無職だけど最強でした〜無職と馬鹿にされたが修行して覚醒したから無双してくる〜

えんじょい

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第3章 世界編

第95話 武術大会(5)

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この勝負もらったわ!

「…【止まれ】」

「なっ!?」

剣先が025に触れる瞬間、急に身体が動かなくなる。

「…【吹っ飛べ】」

「うわっ!?」

急に身体が後ろへ引っ張られる。

まずい!
このままだと場外に出てしまうわ!

「くっ!」

剣を闘技場に突き刺し、場外に飛ばされないようギリギリ耐える。

「今のは職の能力なのかしら…?」

言葉を発するだけでその通りになる能力…
全くチート能力ね!

この戦いは少し骨が折れそうだわ!



◆◆◆



「025ちゃん頑張ってるかなっ?」

マロンがこっそりと観客の中に忍び込む。

「おい!なんだ今の能力!」

「何もしていないのにぶっ飛ばしたぞ!?」

不思議な力に観客が湧く。

「ふふんっ!」

025ちゃんの力は苦労して磨き上げたんだからねっ!

元々の能力は『念話師 有能級』だったけど、薬の力で能力を引き上げたんだよねっ!

念話に相手の行動意思を乗せて送ることによって一時的に操れるんだっ!

でもひとつだけ未完成なところがあってー…

実は殺意のコントロールがままならないんだよねっ。
だからもしかしたら相手を殺しちゃうかもなー…

そうなったらまた新しいのを作ればいいんだけどねっ!

満足いく実験結果が出るまで、せいぜい頑張って欲しいなっ!



◆◆◆



この戦いは少し骨が折れそうだわ!

同じやり方でやっても同じように吹っ飛ばされてしまうだけ。

まずは打開策を練るところからよ!

「はぁぁ!」

斜めに走りながら少しづつ接近する。

「【縮地】!」

一定距離まで近づいた後、【縮地】で瞬間的に移動し後ろへ回り込む。

「…【進め】」

「あっ!」

025は自分に能力を使い身体を前へ移動させる。

それによりメリアの剣は空を斬った。

「そーゆーのもありなのね!でももうわかったわ!」

さっきは前から詰めたら私が吹き飛ばされた。
でも今は後ろへ回り込んだら自分に能力を使った。

つまり、相手を視界に捉えてないと使用できないってことよね!

それなら話は簡単よ!

「次で決めるわ!」

メリアは剣を鞘に収める。

私が新しく手に入れた技、見せてあげるわ!

「【縮地】!」

鞘にしまった剣の柄を握りながら【縮地】で背後に接近する。

「からの【居合斬り】!」

柄から剣が素早く抜かれる。
そしてその勢いのまま剣を振る。

「…【止まれ】」

「どうして!?後ろからなら___」

ザクッ

「「「は…???」」」

その場を見ていた全員がその光景に呆然とした。

「おいおいおい!」

「こりゃ不味くねぇか…?」

「今何が…」

観客席が段々と騒がしくなる。

「かはっ…あんた…何をして…」

メリアが血を吐き崩れ落ちる。

「うっ…」

痛みに耐えながらも、自分のお腹へと視線を向ける。

「私…もう…助からない…のかな…」

メリアのお腹には1つの短剣が深く突き刺さっていた。

「だ、第1試合7試合目、025選手の失格により勝者はメリア選手にゃ!」

審判が慌てた様子で試合を終わらし、025は兵士2人に腕を捕まれどこかへと連れ去られていく。

「急いで『治癒魔術師 屈強級』を呼んで来るのにゃ!」

「わっ、私『治癒魔術師 屈強級』です!ちっ、治療します!【ハイヒール】!」

兎の獣人がメリアのお腹に手を添えて魔術を唱える。

「傷が深い…!もっ、もう一度使用します!【ハイヒール】!【ハイヒール】!」

【ハイヒール】を使用する事に傷口は少しづつだが塞がっていった。

「とっ、とりあえずは大丈夫だと思います!」

「メリア選手、次の試合は続行不可能ということでよろしいですかにゃ?」

「ええ…大丈夫よ…」

あー、次ルイスと戦いたかったな…
けど、傷もふさがったし助かってよかった…

なんだか助かったって思ったら気が抜けてきちゃった。

傷は治ったけどまだ痛むし、少し休もうかな…

私の意識はそこで途絶えた。



◆◆◆



「あちゃー、やっぱりダメだったかー…」

観客席で見ていたマロンが頭を抱える。

戦闘に特化させすぎて知能を削ったのが間違いだったのかな?
ルールもあんまり理解していなかったみたいだしっ。

それにあの短剣って僕が護身用に持たせた遅延毒の短剣だよね?

それじゃああの子はもう助からないかー。
生きていればいい実験材料になったと思ったのになっ。

でも、後ろに目をつけるのは正解だったみたいだねっ!

ピントを合わせるのに苦労していたけど、2回目はうまく見えたみたいだっ。

ザークドロップスを使った感じとか他にも色々試したいことあったんだけどなっ。
まぁ、初挑戦にしてみては上出来な方かなっ?

「やることなくなっちゃったしかーえろっ!」

マロンは次の実験のことを考えながら、呑気に闘技場を去っていった。


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