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第1章 転生編
第18話 アキラバ商会
しおりを挟む「ふんっふんっふふー」
俺は今アスタリスト王国に向かう道を歩いている。
太陽が暖かく、風も気持ちがいい。
いかにも平和な日常だ。
「平和だなあー」
俺は軽くリズムを取りながらスキップをして歩いた。
「ふんっふんっふ___」
「誰か、助けてくれぇぇ!!」
俺が呑気にスキップをしていると、男の人の助けを呼ぶ声が聞こえた。
せっかく平和な日常を楽しんでいたのに、誰だこの平和を乱すやつは!
俺はすぐさま声の方に駆けつける。
「キシャア!」
「ひ、ひぃぃぃ!」
そこにいたのは大きな荷物を積んだ馬車と少しふくよかな男性、そしてゴブリンの群れだった。
ゴブリンが5体ほどか。
護衛をしていたかと思われる人が数人いるが全員血を流して倒れている。
もう既にやられてしまったのだろう。
「助太刀に入りますね!」
「だ、誰だ君は!?」
俺は問いを無視しゴブリンに駆け寄る。
「キシャア!」
ゴブリンが俺に飛びつく。
遅い…あまりにも遅い
まるで動きがスローモーションに見える。
神の力を手にしてから初めての戦闘だが、身体能力が全体的にかなり上がった気がする。
俺は常人には目に見えぬ速さでゴブリンを倒していく。
カキンッ
なっ!?
俺の剣が1匹のゴブリンに防がれる。
赤い帽子をかぶり、クワのような武器。
レッドキャップゴブリンだ。
俺の攻撃を防げることには驚いたが、間一髪防いだというところだろう。
次は防がせない!
俺は地面を強く踏み込む。
「キシャア!?」
カキンッ
レッドキャップゴブリンは俺の剣を間一髪のところで防ぐ。
だが___
「本命はこっちだ!」
俺は腰をひねり渾身の蹴りを喰らわす。
「キシ___」
悲鳴をあげる暇もなくゴブリンの身体は両断され、レッドキャップが宙に舞う。
レッドキャップゴブリンが持っていたクワ、なにかに使えそうだな。
体の素材とかももしかしたら売れたするかもしれない。
回収しておくか。
「【収納】」
ゴブリンの死体や武器が亜空間に消えていく。
「あ、あの、助けてくれてありがとうございます!」
生き残った少しふくよかな男性が駆け寄ってくる。
「私はアキラバ商会の会長、アキラバ・ハーツと申します」
会長さん!?
もしかしてすごい人助けちゃった!?
これはいい人脈ができたなあ~。
「貴方様の名前は…」
「ああ、僕の名前はルイストリアです。
ちょうどアスタリスト王国に行く途中で、助けを呼ぶ声が聞こえたので助けに入りました」
「おおなんと、私もちょうどアスタリスト王国に行く途中でして…しかし、馬車が…」
アキラバは悲しそうな顔で馬車に目をやる。
先程のゴブリン達にやられたのか、無惨にも地面に倒れている馬がいた。
「馬がゴブリンたちにやられてしまって、大事な荷物を運べないのです」
「ああ、それなら心配いりませんよ!
行き先が一緒ですしついでなので気にしないでください!
【収納】!」
俺は馬車に積まれていた荷物を亜空間に収納した。
「おお!なんと私の荷物が!」
「これはー…僕の職の能力です!僕は『荷物持ち 普通級』です。物を亜空間にしまったり取り出したりできるんですよ!」
「すごいです!貴方様は恩人だ!」
どうしよう、罪悪感が…
つい嘘をついてしまった。
本当の職を言う訳にも行かないし、無職と言っても信じてもらえない。
これからもこういう場面が増えるだろうしいちいち気にしてられないか。
これからは誤魔化す時は『荷物持ち 普通級』ということにしよう。
「それではアスタリスト王国まで案内します!」
少し道に迷ってたから案内してくれるのはすごく助かるな。
俺はアキラバさんとアスタリスト王国に向かった。
道中でアスタリスト王国のことについて色々と教えてもらった。
アスタリスト王国にはとても有名な教育学校があるらしい。
12歳から入れるけれど、入学するには厳しい試験を突破する必要があるという。
合格率は1割程らしい。
学校とか憧れるなー。
友達とか沢山作りたいしね!
しかし、アスタリスト王国の王子様が少し…いやかなりの問題児だという。
自分が良ければ他はどうでもよく、平民を陥れたりお金で女を買ったりしてるとの噂だ。
そう、こういう奴こそ絶対に関わっちゃいけないやばいやつだ。
それ以外は商売も繁盛しており、とても活気がある国らしい。
「さぁ、着きました。
ようこそアスタリスト王国へ!」
アスタリスト王国の門をくぐる。
屋台などが並びすごく賑わっている。
「私の商会はこちらです」
アキラバは俺を商会に導く。
アスタリスト王国の入口から少し進んだところにでかい家が建っていた。
もしかして…これが商会?
家の入口には、大きくアキラバ商会と書かれた看板がたっている。
「こちらに荷物を置いてください」
「分かりました。
【取り出し】!」
倉庫に案内され、収納していた荷物を取り出した。
「この度はありがとうございました。貴方様は命の恩人です。
困ったことがありましたら、是非力になりますのでいつでもお越しください」
「こちらこそ色々教えてもらってありがとうございます!」
俺はアキラバさんに別れを告げ商会を後にした。
すごい人に貸しを作っちゃったなー。
困ったらいつでも頼っていいって言ってたから、今度困った時には助けてもらおう。
さて、これからどうしますかね。
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