無職だけど最強でした〜無職と馬鹿にされたが修行して覚醒したから無双してくる〜

えんじょい

文字の大きさ
15 / 140
第1章 転生編

第15話 成長

しおりを挟む



端から勝てるとは思っていない。
最低でも1分耐える、できるのであれば1発入れる。

アシュー師匠の職は『重力使い 有能級』だ。
上手く対処すれば1発いけるかもしれない!

「行きます!」

俺はアシュー師匠に向かって走り出した。

「遅い」

アシューが自分に重力魔法をかける。

「うっ、はや!?」

俺に重力の負荷がかかる。

自分の重力を弱めて相手の重力を強めるのなんて反則だろ!?

アシューがものすごい速さで駆け寄ってくる。

無理だ!避けられない!

「ぐはっ」

アシューの拳が腹に食い込む。

こんなん…無理ゲーだろ…

俺は殴られた衝撃で気を失った。



「うっ…」

「目が覚めたか?」

焚き火の前で座っているアシューに声をかけられる。

俺が起きた頃には、空は既に暗くなっていた。

「明日からは剣の素振りをやめて私と稽古だ」

またあれを繰り返すのか…

「稽古と言っても私はお前を直接攻撃しないし、なんなら私は1歩も動かない。
お前が私に1本入れられたら、ダンジョンに挑んでもいい」

ええ、無理な気がする…

攻撃しないと言っても重力魔法は使ってくる訳だし、動かないと言ってもアシュー師匠に1本なんて入れられる気がしない。



翌日…
よし、作戦は完璧だ。

俺とアシューはお互い向かい合う。

「いつでもいいぞ」

「行きます!」

俺の作戦は、まず前に全速力で走り出す。

そしたらアシュー師匠は重力魔法を使って俺の重力を弱める。
その瞬間にアシュー師匠の頭上めがけて高く跳ぶ。

「はぁ!」

よし、上手く跳べた!

そしたら強くなった重力を利用して落下攻撃!

俺の身体は重力によってどんどん加速する。

「考えたな。だが、甘い」

アシューは自身の周りの重力を無重力にした。

俺の攻撃は無重力空間に入ることで止まる。

くそ!作戦失敗だ!

俺は無重力空間から抜け出し、体制を整える。

次の作戦だ!

次は、砂埃をたてて俺の位置を確認させない。

砂をアシューに向かって蹴る。

アシューの視界が遮られた瞬間、俺は斜めに走り出しアシューに接近する。

アシューが自分の周りの広い範囲の重力を強くする。

「ぐっ」

なんだこれ、重すぎだろ…

身体がとてつもなく重い。

どんどん重力が強くなっていき、少ししたら止まった。

「こ、降参!」

俺は重力に耐えきれず降参した。

「今日は終わりだ。ゆっくり休め。
私は飯を取ってくる」

アシューはそう言い森の中に入っていった。

あんなの反則だろ。
どうやって勝てってんだ。

でも、強くできる重力には限度があるはずだ。
どんどん強くなっていた重力が途中で変わらなくなった。

きっとあの強さが限度なのだろう。

つまり、あの強さの重力の中で動けるようになれば1本入れられるはずだ!



あれから俺は足腰の筋力を鍛えた。
あの重力で動けるようになるために。

足腰の筋力を鍛えたことで蹴りの威力が強くなった。
今では大きな木を一蹴りでへし折ることができるくらいだ。

それに脚力や瞬発力も上がった。
今ではあの崖を飛び越せるし、短い距離なら一瞬で移動できる。

前までは普通の人間と変わらないくらいの身体能力だったが、今では人間の域を脱したと思う。

体力だって最近疲れを感じなくなってきたし、筋力も脚だけじゃなく全身鍛え上げてきた。

アシュー師匠による修行を初めて早1年。

そろそろダンジョンに行って変わりたいと思っている。

それに、家族とも合流したい。

「行きます!」

いつも通りアシューと稽古をする。

「最近脚を鍛えすぎじゃないか?」

いつものように俺にものすごい重力の負荷がかかる。

「おりゃぁぁぁぁ!」

俺は重力に負けじと足を進める。

「おいおいゴリ押しか?
全くお前は脳筋だな」

いや、あなたに言われたくないんですけど?

俺はさらにアシューに向かって足を進める。

あともう少し!
もう少しで剣が届く!

アシュー師匠は1歩も動かない!
届きさえすれば当たるはずだ!

1歩1歩着実に近づく。

よし、届く!

俺は力を振り絞って剣を降った。

「私の負けだ」

アシューは剣を掴み、負けを認めた。

「勝った…勝った!」

「まさかごり押しとはな。あの中で動けたやつはお前が初めてだ。
これは1本とられた」

「ということは…」

「ああ、明日ダンジョンに挑め」

ついに!
ついにダンジョンに挑める!



その日の夜…

「ガキ、お前に話しておくことがある」

アシューが真面目な表情で口を開く。

「私がなぜここにいるのか。
なぜお前を弟子にしたのか。
この1年間黙っていたことを話そう」

アシュー師匠からこのような話を聞くのは初めてだ。

今まで話そうとしなかったから無理には聞かなかったが、正直ずっと気になっていた。

「私はな、少し前に青年の弟子が1人いたんだ。ハリーが卒業した後に出会った。
そいつは不便級の職を持ち、それのせいで周りから辛い目に合わされていたんだ。」

アシュー師匠の弟子…
過去に何があったのだろう。

「私は当時、フォンテル王国の冒険者として名を挙げていたんだ。有能級なのにSランク冒険者になった私は有名人だった。
そんな私に彼は言ったんだ。俺を弟子にしてくれ、と。
私はそいつを弟子にすることにしたんだ。ハリーが卒業して少し寂しくなっていたのかもしれないな。
そいつは私の元で修行し、自らの職を鍛え強くなった。ハリーよりも強かった。
しかし事件は起きた。
そいつは自らの復讐のために街をひとつ滅ぼしたんだ。
王都から騎士や冒険者が駆り出され、そいつは殺された。
そしてそいつを育て上げた私は、責任を負って王都を追放されたんだ。
それでたどり着いたのがこの森だ」

過去にそんな出来事があったのか…

「でもどうして僕を弟子に?」

「お前は、そいつに似ていたからだ。
あいつは決して悪い奴ではなかった。
ただそれだけだ」

「大丈夫ですよ!
僕はアシュー師匠に感謝していますし、復讐心なんてありませんから!」

「ああ、そうだな」

アシュー師匠が少し微笑んだように思えた。


しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

追放された荷物持ち、スキル【アイテムボックス・無限】で辺境スローライフを始めます

黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティーで「荷物持ち」として蔑まれ、全ての責任を押し付けられて追放された青年レオ。彼が持つスキル【アイテムボックス】は、誰もが「ゴミスキル」と笑うものだった。 しかし、そのスキルには「容量無限」「時間停止」「解析・分解」「合成・創造」というとんでもない力が秘められていたのだ。 全てを失い、流れ着いた辺境の村。そこで彼は、自分を犠牲にする生き方をやめ、自らの力で幸せなスローライフを掴み取ることを決意する。 超高品質なポーション、快適な家具、美味しい料理、果ては巨大な井戸や城壁まで!? 万能すぎる生産スキルで、心優しい仲間たちと共に寂れた村を豊かに発展させていく。 一方、彼を追放した勇者パーティーは、荷物持ちを失ったことで急速に崩壊していく。 「今からでもレオを連れ戻すべきだ!」 ――もう遅い。彼はもう、君たちのための便利な道具じゃない。 これは、不遇だった青年が最高の仲間たちと出会い、世界一の生産職として成り上がり、幸せなスローライフを手に入れる物語。そして、傲慢な勇者たちが自業自得の末路を辿る、痛快な「ざまぁ」ストーリー!

魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。 それは、最強の魔道具だった。 魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく! すべては、憧れのスローライフのために! エブリスタにも掲載しています。

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。 そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。 【第二章】 原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。 原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。

町工場の専務が異世界に転生しました。辺境伯の嫡男として生きて行きます!

トリガー
ファンタジー
町工場の専務が女神の力で異世界に転生します。剣や魔法を使い成長していく異世界ファンタジー

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

処理中です...