無職だけど最強でした〜無職と馬鹿にされたが修行して覚醒したから無双してくる〜

えんじょい

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第3章 世界編

第61話 ルイスVS警備隊長(模擬戦)

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俺たちはいつも通り訓練をしに警備団の元に向かった。

「隊長おはようございます!」

「ああ、おはよう」

「おはようございます」

「おはよーございます!」

「おはよ…ございます…」

今日はしっかり警備隊長が来たみたいだな。
さて、どんな人なのだろうか…

「みんなもおはよう。
昨日は休んですまなかったね。
そちらの子は?」

「ルイストリア・フールですぅっ!?」

「あははっ!どうしたのルイス?いきなり変な声出して」

俺は驚きのあまり変な声を出してしまう。

俺は警備隊長の顔をしっかりと見る。

金髪で三つ編み、一昨日森の洞窟で見たのと同じ顔。
間違いない…この人がデスティザークの4th!!

「私の顔になにかついているか?」

少し怪しまれてるな。
相手は俺のことは分からないだろうが、ここは誤魔化さないと!

「えと、虫がいて!取り乱してしまい申し訳ありませんでした。
改めて、ルイストリア・フールです。今日は見学をしに来ました。よろしくお願いします」

「そうか。是非見ていってくれ」

何とか誤魔化せたようだな。

それにしてもどうしようこの状況!?
まさか警備隊長がデスティザーク4thだったなんて!?

「お前たち、一昨日私が言った弱点は修正できたか?」

「ばっちり!」

「僕はまだ何となくかな」

「………」

「僕もまだあんまり掴めてないかなー」

「では今日はお前たちに弱点を気づかせてやることにする」

「その前に隊長!」

「なんだメリア?」

「ルイスと模擬戦をして貰えませんか?ルイスにも弱点を教えてあげてください!」

「うーん」

警備隊長は腕を組みながら俺に視線をやる。

「こいつはもう十分だ。教えなくても成長していくやつだ」

「そこをなんとか!」

メリアが必死にお願いをする。

メリアはいつも必死になるけど、ここまで必死に頼むのは珍しいな。
よっぽど俺と警備隊長で戦って欲しいのだろう。

しかし、相手はデスティザークの4th…

一昨日対面してわかったことがある。
あいつは今の俺より強いってことだ。

つまりここで模擬戦をしたら恐らく負けるだろう。
しかし、俺の弱点や相手の能力も知れる。

そっから修正していくことは可能だ。

「いい機会なので僕からもお願いします」

俺からも警備隊長に頼み込む。

「仕方ない。1戦だけだぞ」

「やったね!ルイス頑張って!」

「その代わり、真剣ではやらない。団員ではないからな」

警備隊長は俺に木剣を渡す。

「アート、僕なりの考えがあるからみんなに何も言わないように言っておいて」

「わかった」

俺はアートにそっと耳打ちをする。

「お願いします!」

俺は前に出て剣を構える。

「準備は出来たようだな。いつでも来ていいぞ」

俺にはある考えがある。
それはこの戦闘で本気を出さないことだ。

「本気で行きます!」

俺は軽く踏み込み警備隊長に接近する。

「いい速さだ。だが、詰めが甘い。【バインド】」

警備隊長の手から縄が出現し、俺を捕らえようと伸びる。

「はぁ!」

俺は伸びてくる縄を斬り伏せようとする。
しかし、ある違和感に気づく。

ゆっくりと、まるでこの縄を斬らせるかのように伸びている。
これはもしかしてフェイントか?

この縄を斬った隙をつこうという作戦だろう。

「そのフェイントには引っかからない!」

俺は体勢を低くして縄を躱す。
そしてその体勢のまま魔術を放とうとするが、それをやめ後ろへ下がる。

「今のフェイントを躱すか。かなり戦い慣れているな。」

フェイントを仕掛けてくるとは…
さすがデスティザーク4th。
一筋縄ではいかないな。

「今のルイスなんで魔術を打たなかったの?魔術のチャンスだと思ったんだけどな」

メリアが小さく呟く。

「僕の推測だと、ルイスはあえて魔術を使わないようにしているように思える。魔術だけじゃなく【収納】だって使っていない。
きっと何か考えがあるんだろう」

アートがメリアに聞こえるように推理する。

実際、アートの推理は合っている。
何故本気を出して戦わないのかって?

それは___

「だが、これは避けられるかな?
【バインドスネーク】」

無数の縄が蛇の形を成して巻きつこうとしてくる。

俺はいつもの半分くらいのスピードで警備隊長に接近する。

「その速さだと捕まるぞ」

俺の足が1匹の蛇に捕らわれる。

「くそっ!」

「【バインド】」

警備隊長の手から縄が出現する。

「やめろっ!離せ!」

俺は必死に抗うふりをする。

【バインドスネーク】と【バインド】がお互い相まって、俺の動きは完全に封じられる。

「参りました…」

俺は負けを認めた。

もちろん俺はこの戦いで本気は出さず、わざと負けたのだ。

本気を出さない理由…

それは、この戦いは勝つための戦いではなく、騙すための戦いだからだ。


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