59 / 140
第3章 世界編
第59話 警備隊長
しおりを挟む俺は更に奥の扉を開け、証拠になりそうなものを探す。
「おっノートだ!
日記のようだな。どれどれ___」
俺はノートのページをめくる。
〈1日目、私はあの方に救われた。あの方の助けになれるよう頑張ろうと思う。
10日目、あの方の職を初めて知った。とても恐ろしい職だった。
50日目、あの方の実験に加わることが出来た。私の職を頼りにしていると言われた。頑張らねば。
100日目、あの方が仲間を次々と増やしデスティザークという組織を作った。活躍しないと捨てられてしまう。活躍せねば。
300日目、あの方の元に着いてから1年が経つ。私は組織での活躍が認められ、4thの座に着いた。
500日目、いい計画を思いついた。実験体を捕まえるために警備___〉
ギィー…
「っ!?」
俺が日記を読んでいると洞窟の扉が開く音がした。
「まずいっ!」
俺はすぐさま本を閉じ、隠れる場所を探す。
「おかしい…誰かいるのか!!」
俺は瞬時に置いてあった箱の裏に隠れる。
バタンッ
俺が隠れている部屋のドアが開けられる。
「出てこい!」
どうしよう!絶体絶命だ!!
こんなの見つかったら絶対に殺されてしまう。
まさかデスティザークが関わっていたとは!
それに相手はデスティザークの4thだ。
実力は相当なものだろう。
「【取り出し】…」
俺はこっそりと亜空間から仮面を取り出す。
買っておいてよかった!
屋台に売ってたからもしかしたら使うかもって思って買っておいたんだよね!
俺は仮面をつけ前に出る。
ドアのところに立っていたのは、金髪で三つ編みをしたダークエルフだった。
間違いない!この人が犯人だ!
顔をしっかり覚えたぞ!
「誰だ貴様!殺す!」
ダークエルフの魔力が増し、力がどんどん大きくなっていく。
今ここで勝てるだろうか…
相手はデスティザーク4th 。
俺1人で?
俺の力だけじゃ勝つのは難しいだろうな。
ここは一旦引くべきだ!
イメージしろ、宿の部屋、俺のベッドの上…
「悪いが一旦引かせてもらう!【転移】!」
俺の身体が光に包まれる。
「待て!」
俺は気がつくと宿の部屋のベッドの上にいた。
「これが【転移】…さすがに魔力が持ってかれすぎ…だ…」
【転移】によって魔力の大半が持ってかれた。
まさかこんなに魔力が持ってかれるとはな。
朝移動の時に使わなくて良かった。
今日はもう疲れたし、犯人を捜索するのは明日にするか。
◆◆◆
ルイスが誘拐事件の噂を調べてるころ、メリア達は警備団の所で訓練を受けていた。
「私が警備隊長のバイルス・コートだ。君たちが今日から体験を行う新人か?」
「よろしくお願いします!」
「まだ子供のようだが実力は?冒険者カードを見せてくれ」
「どうぞ!」
メリア達は各々の冒険者カードを見せる。
「ほう、この歳でAランクとBランク、Cランクでも十分だ。
それでは訓練の説明をしよう。
これから1週間、私の元で訓練を行ってもらう。
そして1週間後、試験として森で魔物の討伐を行う。
以上が内容だが不満のあるものは?」
「はい!訓練メニューはみんな同じですか?」
「人によって訓練の相性があるからな。みんな一緒という訳では無い。
他に質問は?」
「ありません!」
「ではこれから訓練を始める。
まずは各々苦手な部分を明らかにするため模擬戦からだ」
「「「はい!」」」
その後警備隊長とみんなの模擬戦を行い、それぞれに足りない部分を明らかにしていった。
模擬戦の結果はと言うと、みんな見事に惨敗してしまった。
バイルスはサルディニア帝国の警備隊長というだけあって相当強かった。
「なんだあの人、強すぎる…」
「負けた…」
「私のトラップがことごとく買わされちゃった」
「絶対に強くなってやるんだから!」
「これからお前たちの弱点を言わせてもらう。
まずはメリア!」
警備隊長がメリアを指差す。
「お前は動きが直線的だ。もっと駆け引きをしろ。
能力でねじ伏せられるのは2流までだ」
「頑張ります!」
「次にアート!
お前は駆け引きは文句ないが、深く考えすぎだ。
それぞれの魔術の特性を理解しろ」
「精進します」
「次にシシー!
お前は何も考えなすぎだ。ただ魔術を売っていればいいってもんじゃない。
もっと使う場面を考えろ」
「はい…」
「次にアオ!
お前の能力は設置型だ。相手と駆け引きをして、もっと置く場所を考えろ。
相手の進む道に罠を仕掛けるのではなく、罠に誘導することを覚えろ」
「わかりました!」
「今日はこれで終わりだ。明日から本格的に訓練を始める」
「「ありがとうございました!」」
警備隊長はメリアたちに別れを告げ去っていく。
「やっと終わったよ」
「疲れた~」
「訓練嫌い…」
「ルイスが待ってるから帰りましょ!」
それからメリアたちは宿に帰っていった。
42
あなたにおすすめの小説
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
インターネットで異世界無双!?
kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。
その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。
これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。
追放された荷物持ち、スキル【アイテムボックス・無限】で辺境スローライフを始めます
黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティーで「荷物持ち」として蔑まれ、全ての責任を押し付けられて追放された青年レオ。彼が持つスキル【アイテムボックス】は、誰もが「ゴミスキル」と笑うものだった。
しかし、そのスキルには「容量無限」「時間停止」「解析・分解」「合成・創造」というとんでもない力が秘められていたのだ。
全てを失い、流れ着いた辺境の村。そこで彼は、自分を犠牲にする生き方をやめ、自らの力で幸せなスローライフを掴み取ることを決意する。
超高品質なポーション、快適な家具、美味しい料理、果ては巨大な井戸や城壁まで!?
万能すぎる生産スキルで、心優しい仲間たちと共に寂れた村を豊かに発展させていく。
一方、彼を追放した勇者パーティーは、荷物持ちを失ったことで急速に崩壊していく。
「今からでもレオを連れ戻すべきだ!」
――もう遅い。彼はもう、君たちのための便利な道具じゃない。
これは、不遇だった青年が最高の仲間たちと出会い、世界一の生産職として成り上がり、幸せなスローライフを手に入れる物語。そして、傲慢な勇者たちが自業自得の末路を辿る、痛快な「ざまぁ」ストーリー!
魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。
それは、最強の魔道具だった。
魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく!
すべては、憧れのスローライフのために!
エブリスタにも掲載しています。
スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~
みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった!
無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。
追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。
【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。
いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。
そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。
【第二章】
原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。
原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる