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第3章 世界編
第88話 ライクリックダンジョン(4)
しおりを挟む「任せろ!」
次は4階層…これを攻略すれば残っているのはボス戦だけだ!
「4階層とボス戦はみんな休憩してていいよ。俺が全て終わらすから」
「頼もしいわね!」
「僕もかなり魔力を消費したから休ませてもらおうかな」
「ルイス任せた…」
「ありがとうウキッ!」
俺は先頭に出て4階層へと続く階段に足を踏み入れる。
レベルエンハンスしたライクリックダンジョンのボスは一体どんなやつなのだろうか。
全力の自分を確かめる良い機会かもしれないな…!
4階層の階段を降り、5階層に到着する。
「ウホウキッ!」
5階層に到着した途端、俺たちの前に1匹の魔物が現れる。
「ウホホウキキッ!」
「あの魔物は本来ならダンジョンボスの魔物モンキーコング、ウキッ!」
「本来ならあれがダンジョンボス!?」
「レベルエンハンスが起きたらダンジョンボスが上の階にずれるのか…
しかも、1匹だけじゃないようだね」
「「「ウキッウホッ!!」」」
仲間を呼ばれたのか、奥から数体の群れが現れた。
「任せて!【多重詠唱】【ファイアランス】×20!」
俺はモンキーコングの群れに向けて1匹に3本程【ファイアランス】を放つ。
「ウキッウホッ!」
「ウホッ!?」
「ウキ…?」
モンキーコングの中には【ファイアランス】を軽々と避ける者や慌てて逃げる者、よそ見をしていて直撃する者などがいた。
「元ダンジョンボスというのは伊達じゃないな」
どうやらモンキーコングは個体差が大きい魔物みたいだ。
1番奥のあいつが1番強く、手前のやつほど弱い。
群れの中でも格差があるみたいだ。
こういう獣系はリーダーが討ち取られれば、他はだいたいビビって逃げるだろうな。
それなら叩くのはもちろん、1番奥の強いやつだ!
「【多重詠唱】【ファイアランス】×5【ウィンドバレット】×5」
俺の周りに今にも飛び出しそうな勢いの【ファイアランス】が並ぶ。
この攻撃で確実に仕留める!
「喰らえ!」
【ファイアランス】を【ウィンドバレット】で加速させて放つ。
「ウホウキッ!?」
ものすごい勢いで放たれた【ファイアランス】を間一髪のところで避けられる。
しかし___
「いつもならどこに避けるか動きを見てから判断しないとなんだけど、【多重詠唱】を使えばそんな心配いらないな」
「ウホホ!?」
1本の【ファイアランス】がモンキーコングの胸を貫く。
俺は避けると予測し、1本目を放った後、左右と頭上の3箇所同時に【ファイアランス】を飛ばしていたのだ。
【多重詠唱】にしかできないチート技だな。
「これでトドメだ!」
動けなくなったモンキーコングに最後の【ファイアランス】を放つ。
「ウキウッ___」
【ファイアランス】はモンキーコングの頭を貫いた。
「ウキキッ!ウホウキッ!」
「「ウキキウホホッ!」」
リーダーが倒され勝てないと悟ったのか、他のモンキーコングたちはダンジョンの奥へ逃げていく。
「本来のダンジョンボスをあんなに圧倒しちまうなんてすごすぎるウキッ!」
「また強くなったわね!もう私じゃ敵わないんじゃないのかしら!」
「魔術師からしても、魔術の同時発動はさすがに規格外だね」
「チートずるい…」
「チートって…あはは。
ボス戦はもっと本気で行くから期待しててよ」
「早く先へ進んで攻略しちゃいましょ!」
「そうだね!」
それから俺たちは5階層へ続く階段を求め、奥へと進んで行った。
その際、さっき逃げたモンキーコングを見つけたが、全員ビビって壁の隅にうずくまっていた。
攻撃してくる気は無さそうだったから放置して来たんだけど倒しておくべきだったかな?
まぁ、レベルエンハンスが終わればあいつらも消えるだろうし心配いらないか。
それよりもここからが肝心だな。
「行くよ」
「気をつけるウキッ!」
俺たちは5階層へ続く階段を見つけ、慎重に気を引き締め下っていく。
「これがボス部屋の扉!?」
いつものような扉とは全く異なり、これより先は危険だと呼びかけているようだった。
「ほんとに入るウキッ!?」
「行くよ」
俺は扉を開ける。
「ウホッウキッウホウキッ…」
聞き覚えのある鳴き声…
しかし、部屋の奥にいるのはものすごく巨大な何か。
モンキーコングのように見えるが、その身体は何十倍もある。
「あれは…ジャイアント…モンキーコング…ウキッ!?」
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