水族館デート

salmon mama

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驚き

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「あれは、腕だね。」

 里子さんが冷静に言いました。

「これは腕だー!」「腕だよー!!」「腕じゃないかなー!!」

 みんな、腕だと言っています。

「こんなんグロテスクだー!!やめろー!!やめろー!!」

 いつの間にか、里子さんは喚いています。

 再びカーテンが閉じられます。再びアナウンス。

「答えはバツ。先ほどのは腕でした。」

「やったーー!!」「当たったー!!」「僕すごいでしょお父さん!!」

 みんな、当たったので喜んでいます。

「グロテスクだー!!やめろー!!中止しろー!!」

 里子さんは抗議しています。必死です。命がけの様子です。

 ブーーーー!!

 再びカーテンが開きます。そこには、男の生首が。ごろんと、広い家に一人きりみたいな、寂しそうに転がっています。

「これは、足か?」

 明るい、素っ頓狂な声です。明後日の方向を見ています。

「あれは、頭だ。」

 里子さんが冷静に言いました。

「あれは頭だ。」「頭部だろうな、足ではない。」「脳みそだろう。」「答えはバツだ!!」

 人々はぶつくさ言います。

「倫理的にどうなんだー!!やめろ中止だー!!ブーブー!!ブーブー!!」

 いつの間にか、里子さんは喚いています。

 カーテンが閉じられます。アナウンスが鳴ります

「答えはバツ。あれは、頭部でした。」

「いえーーーーい!!」「また当てちゃったもんねー!!」「やったやったー!!」

 みんな喜んでいます。喜んでいていいですね。

「だめだろこんなのー!!ふざけんなよー!!」

 里子さんは怒っています。

 再びカーテンが開きます。

「開くな開くなー!!」

 里子さんは怒っています。

 ゴロン

 足が、落ちています。

「これは、足か?」

 いつも通りの声です。

「あれは、足だね。」

 里子さんは冷静です。

「あ、足だ!!」「足だよ足!!これ正解じゃん!!」「足!!足!!」

「早くやめろー!!!!ふざけるなー!!」

 いつのまにか、里子さんは怒っています。

 再びカーテンが閉じられます。

「答えは丸。先ほどのは足でした。」

 ワーワーワーワーワーワーワーワーワーワー

 喜ぶ人々。

「はい、本日のショーは終わりです。このショーには死刑囚の死体を使っています。皆さん気をつけて帰ってくださいね。」

「そうなんだ。死刑囚ならいいのだ!!」

 里子さんは許しました。みんな帰路に着きます。

「しかしなんで、こんなことを始めたのですか?」

 隆くんは聞きました。

「アシカが死んだので、足か?ショーを始めましたよー。」

 へえ。亡きアシカに合掌。さあ、帰ろうかな。出口に向かって廊下を進む。周りはさっきまで『足か?ショー』を楽しんでいた人々で溢れている。

「楽しかったね!!最初の腕さ、実は僕足かと思っちゃってたんだよね。いやあ、恥かくところだったよ。」

「ははは、それは危なかったねぇ。間違えなくて、よかったねえ。」

「ほんとほんと。実は頭もさ、足だと思っちゃったんだよね。」

「へえ、全部足に見えちゃうんだねえ。やったねえ、やったねえ。足に見えちゃって、やったねえ。」

「へっへーんだ。また来たいなあ。」

 楽しそうな親子だ。楽しそうでいいな。

 ズシッズシッ

 お、前から何か歩いてきているぞ。なんか大きな、、獣?つるつるしてヒゲが生えている。ヒレみたいな両足、、、あれは、アシカじゃないか。いるじゃないか。

「あの!!アシカがいますよ。生きていますよ。」

 私は大声で水族館の職員に呼びかけました。

「本当だ。アシカがいる!!生きていたんだ!!呼んでみよー!!アシカー!!」

 アシカ「あっしか?」

 完
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