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第2章 学校編
第42話 ルイスVS契約をしたヨカフ
しおりを挟む「貴様に俺様の力を貸し与えよう…」
ヘルウィーがそう口にすると、ヨカフの頭に添えていた手から黒く不気味なオーラが溢れ出す。
「ヨカフ!」
そしてヘルウィーの手から放たれたオーラはヨカフの頭へと吸い込まれていく。
助けないといけないのに剣が動かない!
くそっ!こうなったら剣を捨ててでも戦ってやる!
「動くなよ?」
俺が剣を捨て反撃しようとしたのを察したのか、目に見えない速さで手首を掴まれる。
ゴリゴリゴリッ
手首を絞める力が強くなっていく。
化け物だ…!
その間にもヨカフの中に黒いオーラが取り込まれていく。
「ぐあぁぁぁぁぁ!」
黒いオーラにヨカフは叫び狂う。
しばらくするとオーラは止まり、ヨカフも静かになった。
「ヨカフ!大丈夫か!?」
ヨカフがそっと顔を上げ、こちらを向く。
ヨカフの目は赤く充血しており、力が元の数十倍程になっていた。
「この力があれば…貴様を殺すことが出来る…」
ヨカフは赤く充血した目で俺を睨む。
「これはいい下僕だなぁ!いけ!」
ヨカフはヘルウィーの合図で俺に突撃する。
「ヨカフやめるんだ!」
俺はヨカフの攻撃を防ぎながら問いかける。
くっそ、何だこの力は!
一撃一撃がとてつもなく思い。
それにスピードも格段に上がっている。防ぐのがやっとだ。
「この力でお前を殺す…殺す!」
ヨカフはただ俺を殺すことしか頭の中にないようだった。
完全に心を悪魔に委ねたか…
悪魔と契約するということは半分悪魔になるのと同じ。
つまり、今のヨカフは人間ではない。
魔物なのだ…
それに『止める者 屈強級』の能力である【ストップ】を全く使ってこないことから、ヨカフの職は変化してしまったのだろう。
恐らく『半魔 屈強級』と言ったところだ。
しかし、同じ屈強級でも元の強さより数十倍も強い。
これは手加減なんてしてられないな…
「殺す殺す殺す…殺す!」
ヨカフががむしゃらに攻撃を繰り広げる。
こうなってしまえばやむを得ない…
本当なら殺すつもりはなかった。
しかし、ここは弱肉強食の世界。
殺らなければ殺られる。
今のヨカフは強い。
「本気で殺しに行くぞ!」
ガキンッ
俺は今までよりも格段に力を込めてヨカフの攻撃を打ち返す。
俺はヨカフと距離を取り、弓構える姿勢を取る。
「【ホーリーアロー】!」
魔術を唱えると、俺の手に光の弓と光の矢が出現する。
俺はヨカフの胸元へと狙いを定める。
「そして、【ウィンドバレット】!」
俺は弓を射ると同時に【ウィンドバレット】を唱え、光の矢を加速させる。
光の矢は凄まじいスピードでヨカフの胸元へと向かっていく。
ドスッ
「ぐはっ…!」
俺の手から放たれた光の矢はヨカフの胸を突き刺した。
ドサッ
ヨカフは地面に膝を着く。
やはり悪魔には聖属性魔術が効果抜群のようだな。
「【ホーリーアロー】!そして【ウィンドバレット】!」
俺はすかさず2射目を射る。
ドスッ
「ぐあっ…!」
2射目も正確にヨカフの胸元に突き刺さる。
ヨカフは倒れそうになるも、足を前に出し体勢を整える。
「しぶといな…」
俺は3射目を構える。
「これで終わりだ!【ホーリーアロー】!【ウィンドバレット】!」
3射目も正確にヨカフの胸元へと飛んでいく。
スパンッ
俺の手から放たれた3射目はヨカフの胸を貫いた。
「ぐっ…」
ドサッ
ヨカフは地面へと倒れた。
「終わった…」
正直かなり厳しい戦いだった。
ヨカフの1番の強みである【ストップ】が使えなくなってくれたおかげだな。
「ヨカフ…」
俺は倒れているヨカフへ近寄る。
「俺様は…また…負けた…のか…」
ヨカフは今にも息絶えてしまいそうな掠れた声で話す。
「なんで悪魔と契約してまで俺に勝とうとしたんだよ…」
「俺様は…お前のことが…羨ましかったんだろうな…」
俺はヨカフの口から出た言葉に驚いた。
「お前は…強くて…人格もいい…俺様の理想だったんだよ…
こんなことになって…すまない…」
俺はヨカフの言葉に思わず涙がこぼれる。
「なんでっ、今更謝るんだよ…!」
「悪かった…」
ドサッ
ヨカフの身体は魂が抜けたように動きを止める。
「ヨカフ…」
俺は心に誓った。
あの悪魔、ヘルウィー・ドル・アスタリストを許さない…と。
俺はヘルウィーが向かっていった方向へと足を進める。
「ちょっと!僕のこと忘れてない!?」
隅っこにいたアオが声をかける。
そういえば完全に忘れていたな…
「いい加減解いてくれても良くない?」
「わかったよ。【収納】」
俺はアオを縛っていた縄を収納する。
「ふぅーやっと動ける」
アオは手首を確認しながら背伸びをする。
そして真剣な表情で俺と向かい合う。
「ルイス、頼みがあるんだ。
ヘルウィー・ドル・アスタリストを殺して欲しい…
僕はあいつが憎いんだ…」
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