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本編2
モブ令嬢と第二王子は出奔する3※
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出奔後の日々は驚くほどに平穏に過ぎていく。外には雪が降り積もり、季節の移ろいを感じさせた。
こんなに平和に過ごせているのはフィリップ王子が、きっと色々な策を講じてくれているからだろう。……推し様の方角を拝んでおこう。
不審者が来たらわかるように屋敷の周囲にはシャルル王子の魔法で結界が張られている。それは魔力の鳴子のようなもので、来客の性別から敵意まで感知できるそうだ。
そして敵意ある者には屋敷の存在を認識すらさせないらしい。
さらりとシャルル王子はやっているけれど、これにはかなり高位の魔法だ。……シャルル王子が言う『私は冒険者になれる程度には腕が立つから』という言葉には『S級の』という枕詞がつくのかもしれない。
「……誰か来たな。この気配は兄上の子飼いか……。今日は人数が多いな」
シャルル王子はぬちぬちと私の中で欲望を出し入れさせながら言う。そして私の胸の頂きを強く吸った。
「ひ……人が来たなら、抜いてっ……」
「嫌だ。気配はまだ二キロ先だ。もうしばらくは来ないだろう」
「ひゃあんっ!」
動きが激しくなる熱杭に抉られて、蜜壺はぐちゅぐちゅと粘度の高い音を立てる。シャルル王子は奥まで挿れたり、浅いところを擦ったり……私の感じる場所を的確に刺激した。
「きもちいっ……しゃるるさまっ、ひゃあっ」
入り口近くまで抜かれ、最奥まで一気に貫かれ。その強い刺激に私は腰を浮かせながら嬌声を上げて達してしまい、支えを求めるように彼にぎゅっと抱きついた。シャルル王子も達した余韻で震える膣癖に何度か熱を擦りつけると、小さく声を上げながら子種を吐き出す。彼は私の胸に唇を寄せ、その柔らかな肉を食んだり、吸って痕をつけたりする。その刺激にも体は震え、まだ中に入っている彼の欲望をねだるようにきゅっと締めつけた。
気持ちいい、もっと欲しい。私の体は、この美ショタにどんどんえっちに教育されている。
浅い息をしながら余韻で体を震わせていると、汗で濡れた額に何度もキスをされた。
「可愛い、アリエル。君は全部私のものだ。大好きだ」
愛おしそうに目を細めながらシャルル王子が囁く。
季節が変わっても、彼の愛の言葉は減らずむしろ日々増えている。……甘ったるくて、くすぐったくて。すごく幸せだ。
「アリエル……」
名前を呼ばれ、手を優しく繋がれた。その白くて綺麗な手を握ると優しく微笑まれ、またキスをされる。
彼と手を繋ぐと、自分の荒れた手が恥ずかしくなってしまうなぁ。
屋敷は広くメイドさん二人では手が回らないところもあるので、私はこっそりと家事のお手伝いをしていた。……水仕事で手が荒れてしまい、すぐシャルル王子にはバレてしまったんだけど。そして最近は彼もお手伝いをしてくれている。王子なのに彼は適応力が高いらしい。
そんな生活に不便がないのか心配になって『気になることがあったら、愚痴くらい言ってもいいんですよ?』と以前言ったら『アリエルが一緒にいるのに、なんの不満が生まれるんだ』と真顔で言われた。……ショタなのに男前なそんな貴方が好きだ。
荒れた私の手を彼がぎゅっと握って口づける。するとそこから淡い光が生まれ、傷が少しずつ塞がっていった。
「私は兄上ほど上手く光魔法が使えないから……なかなか塞がらないな」
シャルル王子はそう言って悲しそうに眉を下げるけれど、一番痛かったひび割れはもう塞がりかけているし十分すごいよ!
「十分です! すごいです! 嬉しい!」
……私は地頭がよくないので、こういう時の語彙力が少ない。
けれどその言葉を聞いて、嬉しそうな顔で何度も私の手を撫でるシャルル王子を見ていると……一番喜んで欲しい人が喜んでくれるから。まぁいいか、と思うのだ。
「時間切れかな。そろそろ着替えよう、アリエル」
そう言ってシャルル王子は伸びをする。そして私たちが慌てて身なりを整え終わった頃に、玄関の扉が叩かれた。
シャルル王子と玄関に向かい、彼が背伸びをしながら覗き穴から外を窺う様子を見守る。
「……兄上だ!」
彼は嬉しそうにそう呟くと、いそいそと扉を開けた。そこに立っていたのは、雪まみれになっているフィリップ王子とその部下の方数名だった。
「シャルル、義妹殿、久しいな。不便はないか?」
フィリップ王子はその絶世の美貌に柔らかな笑みを浮かべる。ふぉおお……眩しい! 久々の推し様の摂取は眩しいですね! 手を合わせて拝みたい。
「大丈夫です。それにしても……兄上、こんなところまでわざわざ……」
「可愛い弟と義妹の顔を見るためなら、苦でもないよ。……というのは少し大げさだな。外交の予定があったからそのついでだよ。差し入れも馬車に積んできたから、後で運ばせよう」
そう言ってフィリップ王子は私にウインクをしてみせた。お……推し様のウインクぅ!! 心臓を貫かれるってこんな感じなのだろうか。前世では二次元でしか見ていなかったものを三次元で再現されるとこんなに致死率が上がると思わなかった。心臓が痛い。幸せで死ねる!
「……アリエル」
「シャルル様……!」
思わず真っ赤になった顔を少し下から涙目で覗かれて申し訳ない気持ちになる。私のために出奔までしてくれた彼を不安がらせるのはいけない。
……それにしてもシャルル王子、背が伸びたなぁ。出会った頃は私の胸に埋まるくらいだった身長が、肩を過ぎるくらいにまで伸びている。春には十二歳になるのだものね。成長期ってすごい。
「シャルル様、背が伸びましたね」
「……本当か!?」
私の言葉に彼の顔がパッと明るくなり、ぎゅっと勢いよく抱きつかれた。
「十三になるまでには、必ずアリエルを超すからな!」
「本当ですか? 楽しみにしてますね!」
「……えっと、入ってもいいかな? 長居はしないから」
ぎゅうぎゅうと抱きつく彼の額にキスを繰り返していると。フィリップ王子に気まずそうな顔で声をかけられた。わ……私はなんてことを……!
「し……失礼しました! どうぞ、どうぞ!」
真っ赤になりつつフィリップ王子とお連れ様を応接間へと通す。
「……新婚家庭を訪れた邪魔者の気持ちがよくわかるな」
フィリップ王子が小さく呟いた言葉に、私はさらに真っ赤になってしまった。
こんなに平和に過ごせているのはフィリップ王子が、きっと色々な策を講じてくれているからだろう。……推し様の方角を拝んでおこう。
不審者が来たらわかるように屋敷の周囲にはシャルル王子の魔法で結界が張られている。それは魔力の鳴子のようなもので、来客の性別から敵意まで感知できるそうだ。
そして敵意ある者には屋敷の存在を認識すらさせないらしい。
さらりとシャルル王子はやっているけれど、これにはかなり高位の魔法だ。……シャルル王子が言う『私は冒険者になれる程度には腕が立つから』という言葉には『S級の』という枕詞がつくのかもしれない。
「……誰か来たな。この気配は兄上の子飼いか……。今日は人数が多いな」
シャルル王子はぬちぬちと私の中で欲望を出し入れさせながら言う。そして私の胸の頂きを強く吸った。
「ひ……人が来たなら、抜いてっ……」
「嫌だ。気配はまだ二キロ先だ。もうしばらくは来ないだろう」
「ひゃあんっ!」
動きが激しくなる熱杭に抉られて、蜜壺はぐちゅぐちゅと粘度の高い音を立てる。シャルル王子は奥まで挿れたり、浅いところを擦ったり……私の感じる場所を的確に刺激した。
「きもちいっ……しゃるるさまっ、ひゃあっ」
入り口近くまで抜かれ、最奥まで一気に貫かれ。その強い刺激に私は腰を浮かせながら嬌声を上げて達してしまい、支えを求めるように彼にぎゅっと抱きついた。シャルル王子も達した余韻で震える膣癖に何度か熱を擦りつけると、小さく声を上げながら子種を吐き出す。彼は私の胸に唇を寄せ、その柔らかな肉を食んだり、吸って痕をつけたりする。その刺激にも体は震え、まだ中に入っている彼の欲望をねだるようにきゅっと締めつけた。
気持ちいい、もっと欲しい。私の体は、この美ショタにどんどんえっちに教育されている。
浅い息をしながら余韻で体を震わせていると、汗で濡れた額に何度もキスをされた。
「可愛い、アリエル。君は全部私のものだ。大好きだ」
愛おしそうに目を細めながらシャルル王子が囁く。
季節が変わっても、彼の愛の言葉は減らずむしろ日々増えている。……甘ったるくて、くすぐったくて。すごく幸せだ。
「アリエル……」
名前を呼ばれ、手を優しく繋がれた。その白くて綺麗な手を握ると優しく微笑まれ、またキスをされる。
彼と手を繋ぐと、自分の荒れた手が恥ずかしくなってしまうなぁ。
屋敷は広くメイドさん二人では手が回らないところもあるので、私はこっそりと家事のお手伝いをしていた。……水仕事で手が荒れてしまい、すぐシャルル王子にはバレてしまったんだけど。そして最近は彼もお手伝いをしてくれている。王子なのに彼は適応力が高いらしい。
そんな生活に不便がないのか心配になって『気になることがあったら、愚痴くらい言ってもいいんですよ?』と以前言ったら『アリエルが一緒にいるのに、なんの不満が生まれるんだ』と真顔で言われた。……ショタなのに男前なそんな貴方が好きだ。
荒れた私の手を彼がぎゅっと握って口づける。するとそこから淡い光が生まれ、傷が少しずつ塞がっていった。
「私は兄上ほど上手く光魔法が使えないから……なかなか塞がらないな」
シャルル王子はそう言って悲しそうに眉を下げるけれど、一番痛かったひび割れはもう塞がりかけているし十分すごいよ!
「十分です! すごいです! 嬉しい!」
……私は地頭がよくないので、こういう時の語彙力が少ない。
けれどその言葉を聞いて、嬉しそうな顔で何度も私の手を撫でるシャルル王子を見ていると……一番喜んで欲しい人が喜んでくれるから。まぁいいか、と思うのだ。
「時間切れかな。そろそろ着替えよう、アリエル」
そう言ってシャルル王子は伸びをする。そして私たちが慌てて身なりを整え終わった頃に、玄関の扉が叩かれた。
シャルル王子と玄関に向かい、彼が背伸びをしながら覗き穴から外を窺う様子を見守る。
「……兄上だ!」
彼は嬉しそうにそう呟くと、いそいそと扉を開けた。そこに立っていたのは、雪まみれになっているフィリップ王子とその部下の方数名だった。
「シャルル、義妹殿、久しいな。不便はないか?」
フィリップ王子はその絶世の美貌に柔らかな笑みを浮かべる。ふぉおお……眩しい! 久々の推し様の摂取は眩しいですね! 手を合わせて拝みたい。
「大丈夫です。それにしても……兄上、こんなところまでわざわざ……」
「可愛い弟と義妹の顔を見るためなら、苦でもないよ。……というのは少し大げさだな。外交の予定があったからそのついでだよ。差し入れも馬車に積んできたから、後で運ばせよう」
そう言ってフィリップ王子は私にウインクをしてみせた。お……推し様のウインクぅ!! 心臓を貫かれるってこんな感じなのだろうか。前世では二次元でしか見ていなかったものを三次元で再現されるとこんなに致死率が上がると思わなかった。心臓が痛い。幸せで死ねる!
「……アリエル」
「シャルル様……!」
思わず真っ赤になった顔を少し下から涙目で覗かれて申し訳ない気持ちになる。私のために出奔までしてくれた彼を不安がらせるのはいけない。
……それにしてもシャルル王子、背が伸びたなぁ。出会った頃は私の胸に埋まるくらいだった身長が、肩を過ぎるくらいにまで伸びている。春には十二歳になるのだものね。成長期ってすごい。
「シャルル様、背が伸びましたね」
「……本当か!?」
私の言葉に彼の顔がパッと明るくなり、ぎゅっと勢いよく抱きつかれた。
「十三になるまでには、必ずアリエルを超すからな!」
「本当ですか? 楽しみにしてますね!」
「……えっと、入ってもいいかな? 長居はしないから」
ぎゅうぎゅうと抱きつく彼の額にキスを繰り返していると。フィリップ王子に気まずそうな顔で声をかけられた。わ……私はなんてことを……!
「し……失礼しました! どうぞ、どうぞ!」
真っ赤になりつつフィリップ王子とお連れ様を応接間へと通す。
「……新婚家庭を訪れた邪魔者の気持ちがよくわかるな」
フィリップ王子が小さく呟いた言葉に、私はさらに真っ赤になってしまった。
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