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第2章 学校編
第30話 クラスメイト
しおりを挟む「入学おめでとうございます!
合格された皆さんはこちらへお集まりください!」
「行こう!」
「うん!」
俺はアートと共に案内された広場へ向かう。
広場には人が乗れる台が置いてある。
「諸君、よく我が校に入学してくれた!
儂はこの学校の校長、ドルムンド・ヘルムだ」
台の上に男の人が乗り挨拶をする。
どうやらこの学校の校長先生らしい。
さすが校長、威厳がすごいな。
「諸君らにはこの学校で世の中を学び、強さを磨き、職を極めることを目標として過ごしてもらいたい!
これからの成長を期待している!」
パチパチパチッ
ドルムンドがお辞儀をし、学生たちから拍手が上がる。
「すごく楽しみだね!」
アートが目を輝かせてこちらを見ている。
「ああ、そうだな!」
いつまで経ってもアートは変わらないな。
「続いて新入生代表挨拶。首席メリア・フォン・ユメツリオさん!」
「はい!」
メリアが前に出て台の上に乗る。
「私たち新入生はこの学校に入学できたことを誇りに思い、清く正しく、時には貪欲に、学問や職について理解を深めていくことを目的とし___」
このスピーチ、なんだか恵を思い出すな…
◆◆◆
高校一年生の春。
桜が祝うかのように咲き誇り、学校の体育館で入学式が行われていた。
「新入生代表挨拶、華恵原 恵さん」
「はい!」
綺麗な黒髪の少女が舞台に立つ。
「私たち新入生はこの学校に入学できたことを誇りに思い、清く正しく、時には貪欲に、学問や社会について理解を深めていくことを目的とし、新しい友と共に良き学校生活を送っていきたいと思います」
少女がお辞儀をする。
パチパチパチッ
ものすごい拍手が湧き上がる。
美しい…
なんて可憐な人なのだろう…
俺はその日、華恵原 恵に一目惚れをした。
◆◆◆
懐かしいスピーチだな…
「___良き学校生活を送っていきたいと思います」
パチパチパチッ
メリアがお辞儀をし、拍手が湧き上がる。
この感情はなんだろうか。
あの、高一の春の時と同じような感情…
もしかして俺はメリアに…!?
いやいやいや、そんなわけないよな…
俺はまだ知らなかった。
この感情が後に厄介な人物を惹きつけてしまうということを…
「これからクラス発表を行います!」
「Aクラス、メリア・フォン・ユメツリオ、ルイストリア・フール、ヨカフ・トンシー、クリッツ・スケーク、クリット・スケーク、シシー・マイナライト、アート・レイン___」
おいおいおい!
このクラスめちゃくちゃじゃねーか!
俺とアートが同じクラスになれたのは良かった。
それにメリアさんやシシーさんもいるし。
しかし…!
ヨカフやクリスケ達も一緒のクラスだなんて…
てか、クリスケ達も受かってたんかい!
これは先が思いやられるな…
全員のクラス分けが終わり、俺たちはAクラスとなった。
そして先生に連れられAクラスの教室に向かった。
「どこでもいいので好きな場所に座ってくださーい」
俺はとりあえず1番後ろに座る。
「アート!一緒に座ろ!」
アートが俺を見つけ隣に座ってくる。
「ねぇねぇ!隣座っていい?」
「ええどう___ぞ!?」
俺に声をかけてきた少女はメリアだった。
なぜメリアさんが俺の隣に!?
「私もアートくんの隣…」
アートの隣には赤髪の少女、シシーが座る。
「え、ええ!?なんで僕の隣に…!?」
「ど、どうしてここに…!?」
「それはね!友達になりたいからだよ!」
「友達になる…」
メリアさん試験や集会の時とか静かそうに見えたのに、それとは全く逆で明るく元気な笑顔をしている。
逆にシシーさんは気が強いかと思いきや静かで大人しそうだ。
今の状況を説明すると、左からメリア、俺、アート、シシーと並んでいる。
傍から見たらかなりカオスな状況だな。
アートはモテるし、シシーさんがアートに惚れている可能性があるのは分かるが…
なんでメリアさんは俺の隣に?
友達って言ったって他にも女子が沢山いるじゃないか。
「私はね!ルイストリアくんと仲良くなりたいの!」
メリアが眼を輝かせてこちらを見る。
仲良くなりたい…か。
実は俺も少しばかり仲良くなれたらなと思っていた。
向こうから来てくれるなんて願ったり叶ったりだな。
「俺も仲良くしたいと思ってた。
ルイストリアは長いからルイスって呼んでくれ」
「じゃあ私のことはメリアね!
よろしくルイス!」
メリアが笑顔で手を差し出してくる。
「ああ、よろしく!メリア!」
俺は差し出されたメリアの手を握り、友達となった証として握手を交わす。
「よろしくねシシー!」
「よろしくアート…」
アートの方もシシーさんと仲良くなれたらみたいだ。
「アートとシシーもよろしくね!」
メリアが眩しい笑顔で微笑む。
「よろしくメリア!」
「メリアよろしく…」
なんだかメリアってすごい陽の気を感じる…
「シシーもよろしくね」
俺はシシーに話しかける。
「ルイスよろしく…」
シシーはメリアと逆で陰の気を感じるな。
なにはともあれ新しい友達が出来た。
メリアにシシー、そしてアート!
これからの学校生活がますます楽しみだな!
「チッ、気に入らねぇ」
ヨカフが教室の隅からルイス達4人を見て呟く。
「気に入らないでやんすね」
「やんすね」
クリスケもルイス達を見ながら険しい顔をする。
「少し嫌がらせをしてやるか…くっくっく」
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