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花屋のうさぎとデートのお誘い2
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「えーっと。それはどういう意図のお誘いでしょうか……」
訊ねてみると、リオネル様はますます困ったという顔になる。
僕もどう反応したものか困ってしまい、眉尻をうんと下げてしまった。
そして二人とも困った顔で見つめ合うだけになり……そのまま数分が経過した。
リオネル様、その。なにか言ってください。
リオネル様が喋ってくれないと、どうしていいのかわからないじゃないですか。
仕事の話をするためのお誘いなのか、『遊びに行こう』という主旨のお誘いなのか、万が一の話だけれど『デート』というやつなのか……これではまったくわからない。
だけど、これはいい機会なのかな。リオネル様と、お話がしたいと思っていたのだし。
今お話をすることもできるけれど、明日の方がきっとゆっくりお話できる。
「わかりました、お出かけしましょう」
僕がそう言うと、リオネル様はほっとしたご様子で表情を緩ませた。そのお顔を目にしてしまうと、承諾して良かったなとそんな気持ちが湧いてくる。うさぎフェチのアルファなんて、本来なら恐怖の対象でしかないはずなんだけどなぁ。
「……本当か、レイラ」
リオネル様は、嬉しそうに微笑む。その微笑みに胸は締めつけられて、身分も高く美しいアルファに対して『可愛い』なんて不敬な感情が湧いてしまった。
……リオネル様はずるい。
こんな顔をするとわかっていたら、なにを言われても断れる気がしなくなってしまう。
「行きたい場所はあるか? どこでも好きな場所に連れて行こう。王都から、少し離れたところでも馬車が出せる」
リオネル様の口ぶりだと『仕事の話』という雰囲気ではないようだ。『遊び』のお誘い……なのかな。うん、きっと遊びだ。
「どういうお出かけでも構いませんが……あまり高い店は、その。僕にはたぶん出せないと思います」
「誘ったのは私だ。明日はすべてこちらが持つ」
「いえ、それは申し訳ないので!」
「いや……出す」
「申し訳ないので!」
僕の生活費何ヶ月分というような額になってしまう気がする。必死で断りを入れると、リオネル様はふっと息を吐いた。
「これくらいの予算であれば、気兼ねせずに外出に付き合ってくれるだろうか?」
提示された予算は……庶民にとってはじゅうぶん贅沢だけれど、恐縮しながらも享受できるくらいの額だった。僕がほっとしながら何度も頷くと、リオネル様も安堵したように笑みを浮かべる。
「それと……リオネル様と落ち着いてお話がしたいので。静かなところにも立ち寄れると嬉しいです」
「話……私は話下手だが、良いのか?」
「僕も上手ではありませんので。リオネル様にお出かけを楽しんで頂けるか……少し心配です」
「レイラ……」
リオネル様は目を丸くすると僕を手招きする。
その手招きにつられるように、リオネル様に近づくと――
腰を抱き寄せられ、向かい合わせて膝の上に乗せられた。
訊ねてみると、リオネル様はますます困ったという顔になる。
僕もどう反応したものか困ってしまい、眉尻をうんと下げてしまった。
そして二人とも困った顔で見つめ合うだけになり……そのまま数分が経過した。
リオネル様、その。なにか言ってください。
リオネル様が喋ってくれないと、どうしていいのかわからないじゃないですか。
仕事の話をするためのお誘いなのか、『遊びに行こう』という主旨のお誘いなのか、万が一の話だけれど『デート』というやつなのか……これではまったくわからない。
だけど、これはいい機会なのかな。リオネル様と、お話がしたいと思っていたのだし。
今お話をすることもできるけれど、明日の方がきっとゆっくりお話できる。
「わかりました、お出かけしましょう」
僕がそう言うと、リオネル様はほっとしたご様子で表情を緩ませた。そのお顔を目にしてしまうと、承諾して良かったなとそんな気持ちが湧いてくる。うさぎフェチのアルファなんて、本来なら恐怖の対象でしかないはずなんだけどなぁ。
「……本当か、レイラ」
リオネル様は、嬉しそうに微笑む。その微笑みに胸は締めつけられて、身分も高く美しいアルファに対して『可愛い』なんて不敬な感情が湧いてしまった。
……リオネル様はずるい。
こんな顔をするとわかっていたら、なにを言われても断れる気がしなくなってしまう。
「行きたい場所はあるか? どこでも好きな場所に連れて行こう。王都から、少し離れたところでも馬車が出せる」
リオネル様の口ぶりだと『仕事の話』という雰囲気ではないようだ。『遊び』のお誘い……なのかな。うん、きっと遊びだ。
「どういうお出かけでも構いませんが……あまり高い店は、その。僕にはたぶん出せないと思います」
「誘ったのは私だ。明日はすべてこちらが持つ」
「いえ、それは申し訳ないので!」
「いや……出す」
「申し訳ないので!」
僕の生活費何ヶ月分というような額になってしまう気がする。必死で断りを入れると、リオネル様はふっと息を吐いた。
「これくらいの予算であれば、気兼ねせずに外出に付き合ってくれるだろうか?」
提示された予算は……庶民にとってはじゅうぶん贅沢だけれど、恐縮しながらも享受できるくらいの額だった。僕がほっとしながら何度も頷くと、リオネル様も安堵したように笑みを浮かべる。
「それと……リオネル様と落ち着いてお話がしたいので。静かなところにも立ち寄れると嬉しいです」
「話……私は話下手だが、良いのか?」
「僕も上手ではありませんので。リオネル様にお出かけを楽しんで頂けるか……少し心配です」
「レイラ……」
リオネル様は目を丸くすると僕を手招きする。
その手招きにつられるように、リオネル様に近づくと――
腰を抱き寄せられ、向かい合わせて膝の上に乗せられた。
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