無職だけど最強でした〜無職と馬鹿にされたが修行して覚醒したから無双してくる〜

えんじょい

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第3章 世界編

第87話 ライクリックダンジョン(3)

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「「「ウキッウキウキウキッウキウキッ」」」

ダンジョンの奥から猿の鳴き声が何重にもなって響き渡る。

「この声の数いったい何体いるのよ!」

「確実に100匹以上いるだろうね…」

「どうする…」

「どうするも何も、早く逃げるウキッ!」

幸いまだ3階層に降りてきたばかりだ。
何故だか分からないが、魔物は階層をまたいでくることは無い。
階段はすぐ近くな為、引き返すのは容易いだろう。

でも、引き返したところでどうする…
結局ダンジョンから出ることは出来ない。

つまり、必ずここを突破しなければならないのだ。

「いや、待ってくれ!」

俺は引き返そうとするみんなを呼び止める。

「ここは俺に任せてくれないか?」

見ているだけなのもそろそろ終わりだ。

新しく手に入れた【多重詠唱】も試したいし、いっちょ本気を出すとするか!

〈やっと妾の出番じゃ!〉

(いや、時雨丸はボス戦まで待っててくれないか?新しい能力を試したいんだよね)

〈…わかったのじゃ〉

俺と同じで時雨丸も戦い足りてなかったみたいだな。

ボス戦では剣術メインで戦ってあげようか。

「ルイス!こんな大群どうするつもり?」

「魔術を放ったとしても、次を放つまでに接近されてしまうよ」

「安心して!実は新しい能力を手に入れたんだよね」

「「新しい能力?」」

「まぁ、見ててよ」

俺は手を前に向けて構える。

「無茶ウキッ!早く逃げ___」

「【多重詠唱】【ファイアストーム】×10!」

俺の手から大群のキラーモンキーへ向けてファイアストームが放たれる。

その数なんと10個…

「___早く逃げ…る……ウ、キ…!?」

ボッパーが目をむき出して驚く。

俺の放った【ファイアストーム】は束を成してキラーモンキーの大群を巻き込む。

10個もの威力が合わさった【ファイアストーム】は止まることを知らず、数百匹居たキラーモンキーはわずか数分で灰へと化した。

「ふぅ、こんなもんかな」

やっぱり、【ファイアストーム】10個分の魔力消費量はでかいな。
30個くらい放ったら直ぐに魔力切れになってしまいそうだ。

けれど、威力は魔力消費量に見合ったものだった。
いや、それ以上と言っていいかもしれないほどだ。

「すごいウキ…!」

「さすがルイスね!」

「まさかこんなにすごい能力を手に入れているとは…」

「羨ましい…」

「それにしても、初めてでこんなに強いなんてほんとに初心者ウキ?」

「「「「………え???」」」」

「私たちは初心者なんかじゃないわよ!」

「僕たち初心者だと思われていたんだね」

「私たちはベテラン…」

「シシー、ベテランってほどじゃないけど初心者ではないかな」

「ウキ…?…ウキッ!?初心者じゃないウキッ!?
おいらてっきり初心者かと思ってたウキッ!?」

なるほどな。
違和感を感じていた正体がわかったな。

今まで少しすれ違いが起きていると思っていたが、ボッパーは俺らのことを初心者だと思っていたみたいだ。

「あんちゃんたちの冒険者ランクとかって聞いてもいいウキ?ちなみにおいらはBランク冒険者ウキッ!」

へぇー、ボッパーはBランク冒険者だったのか…!
戦闘ではあまり目立っていないけど、それ以外が評価されたって感じかな。

「僕も同じBランク冒険者だよ」

「私も…」

「びっ、Bランクウキッ!?」

「私はAランクよ!」

「えっ、Aランクウキッ!?!?
まさかおいらより高かったなんて…!?」

「俺はSランクだよ」

「…Sランクウキッ!?!?!?」

ボッパーは一瞬状況が掴めないというような顔をし、遅れて驚く。

「あれがSランクの魔術ウキ…」

「そーゆー訳でもないと思うけどね」

「ルイスはSランク冒険者の中でも別格よ!」

「ルイス!」

ボッパーは俺の前に来て膝をつく。

「あんちゃんならこのレベルエンハンスを止められるウキッ!国の為にも頼むウキッ!」

ボッパーは深い姿勢で俺に頭を下げる。

ここまで真剣にお願いしてくるってことは、レベルエンハンスはよっぽど深刻な事態なのだろう…

それに自分のためだけじゃなく、国のことや国民のことも考えている。

それに、最初から攻略するつもりだったしね!

「任せろ!」

次は4階層…これを攻略すれば残っているのはボス戦だけだ!

「4階層とボス戦はみんな休憩してていいよ。俺が全て終わらすから」

「頼もしいわね!」

「僕もかなり魔力を消費したから休ませてもらおうかな」

「ルイス任せた…」

「ありがとうウキッ!」

俺は先頭に出て4階層へと続く階段に足を踏み入れる。

レベルエンハンスしたライクリックダンジョンのボスは一体どんなやつなのだろうか。

全力の自分を確かめる良い機会かもしれないな…!


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