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パルメダという男3
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魔法騎士となった私は、めきめきとその頭角を現していった。
騎士としての不足を魔法で補いつつ戦うスタイルは、自分に合っていたらしい。
今では殿下の近衛の一人となり、彼をお守りする立場になっている。
私が認められるにつれて……家族との溝は大きくなっていった。
物理を至高とする我が家で、過去の私は『弱い』だけで『異端』ではなかった。
しかし魔法騎士となったことで、私は我が家の異端児となってしまったのだ。以前の自分であれば、そのことで苦悩したのだろうが……。
──家族に認めらなくとも、周囲が私を認めてくれている。だから平気だ。
今の私は幸せ者だと、心の底から思っている。
*
馬車を降りた私は、前方に視線を向ける。
すると地響きを立てながら、ハイオークたちがこちらに向かっているのが見えた。やつらは私たちの存在に気づいたようで、その進軍速度が一気に上る。ショウ殿には『危ないと感じたら逃げろ』と言ったが、この距離ではもう間に合わないか。これは……私が命を賭してでも食い止めねばなるまい。数体ならば問題なく倒せるが、ここまでの数と対峙するのははじめてだ。
ハイオークはBランクの魔物である。三メートルほどの巨体は鎧のような筋肉に覆われており、豚と酷似した頭部を持っている。ハイオークの下位種族であるオークは知能が低いが、面倒なことにハイオークはそれなりの知能を持っていて小賢しい。油断をすれば、一瞬でやられてしまうだろう。
恐怖で背筋に寒気が走るが、恐れている場合ではない。
「……罠を仕掛けるか」
魔法の糸をやつらの進路に張り巡らせ、少しでもダメージを与えるとしよう。脱落するほどの怪我は負わせられないにしても、何匹かの動きを鈍らせられるやもしれない。そう考えた私は魔法の行使をしようとして──気づいた。
魔力の総量が上がっている? そして、その練度も段違いになっていた。体も羽根のように軽く感じる。一体、なぜだ?
体には今まで感じたことがないくらいの魔力が漲っており、力の放出を今か今かと待ち詫びている。その原因を探りたかったが、敵は待ってくれない。私は今度こそ魔法を発動し、透明な魔法の糸を敵の進路に無数に敷いた。
ハイオークたちは土煙を立てながら、こちらへと向かってくる。小山のような巨体が二十も連なっているその様子は、まるで山脈のようだ。先頭のハイオークたちは勢いをつけて魔法の糸に飛び込み──。
──その筋肉に覆われた体を、いとも容易く引き裂かれた。
血しぶきが霧のように飛び散り、太い四肢が宙を舞う。丸太を何本も重ねたような胴体が真っ二つとなり、上と下が別々に倒れる。
その様子を目にして、ハイオークたちの間に混乱が走った。……混乱しているのは、私も同じなのだがな。
初撃でハイオークたちはその数を半分ほどに減らし、しかも混乱している。今が好機だ。
「──燃えろ」
短く詠唱をすれば、剣に炎が宿る。その輝きはいつもと比較にならないくらい強い。
本当に、なにが起きているんだ。
小さく頭を振って疑問を振り払ってから、私は自身の足に風魔法をかけてハイオークたちのところまで跳躍した。
騎士としての不足を魔法で補いつつ戦うスタイルは、自分に合っていたらしい。
今では殿下の近衛の一人となり、彼をお守りする立場になっている。
私が認められるにつれて……家族との溝は大きくなっていった。
物理を至高とする我が家で、過去の私は『弱い』だけで『異端』ではなかった。
しかし魔法騎士となったことで、私は我が家の異端児となってしまったのだ。以前の自分であれば、そのことで苦悩したのだろうが……。
──家族に認めらなくとも、周囲が私を認めてくれている。だから平気だ。
今の私は幸せ者だと、心の底から思っている。
*
馬車を降りた私は、前方に視線を向ける。
すると地響きを立てながら、ハイオークたちがこちらに向かっているのが見えた。やつらは私たちの存在に気づいたようで、その進軍速度が一気に上る。ショウ殿には『危ないと感じたら逃げろ』と言ったが、この距離ではもう間に合わないか。これは……私が命を賭してでも食い止めねばなるまい。数体ならば問題なく倒せるが、ここまでの数と対峙するのははじめてだ。
ハイオークはBランクの魔物である。三メートルほどの巨体は鎧のような筋肉に覆われており、豚と酷似した頭部を持っている。ハイオークの下位種族であるオークは知能が低いが、面倒なことにハイオークはそれなりの知能を持っていて小賢しい。油断をすれば、一瞬でやられてしまうだろう。
恐怖で背筋に寒気が走るが、恐れている場合ではない。
「……罠を仕掛けるか」
魔法の糸をやつらの進路に張り巡らせ、少しでもダメージを与えるとしよう。脱落するほどの怪我は負わせられないにしても、何匹かの動きを鈍らせられるやもしれない。そう考えた私は魔法の行使をしようとして──気づいた。
魔力の総量が上がっている? そして、その練度も段違いになっていた。体も羽根のように軽く感じる。一体、なぜだ?
体には今まで感じたことがないくらいの魔力が漲っており、力の放出を今か今かと待ち詫びている。その原因を探りたかったが、敵は待ってくれない。私は今度こそ魔法を発動し、透明な魔法の糸を敵の進路に無数に敷いた。
ハイオークたちは土煙を立てながら、こちらへと向かってくる。小山のような巨体が二十も連なっているその様子は、まるで山脈のようだ。先頭のハイオークたちは勢いをつけて魔法の糸に飛び込み──。
──その筋肉に覆われた体を、いとも容易く引き裂かれた。
血しぶきが霧のように飛び散り、太い四肢が宙を舞う。丸太を何本も重ねたような胴体が真っ二つとなり、上と下が別々に倒れる。
その様子を目にして、ハイオークたちの間に混乱が走った。……混乱しているのは、私も同じなのだがな。
初撃でハイオークたちはその数を半分ほどに減らし、しかも混乱している。今が好機だ。
「──燃えろ」
短く詠唱をすれば、剣に炎が宿る。その輝きはいつもと比較にならないくらい強い。
本当に、なにが起きているんだ。
小さく頭を振って疑問を振り払ってから、私は自身の足に風魔法をかけてハイオークたちのところまで跳躍した。
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