無職だけど最強でした〜無職と馬鹿にされたが修行して覚醒したから無双してくる〜

えんじょい

文字の大きさ
41 / 140
第2章 学校編

第41話 悪魔とヨカフ

しおりを挟む



「くそっ!なんで、こんな奴に!ふざけるな!俺様はお前より___」

「あっ見つけたぞぉ~ぐへへ」

ヨカフが悔しがっているところに1人の男が割って入った。



◆◆◆




俺は森の中を駆け巡る。
最後の煙の元へ猛スピードで向かう。

煙の元に着いた時、そこに居たのはヨカフだけだった。
今まさにミノタウロスの最後の一撃が繰り広げられようとしている。

「ヨカフ!間に合え!」

ヨカフは死を覚悟したのか、目を瞑っている。

俺はミノタウロスの巨大な斧が、ヨカフに直撃する寸前でミノタウロスの巨大な斧を弾く。

「大丈夫か?」

俺は目を瞑っているヨカフに声をかける。
ヨカフはその声に反応し目を開けた。

「なぜ…」

なぜ…か。

「お前のことは嫌いだが、俺は嫌いな奴が死んでなんとも思わないような薄情なやつじゃない」

正直こいつのことは嫌いだ。
助けたところでまた嫌がらせを受けてしまうかもしれない。
けれど、助けるのに理由はいらないよね。

「よっとっ!」

俺はミノタウロスを一太刀で両断した。

「お前も早く皆の所へ避難するんだ」

ヨカフの身体は恐らく限界を迎えていて、まともに動けるような体制じゃない。

それに周りに倒れている生徒達もまだ息はあるようだ。
早めに治療すれば助かるはずだ。

「くそっ!なんで、こんな奴に!」

ヨカフは地面を叩きながら叫ぶ。

「ふざけるな!俺様はお前より___」

「あっ見つけたぞぉ~ぐへへ」

ヨカフが悔しがっているところに1人の男が割って入った。

「誰だ!」

俺は周りを見渡す___が、誰もいない。

「上だよ上。全く人間は知能が低いんだからぁ~ぐへへ」

上を見上げると、不気味な翼を持ち、赤い角が2本、しっぽが生えている奇妙な男の姿があった。

「お前は…!」

「ひっ……!」

アオが奇妙な男の姿を見て震える。

「アオ!?もしかしてあいつが…!」

アオは俺の問いに対して無言で頷く。

「なるほどな…」

あれがこのアスタリスト王国の王子、ヘルウィー・ドル・アスタリストか。

聞いていた通り悪巧みしかしなそうな顔をしている。

翼に角、そしてしっぽ。
あれが悪魔なのか…

こんな威圧感を感じたのは初めてだ。
間違いなくこれまで戦ってきた中で1番最強だろう。

「俺様が生み出した魔物が急激に減ったのは貴様が原因だな?
人間ごときが俺様の計画を邪魔しやがって」

こいつ自分が絶対みたいなタイプだ。
ヨカフといいこいつといい、そういうタイプはろくな奴が居ないな。

「ヘルウィーと言ったか?
なぜこんなことをするんだ」

「なぜ?そりゃ楽しいからに決まってんだろ!
それにあの王女を俺の手駒にするんだよ、ぐへへ」

こいつ見た目だけでなく心まで悪魔なのか…?
楽しいからこんなことをするだなんて…!

それに王女?もしかしてメリアのことか!?

こいつの目的は楽しいから学校を潰して、メリアを自分の配下に置こうとしているわけか。

話を聞いていてイライラする。

幸いこいつは人間をやめたみたいだ。
悪魔は敵、つまり魔物だ。

魔物と言うならば、躊躇なく倒せるしな。

「お前はここで倒す!」

俺は飛んでいるヘルウィーに向かって高く跳び上がる。

「おーっと悪いが、俺様は貴様の相手をしているほど暇じゃないんだ。
なんせ、この後メリアちゅぁんとのパーリーターイムが待っているからねぇ~ぐへへ」

ヘルウィーは俺の攻撃を軽々と躱し、不気味な笑みを浮かべる。

「おっ、いいところに手駒はっけ~ん!」

ヘルウィーはヨカフのことを見つけ近づいていく。

「おいヨカフ逃げろ!」

俺はヨカフに向かって叫ぶ。
しかし、ヨカフが逃げることは無かった。

「おいお前、お前は悪魔なんだろ?」

「あ?貴様、俺様に向かってお前とはなんだ?無礼にも程がある___」

「俺様と契約しろ」

ヨカフはヘルウィーの言葉を遮り問いかける。

「…ぐっ、ぐははははっ、契約か!
面白い!まさか人間にこんな奴がいたとはな!」

ヘルウィーは面白おかしく笑い転げる。

「いいだろう!貴様に俺様の力を貸してやろう!だが、貴様はその力で何を成す?」

ヘルウィーがヨカフを今にも殺してしまいそうな圧で問いかける。

ヨカフはその問いに対し、無言で俺の方へ指先を向ける。

「あいつが邪魔なんだろ?
力を貸してくれたら俺が殺してやろう」

「それはいいな」

ヘルウィーはヨカフの頭に手を添える。

「ヨカフ馬鹿なことはやめろ!」

俺は契約を阻止するべく、ヘルウィーに向かって走り出す。

カキンッ

「おっと、邪魔しないでくれよ。大事な儀式なんだから」

「なにっ!?」

ヘルウィーは俺の剣を片手で受け止めた。

剣が動かない…!?
なんて力なんだ!

「貴様に俺様の力を貸し与えよう…」

ヘルウィーがそう口にすると、ヨカフの頭に添えていた手から黒く不気味なオーラが溢れ出す。

「ヨカフ!」

そしてヘルウィーの手から放たれたオーラはヨカフの頭へと吸い込まれていく。

助けないといけないのに剣が動かない!
くそっ!こうなったら剣を捨ててでも戦ってやる!

「動くなよ?」

俺が剣を捨て反撃しようとしたのを察したのか、目に見えない速さで手首を掴まれる。

ゴリゴリゴリッ

手首を絞める力が強くなっていく。

化け物だ…!

その間にもヨカフの中に黒いオーラが取り込まれていく。

「ぐあぁぁぁぁぁ!」

黒いオーラにヨカフは叫び狂う。

しばらくするとオーラは止まり、ヨカフも静かになった。

「ヨカフ!大丈夫か!?」

ヨカフがそっと顔を上げ、こちらを向く。

ヨカフの目は赤く充血しており、力が元の数十倍程になっていた。

「この力があれば…貴様を殺すことが出来る…」


しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

追放された荷物持ち、スキル【アイテムボックス・無限】で辺境スローライフを始めます

黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティーで「荷物持ち」として蔑まれ、全ての責任を押し付けられて追放された青年レオ。彼が持つスキル【アイテムボックス】は、誰もが「ゴミスキル」と笑うものだった。 しかし、そのスキルには「容量無限」「時間停止」「解析・分解」「合成・創造」というとんでもない力が秘められていたのだ。 全てを失い、流れ着いた辺境の村。そこで彼は、自分を犠牲にする生き方をやめ、自らの力で幸せなスローライフを掴み取ることを決意する。 超高品質なポーション、快適な家具、美味しい料理、果ては巨大な井戸や城壁まで!? 万能すぎる生産スキルで、心優しい仲間たちと共に寂れた村を豊かに発展させていく。 一方、彼を追放した勇者パーティーは、荷物持ちを失ったことで急速に崩壊していく。 「今からでもレオを連れ戻すべきだ!」 ――もう遅い。彼はもう、君たちのための便利な道具じゃない。 これは、不遇だった青年が最高の仲間たちと出会い、世界一の生産職として成り上がり、幸せなスローライフを手に入れる物語。そして、傲慢な勇者たちが自業自得の末路を辿る、痛快な「ざまぁ」ストーリー!

魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。 それは、最強の魔道具だった。 魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく! すべては、憧れのスローライフのために! エブリスタにも掲載しています。

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。 そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。 【第二章】 原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。 原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。

町工場の専務が異世界に転生しました。辺境伯の嫡男として生きて行きます!

トリガー
ファンタジー
町工場の専務が女神の力で異世界に転生します。剣や魔法を使い成長していく異世界ファンタジー

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

処理中です...