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第2章 学校編
第49話 国の英雄
しおりを挟む「ルイストリア・フール殿をお連れ致しました!」
王城の謁見の間の大きな扉が開かれる。
中央には黄金の椅子に腰掛けている中年の男性がいた。
この人がこの国の王…
「我はワイト・ドル・アスタリスト。
このアスタリスト王国の国王である」
「…」
謁見の間に沈黙が流れる。
なんだこの気まずい空気は!?
なんて反応すればいいんだ?礼儀作法とか全然知らないぞ!?
俺も名乗った方がいいか?
「えー、私はルイストリア・フール。
フール家の長男でございます」
俺は手を前に、片足を後ろに。
見様見真似で執事とかがよくやりそうなお辞儀をする。
「「「おおぉ」」」
周りに並んでいる貴族達が感心した声を上げる。
これで合ってたみたいだな。
そろそろ顔を上げるか。
俺は頃合を見て顔をあげようとする。
「顔を上げて良いぞ」
俺は国王の声に一瞬身体をびくつかせる。
危なかった…!
国王の許可なしに頭を上げてたら不敬罪になるところだったな。
「アシューラント・ハムギル殿をお連れ致しました!」
再び大きな扉が開かれる。
扉の向こうからは身体の大半を包帯で包んだアシューが現れた。
「アシュー師匠!?その怪我大丈夫ですか!」
「そう心配すんな。命に別状は無い」
アシューは俺の隣にしゃがみこむ。
「アシューラント・ハムギル。ただいま参上致しました」
アシューが見とれてしまうほど綺麗な挨拶をする。
「さて、2人が揃ったことだし本題に入るぞ」
周りの空気が一気に変わり、緊張感が漂う。
「此度の悪魔討伐の件、国を代表する国王として、そして1人の父親として感謝する…」
国王が深々と頭を下げる。
それに続き周りの貴族たちも頭を下げ始める。
「そんな!頭を上げてください!」
俺の声に周りは頭をあげる。
「皆知っていると思うが、今回の悪魔の正体はヘルウィー・ドル・アスタリスト。我の息子だ…」
国王はこの事実を受け入れたくないと言わんばかりの表情で少し俯く。
父親として子供がこんなことになったら辛いに決まっている。
さらにそこに国王としての役割や責任が乗っかっている。
しかし、それでもこの国のために動けるメンタルはさすが国王だ。
「今回、悪魔の強さは中級、しかしそれでも屈強級だ。
悪魔の屈強級は我ら人間の幻想級にあたいする」
確かに屈強級にしては強すぎた。
幻想級のメリアやケインさんよりももしかしたら強かったかもしれない…
「そのような恐ろしい悪魔を討伐したのがこのルイストリア・フールとアシューラント・ハムギルである」
「なんと素晴らしい!」
「とてもお強いのであろう」
周りの貴族達がざわめく。
「諸君らの栄誉を称える前に、一つ質問させてもらう。
ルイストリア・フール、貴殿の職はなんだ?
中級悪魔を倒したのだから少なくとも屈強級以上、もしかしたら幻想級か?」
国王が目を光らせて問いかける。
どうしよう大ピンチだぞ!?
ここで変に誤魔化したらいずれバレるし、神ですって本当のこと言っても信じて貰えないだろうしなー。
こうなったら仕方ない!
どうにでもなれ!
「私の職は___」
俺の職に貴族たちの期待が高まる。
「『無職 無能級』です!」
「「「………は??」」」
「がーはっはっはっは!この場で我に嘘をつくのか!
悪魔を倒せるほどの能力だ。知られるのはまずいのだろう?
なら無能級ということにしてやろう!がーはっはっはっは!」
なんか、変な誤解されてない?
まぁ、上手くごまかせたなら良かったけど。
「ルイストリア・フール。アシューラント・ハムギル。
諸君らは中級悪魔を討伐し、この国を救ってくれた!よって、諸君らをこの国の英雄とする!」
パチパチパチッ
周りの貴族達から拍手があがる。
「有り難き幸せ」
隣にいるアシューが頭を下げる。
「あっ、有り難き幸せ」
俺もアシューを真似て頭を下げる。
「それで、諸君らに褒美を与えようと思っておる」
褒美…
一体何が貰えるのだろう?
伝説の魔剣とか?禁書とか?
宝物庫のもの一つだけ好きに取っていいとか?
「アシューラント・ハムギル。
そなたに与える褒美は、この街の出入りを解放する!」
「有り難き幸せ…!」
確か昔の弟子の件で出入りが禁じられていたんだっけ?
「そしてルイストリア・フール」
さぁ俺の褒美はなんだ!
「そなたに与える褒美は、予言書と言われている禁書を与える!」
「有り難き幸せ!」
予言書の禁書だって!
そんなもの貰っちゃっていいんですか!?
でも、なんか言い方が引っかかるような…?
「一つ質問よろしいですか?」
「許可する」
「予言書と言われてるって言い方が少し気になりまして…」
予言書だとなぜ言い切らないのか、なにか裏があるのではないだろうか。
「それがな…」
「「「うーん…」」」
王国や周りの貴族達も黙り込む。
「その予言書は実は俺らには読めぬ文字で書かれているのだ」
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