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第3章 世界編
第56話 カインウェルダンジョンの報酬
しおりを挟む《初回クリアのため、クリア報酬が与えられます。
奥の祭壇にお進み下さい》
俺が恥ずかしがっているとアナウンスが流れる。
「初めてのダンジョン攻略…!」
「僕達だけでダンジョンを攻略したんだ…」
アオとアートはダンジョン攻略の達成感を感じている。
「メリア大丈夫?」
俺は恥ずかしがりながらもメリアに手を差し伸べる。
「ありがとルイス!かっこよかったわよ!」
「なっ!?メリア!?」
「にひひっ」
メリアは俺をからかうように笑う。
今の言葉は本心なのか、それともからかっただけなのか…
女性ってのは難しいな…
《クリア報酬が与えられます》
「報酬…」
シシーは報酬に心を躍らせている。
祭壇の中央が光り、報酬が現れる。
各自それぞれの報酬を受け取る。
俺の報酬はいつも通り神の欠片だ。
《報酬の受け取りが完了したので帰還します》
目の前が光に包まれ地上に送還される。
「やったね!私達だけでダンジョン攻略だよ!」
「みんなどんな報酬貰った?」
「私は新しい能力【縮地】を手に入れたわ!」
「僕は魔力総量が上がったかな」
「私も…」
「僕は新しいトラップ【デコイ】を手に入れたよ」
みんなが手に入れた報酬をまとめると、メリアが【縮地】、アートとシシーが魔力総量、アオが【デコイ】、俺は神の欠片。
神の欠片は飲んでみないことにはどんな能力を手にしたのか分からない。
ネルフェも俺のことを待っているだろうしな。
「ルイスはどんな報酬だったの?」
「あー、えっとー…」
どうするこの状況!?
はぐらかしたら変に不思議がられるだろうし、ここで神と明かすのも違う気がする。
もちろんいずれは神とみんなに明かすつもりだ。
ポーションって誤魔化すか?
効果はなんて言う?
どうすれば___
「妾じゃよ」
「誰!?」
突然時雨丸が喋り出す。
その声に驚きメリアが警戒態勢に入る。
「ほれ主、説明せい」
「あっ、えっと俺が貰ったのはこの刀なんだ」
「刀!?」
「「かた…な?」」
メリアは目を光らせ他のみんなは刀という言葉に首を傾ける。
時雨丸の咄嗟の判断に助けられたな。
「かっこいいー!」
「刀って言葉は初めて聞いたけど、剣と同じ感じか?」
「うんまぁそんなかん___」
「違うに決まっとるじゃろ!妾を剣と一緒にするな!
妾は剣と違って片面しか切れず、特殊な作り方をしていて___」
しばらく時雨丸の刀に関する演説が続き、その間アートは興味深く話を聞いていた。
「なるほど。刀ってすごく面白い!」
時雨丸が剣と同じにされたくないということが嫌という程伝わったな。
これからは同じにしちゃわないように気をつけよう。
「妾は時雨丸じゃ!よろしくのう!」
(というか、時雨丸って喋れたんだね。
ずっと脳内に語りかけてくるから喋れないのかと思ってたよ。)
〈喋れなかったのは本当じゃよ!
今回ダンジョンをクリアしたことで喋れるようになったのじゃ〉
(え!?時雨丸も報酬貰ったの!?)
〈気づいたら手に入れて終わったわい〉
まさか時雨丸が報酬を貰っていたなんてな。
今回は喋れるようになっただけだけど、もしかしたら新しい能力なども手に入るかもしれない。
今後の時雨丸の成長が楽しみだな。
「美容液も買ったし、ダンジョンも攻略した。
次はどの国に行こうか?」
「むっ!」
「……」
なぜかアオとシシーはアートを睨む。
「あー…あはは、美容液買いに戻ろうか」
「もちろんお金は払ってくれるよね?」
「アートの奢り…」
「あはは…わかったよ」
キングゾンビ戦で美容液を全部使ってしまったからな。
怒るのも無理は無い。
それから俺たちは、美容液を買いにカインウェル王国へ戻った。
「毎度ありー」
「随分沢山買ったね」
「アートの奢りだからね!」
「ありがと…」
「全く勘弁して欲しいよ…」
アートが財布を握りしめて呟く。
「次はどこに行く?」
「今日はもう遅いから宿に泊まろうよ!
次の目的地は明日決めましょ!」
「確かにそうだな」
「さんせーい!」
「宿泊まる…」
日が暮れていたため、俺たちは近くにあった宿に泊まることにした。
宿の部屋はもちろん男子と女子で分かれた。
「アート、俺疲れたから少しだけ眠るね」
「わかった」
俺はこっそりと亜空間から神の欠片を取り出し、アートにバレないよう飲み干した。
「ルイストリア様、お久しぶりですね」
ネルフェがお茶を用意して出迎えてくれる。
「久しぶりだねネルフェ。
今回はどんな能力を取り戻したの?」
俺は椅子に座りティーカップを摘む。
「今回ルイストリア様が取り戻された力は神固有魔術の1つ、【転移】です」
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