96 / 140
第3章 世界編
第96話 武術大会(6)
しおりを挟む「あちゃー、やっぱりダメだったかー…」
観客席で見ていたマロンが頭を抱える。
戦闘に特化させすぎて知能を削ったのが間違いだったのかな?
ルールもあんまり理解していなかったみたいだしっ。
それにあの短剣って僕が護身用に持たせた遅延毒の短剣だよね?
それじゃああの子はもう助からないかー。
生きていればいい実験材料になったと思ったのになっ。
でも、後ろに目をつけるのは正解だったみたいだねっ!
ピントを合わせるのに苦労していたけど、2回目はうまく見えたみたいだっ。
ザークドロップスを使った感じとか他にも色々試したいことあったんだけどなっ。
まぁ、初挑戦にしてみては上出来な方かなっ?
「やることなくなっちゃったしかーえろっ!」
マロンは次の実験のことを考えながら、呑気に闘技場を去っていった。
◆◆◆
「第1回戦8試合目、ルイス選手とニンジョリ選手は試合会場までお越しくださいにゃ!」
「おっ、やっと呼ばれた」
前の試合はかなり時間がかかっていたみたいだけど、メリアがそんなに苦戦したのかな?
メリアと互角にやり合えるほど025は強かったのか?
どっちが勝ったのか楽しみだが、メリアが勝っていると信じたいな。
「ついに俺の出番が来たってばよ!」
ニンジョリらしき人物が闘技場へ向かって行き、俺もその後ろを着いて行った。
この人の服装この世界ではなかなか見かけない感じだな?
黒の和服みたいな素材に額に鉄のプレート。
前世で言う忍者ってやつか?
どんな技を使ってくるのか楽しみだな!
まぁ、だいたい予想は出来そうだけど…
「それでは第1回戦8試合目、ルイス選手対ニンジョリ選手…」
俺とニンジョリが審判を挟んで向かい合う。
「俺は子供にも平等に接する。
この大会に出場するってことはそれなりに実力があるんだろ?
俺の期待に応えてくれたらうれしいってばよ!」
「まだ子供だと思われていたのは残念ですが、期待に応えることは出来ると思いますよ。
なんなら何も分からないで終わってしまうかも」
「そうか!それは楽しみだってばよ!」
話した感じ優しそうな人だな。
でも、俺は手加減なんてするつもりは無いから、最初から全力でいかせてもらうつもりだ。
この人には悪いけど、必ず優勝しなければならない理由があるからね。
「…始め!」
開始の合図と共に審判が手を下ろす。
「【影分身の術】!」
術を唱えたニンジョリの身体が5人に分裂する。
「やっぱりそう来たか…」
どれも本物に見える…
でもそんなの関係ないよね!
「【多重詠唱】【ファイアランス】×10」
「「「はぁ!?」」」
俺の唱えた【ファイアランス】は1人に2本ずつ飛んでいく。
「「「そんなのあり___」」」
【ファイアランス】が命中したニンジョリは、煙となって消えていく。
「___かよ…」
会場に残ったのは1人のニンジョリ。
「本物がわかったね」
「わかったところでどうしたって言うんだってばよ!こっからが本番だっ___」
「___【転移】!」
俺は隙をついて【転移】を唱える。
「消えた!?どこにいっ___」
「___後ろだよ」
「なにっ!?」
ニンジョリの服を掴み、強く握る。
「ちょわっ!待てってばよ!?」
「いってらっしゃい!」
「うわぁぁ!」
俺は勢いをつけてニンジョリを場外へ投げ飛ばした。
「第1回戦8試合目、ニンジョリ選手が場外に出たため負けとなります!よって勝者ルイス選手!」
「「「うぉぉぉぉぉ!!!」」」
「なんだ今の技!?」
「ありゃ優勝候補に間違いねぇな」
「いや、俺は1番最初の人族の女が優勝だと思うぜ!」
「確かにあの人も強かったな!」
第1回戦の全ての試合が終わり、観客席では優勝者の予想で盛り上がっていた。
「ここが2回戦の待機場所か…」
俺は期待を込めて扉を開く。
「おっ、やっと来たぜ」
「遅かったな」
「どっかの試合が苦戦したのかな」
「みんな!」
ヘルバー、アシュー、アートの3人が出迎えてくれる。
「あれ?メリアは?」
「それがまだ来てないんだよね」
「ルイスより前に来るはずだが、アートの後は誰も来ていないぜ」
「私も最初から居たが見かけなかったな」
「それじゃあメリアは…」
俺は周りを見渡す。
メリアの対戦相手であった025は見つからない。
メリアが負けた訳では無いのか?
何か問題が起こったってことか?
俺は予言書の内容を思い出した。
予言書には確か025に気をつけろと書かれていた。
もしかしてメリアは…025に…
「メリアが危ない!」
俺は勢いよく待機場所から飛び出す。
「あっ、ルイス!」
「急に飛び出してどうしたんだ?」
「何か嫌な予感がするな…私も着いて___」
「第2回戦第1試合目、アシュー選手とジマロ選手は会場へお越しくださいにゃ!」
アシューがついて行こうとした時、呼び出しのアナウンスが流れる。
「…私は試合に行ってくる。ルイスを頼むぞ」
「わかったぜ!」
俺は必死に走る。
「お願いだ…!無事でいてくれ!メリア!」
11
あなたにおすすめの小説
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
インターネットで異世界無双!?
kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。
その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。
これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。
追放された荷物持ち、スキル【アイテムボックス・無限】で辺境スローライフを始めます
黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティーで「荷物持ち」として蔑まれ、全ての責任を押し付けられて追放された青年レオ。彼が持つスキル【アイテムボックス】は、誰もが「ゴミスキル」と笑うものだった。
しかし、そのスキルには「容量無限」「時間停止」「解析・分解」「合成・創造」というとんでもない力が秘められていたのだ。
全てを失い、流れ着いた辺境の村。そこで彼は、自分を犠牲にする生き方をやめ、自らの力で幸せなスローライフを掴み取ることを決意する。
超高品質なポーション、快適な家具、美味しい料理、果ては巨大な井戸や城壁まで!?
万能すぎる生産スキルで、心優しい仲間たちと共に寂れた村を豊かに発展させていく。
一方、彼を追放した勇者パーティーは、荷物持ちを失ったことで急速に崩壊していく。
「今からでもレオを連れ戻すべきだ!」
――もう遅い。彼はもう、君たちのための便利な道具じゃない。
これは、不遇だった青年が最高の仲間たちと出会い、世界一の生産職として成り上がり、幸せなスローライフを手に入れる物語。そして、傲慢な勇者たちが自業自得の末路を辿る、痛快な「ざまぁ」ストーリー!
魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。
それは、最強の魔道具だった。
魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく!
すべては、憧れのスローライフのために!
エブリスタにも掲載しています。
スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~
みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった!
無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。
追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。
【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。
いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。
そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。
【第二章】
原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。
原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる