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第3章 世界編
第80話 武術大会の申し込み
しおりを挟む「あー、メ、メリア…」
緊張しすぎて話が全然出てこないんだが!?
しかも、心臓さんよ落ち着いてくれ!
俺の心臓は減速することを知らずに鳴り続ける。
どうしよう心臓の音聞こえてないよね!?
「ど、どうしたのルイス?
(どうしよう!緊張して上手く話せない!それにすごく胸がドキドキしてる…心臓の音ルイスに聞こえてないわよね!?)」
「ちょ、ちょっと疲れたから寝るね…」
気まずくて寝るって言っちゃったよ!?
何してんの俺!?
俺は自分の判断を責めながらもメリアの背中に顔を寝かせる。
「わ、分かったわ…!
(ル、ルイスが私の背中に顔を!?どうしよう私今日いい匂いかな…?)」
「「(だめだ!耐えられなくなってしまうから早く着いて!!)」」
「あははっ、あの2人すごい仲良しだね」
アートが俺たち2人を見て微笑む。
「羨ましい…」
「えっ?今なんて?」
「なんでもない…」
シシーの中の恋心が密かに大きくなる。
「さぁ早く向かうわよ!」
◆◆◆
「あの2人すごい仲良しだね」
「…ボソッ」
「え?今なんて?」
シシーが何か呟いたような気がして僕は聞き返す。
「なんでもない…」
なんでもないって言うなら、別に深く聞かないでもいいかな。
それよりも…
僕はルイスを背負ってるメリアの方に視線を向ける。
「さぁ早く向かうわよ!」
「メリア!そんなに急がないでよ」
せっかく2人でくっつけてるのになんで急ぐんだろ。
もっとゆっくり行けばいいのに…
心の中に疑問を抱きながらも、先頭を歩くメリアに着いて行く。
「ねぇ見て!あそこで受付やってるわよ!」
メリアが何かを見つけ指差す。
「武術大会の受付…?」
そこには《武術大会の受付》と書かれた看板と、そこに集まる人だかりが出来ていた。
「今のうちに受付しちゃいましょうよ!」
「確かに、受付するなら早い方がいいね」
あんだけ人だかりができるなんて、誰か有名な人とかいるのかな?
僕はメリアとシシーと共に受付の方へ向かう。
「あの!受付お願いします!」
「はい!こちらにお名前をお書きください!」
うさぎの獣人の受付嬢から紙とペンを渡される。
「ルイスの分は私が書くわね!メリア・ユメツリオ…ルイストリア・フールっと」
「アート・レイン」
「シシー・マイナライト…」
メリアに続き僕達も紙に名前を書く。
下に書いてあるルールも一応読んどいた方がいいか。
僕はルールを読んだ後紙を提出する。
「皆さんの武術大会の受付が完了しました。質問などはありますか?」
質問…あの人だかりのこと聞いてみようかな。
「ひとつ聞きたいんですけど、あの人だかりって誰か有名な人でもいるんですか?」
「あそこに居られますのは、前大会の優勝者、ボホル・レーさんでございます」
受付嬢が指す先には、ふさふさな身体に力強い筋肉、鋭い鉤爪を持った熊の獣人の姿があった。
「あれが前大会優勝者…」
僕達はボホルに視線を向ける。
「私たちなら余裕よ!」
「アオのためにも倒す…」
「そうだね。僕達は勝たないといけないんだ」
「それにしても___」
「おいおいおい、いつからこの大会は子供のお遊びになったんだよぉ?」
メリアが何かを言おうとした時、ボホルが人だかりの中から近づいてくる。
「しかも人族だとぉ?笑えるぜ。
ガキは帰ってママのおっぱいでも吸ってろ」
「何よあんた!」
メリアが剣に手を添える。
「メリアだめだよ。ルールに書いてあったでしょ」
「ルール?」
「ほう、ガキでもそこはしっかり知ってるんだな」
「さっき名前書いた時に下にルールが書いてあったんだ。そこに、受付してから大会当日までは出場者との戦闘を禁ずるってね」
「それじゃあこいつは!」
「うん、煽って攻撃させて失格にさせようとしてたんだろうね。
悪いけど僕達は勝つためにここに来てるんだ。邪魔しないで貰えるかな?」
僕はボホルを睨みつける。
「眠ったガキに女の子2人も連れて王子様ってか?ふざけるのも大概にしろ」
「人に囲まれてカッコつけてる君に言われたくは無いね」
「んだとコラァ?」
お互い睨み合う。
体格ではボホルの方が数倍大きい。
「武術大会で勝負をつけようじゃねぇか?」
「僕と当たる前に負けるなよ?」
「上等だコラァ」
武術大会でこいつと当たるか分からない…
けれど、当たったら絶対に勝つ。
「メリア、シシー、夜ご飯を食べに行こう」
「そうしましょ!」
「ご飯食べる…」
僕達は受付場を後にし、夜ご飯を食べに宿へ向かった。
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