では、私はこの可愛い鼠に翻弄されてばかりだ。

　そして、それが嬉しいとも思ってしまう。
　アウレールの指が蜜口に触れ、そのままぐちゅりと中に埋まる。すっかり蕩けていたそこは大した抵抗もなくそれを飲み込んだ。

「エーファ様、平気ですか？」
「平気……だ」
「良かった」

　アウレールの愛撫はどれも優しくて、『甘やかしたい』という気持ちが垣間見える。
　甘やかされ慣れていない私はそれに戸惑ってしまうけれど……少しずつ彼に甘えられたらよいなと思う。
　隘路に埋まった指がぐちゅぐちゅと動かされる。
　その指は二本、三本と増え、内側を開いていった。

「あっ！」
「ここ、気持ちいいですか？」
「きもちい、い」
「じゃあ、いっぱい触りますね」

　鼠族は手先が器用な種族だ。アウレールはその器用さをいかんなく発揮しながら、私が感じる部分を的確に刺激する。

「アウレール、あぅっ！」

　いつの間にか下穿きは取り去られ、私はアウレールにすべてを見せながら彼の下で悶えていた。

「エーファ様、可愛すぎる……。僕も一緒に、気持ち良くなってもいいですか？」

　アウレールの白い頬が赤く染まっている。その黒い瞳は欲情に濡れて私を見つめ、乱れた衣服の隙間からはぽたりと汗が伝うのが見えた。

　ああ、私は――この『雄』が欲しい。

「アウレール……お前を、くれ」

　息も絶え絶えにそう言うと、アウレールの口角が上がる。
　彼が下穿きと一緒にトラウザーズを引き下げると、雄の象徴が姿を現した。
　その奇妙な形の彫刻のようなものは……私にはなぜか美しく見えた。

「お前はなにもかもが、美しいのだな」
「……褒め言葉と受け取っておきます」

　アウレールはふっと笑うと私の足を割り開き、体を滑り込ませる。そしてぐちゅぐちゅと花弁に熱を触れ合わせた後に……切っ先を蜜口に押し当てた。

「エーファ様……愛しています」

　熱を孕んだ言葉とともに、熱杭が押し込まれる。

「――ッ！」

　その慣れない種類の痛みと圧迫感に、私は一瞬目を瞠った。あれだけ丁寧に解きほぐされても、破瓜というのは苦痛が伴うらしい。

「……痛いですか？」

　アウレールがすまなさそうに眉尻を下げる。私は手を伸ばして、その頬を撫でた

「いや、大丈夫だ。アウレールとひとつになれて、とても嬉しい」

『愛してる』なんて言葉を紡げればいいのだが。私は睦言というのがどうにも下手らしい。けれどそんなぎこちない睦言も、アウレールは喜んでくれたようだった。

「エーファ様！」
「あっ！」

　喜色満面といった表情のアウレールが、ゆるりと腰を動かしはじめる。優しく労るように内側が擦られ、男女が交わる淫猥な水音が響き出した。最初は痛みを伴った抽送は、徐々に快楽の色を濃くしていく。

「アウレール……！」

　私はアウレールの小さな体を抱きしめながら、揺さぶられるのに身を任せた。
　気持ちいい、温かい。アウレールの存在で、体も心も満たされている。
　男女の交わりというものは、こんなに満たされるものなのか。
　いや……ランディ相手では、こうもいかなかっただろう。
　これは、アウレールとだからなのだ。
　アウレールと私には大きな身長差があるので、繋がりながら唇を合わせられないのがもどかしい。
　だから自然に……彼の唇に目が行ってしまう。じっと唇を見つめていると、アウレールはこちらを見つめて笑った。

「……口づけは、後でたくさんしましょうね。今は『こっち』でたくさん繋がり合いましょう？」
「あっ、んっ！」

　突然激しく突かれ、同時に舌で胸の頂を嬲られて、私は甲高い声を上げた。

「アウレール、はげしっ……」
「気持ち良く、ないですか？」
「ちが、きもちよすぎ、て」

　ぐりっと円を描くように中を抉られ、目の前に星が散ったような錯覚がした。きゅっと足先を丸めながら背を反らせ、息を切らせて大きな波に攫われないように私は耐える。膣内ではアウレールのものが脈打っていて、その脈動すらも私を高みに連れて行こうとする。

「達していいのですよ、エーファ様」
「ひゃっ、ああああっ！」

　獲物にとどめを刺すように奥を突かれて、私は嬌声を上げながら達してしまった。
　蜜壺からはどろりと蜜が垂れ、それに助けられさらにスムーズになった抽送が再び私を追い立てる。

「待って、達したばかりでっ……あんっ」
「ごめんなさい。待てない、僕ももうすぐですから……」
「や、ぁん！」

　杭を打ち付ける腰の動きはどんどん早くなる。気持ち良すぎて、理性はもうぐずぐずだ。冷静になれば恥ずかしくなるだろう声ばかり上げながら、私は何度も絶頂に追いやられた。

「エーファ様っ……！」

　ぎゅうと私を抱きしめて、アウレールが体を震わせる。熱杭が震え、蜜壺にどろりとなにかが溢れる感触がした。アウレールの『種』をもらったのか……

「ふっ……」

　アウレールは悩ましげな息を吐くと中から熱を引き抜く。ぐちゅんと音を立てながら彼のものが抜け落ちて、破瓜の血と蜜と白濁が混じったものが敷布を汚した。
　アウレールは私の隣にぽふりと寝転がると、軽い音を立てながら口づけをする。そして幸せそうに、蕩けるような笑顔を浮かべた。

「エーファ様、愛しています」

　小さな手がそっと私の手を取る。そして指先に、手の甲にと口づけをされる。

「わ、私も……その。愛してる、ぞ」

　語尾に向かうにつれて小さくなる声で愛の言葉を囁くと、満面の笑みを浮かべたアウレールにぎゅっと抱きしめられた。

「絶対に幸せにしますから。全力で貴女のお心をお守りさせてください」
「そ、そうか。嬉しい……な」

　真っ赤になっている私の頬にアウレールは両手を添える。そして口づけをされたのだが……それはどんどん、深いものになっていく。
　これは、まさか……

「アウレール、その。今したばかりだよな！？」
「今夜は記念すべき初夜なんです。……もっと愛し合いましょう？　エーファ様」

　体にぐりぐりと擦り付けられるアウレールのものは、すでに硬い。

「アウレール、待っ……ふぁっ！」

　抵抗する言葉はアウレールの唇に捕らわれて、口から零れることはなかった。