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第3章 世界編
第101話 襲撃
しおりを挟む「お前を弟子に持てて誇らしいぞ」
「俺もアシュー師匠の弟子になれて嬉しいです!」
「あはは、そうかそうか」
アシューは笑ってその場を後にした。
その後は表彰台が運ばれ、俺は表彰台の近くで待機させられた。
「それでは表彰式を行いたいと思います!」
「ついにか」
ついにあの伝説の薬を手に入れられる!
しかし、手に入れてからが問題だ…
どっちに薬を使うのか…
これはしっかりと悩んで判断しないといけないな。
「優勝者はルイス選手!
これが優勝報酬の『伝説の薬』です!」
伝説の薬が俺の手に渡された。
___その瞬間
「おい!魔物が攻めてきたぞ!!」
こんなタイミングで襲撃だって!?
「そういえば…!」
俺はあることを思い出す。
待機している間に見た予言書の内容を…
そこには武術大会に優勝した後、赤い文字の前に『襲撃にあう』と書かれていた…
ただの魔物の暴走か?
魔物が統率を取って急に攻めてきたりするだろうか…
もしかしたら誰かの仕業か!?
一刻も早くメリアを助けなければならない。
それにアオのことも…
「観客の皆さんは素早く避難を!
選手の皆さんは少しでも力を貸してくれるとありがたいです!」
アシュー師匠やヘルバーさん達は襲撃と聞いた瞬間飛び出して言ったみたいだ。
さすがはベテランの冒険者だな。
それに続いてアートやシシーも討伐に向かったみたいだ。
「メリアの無事を確認した後、俺も手伝いに行くか」
それから俺は救護室へ向かった。
「治癒術さん!メリアの容態は!?」
「それが、もう長くは無いかもしれません…」
「そんな…」
俺メリアの顔を覗き込む。
「メリア…」
呼吸が荒く、指先は黒くなり、首元に蕁麻疹のようなものが出ている。
メリアの身体はほとんど毒に蝕まれてしまっていた。
「もう治らないんですか…?」
「いっ、いえ、まだ希望はあると思います!」
「本当ですか!?」
「先程兵士の方が来てくださり、これから025番の荷物検査をするそうです。
もしかしたらその中に解毒薬が入っていたら、すぐに持って来てくれるとのことです」
「わかった!」
俺はその情報を聞くや否や救護室を飛び出した。
025がいる場所は恐らく監禁室…
監禁室に行けば解毒薬が手に入るかもしれない!
監禁室の位置は闘技場を挟んで救護室の反対側。
ここから行くなら闘技場を突っ切って行く方が早いな。
025の持ち物に解毒薬があれば…メリアを死なせずに助け、アオも生き返らせることが出来る。
お願いだ…解毒薬があってくれ!
そうこう考えているうちに監禁室の前へ到着する。
俺は期待を込めて扉を開ける。
「誰だ!」
「毒にかかってしまった者の仲間です!解毒薬を探しに___」
ドクンッ
「あはっ…あはは、あはっは…」
ドクンッ
「あははっ、あはっあはは…あは…?」
ドクンッドクンッ
奥で鎖に繋がれている025と目が合う。
こいつが…メリアを…
ドクンッドクンッドクンッ
なぜ笑っていられる…
全く反省をしていないのか…
こんな奴が…
ドクンッドクンッドクンッドクンッ
生かしておいていいわけが無い…
ドクンッ
俺の頭のネジが1本…外れたような気がした…
「___い?おーい?どうしたんだ?大丈夫___って、あっ!?おい!」
無意識に俺の足が歩みを進める。
「あは…っは、あぁ、うぅぃ、うあうぁぁ!!」
「なんだ!どうした!急に暴れ始めたぞ!?」
025はもがき苦しみ、必死に何かから逃れそうとしている…
「おい兄ちゃん!何をする気だ!」
025の前に来て俺は歩みを止める。
「うぅぁ、ああぁ!」
拳を握り締める…
「おい!兄ちゃんまさか!」
握りしめた拳を放とうとした時___
「おい!正気になれ!」
「お前はこいつを殺すために来たんじゃないだろ!」
兵士2人がかりで俺の腕を掴む。
「しっかりしろ!」
「あ…」
俺は今なにを…
「これが解毒薬だ。またまた運良くこいつのポケットから見つかった」
「兄ちゃんははやく治しに行ってあげろ」
兵士は俺の手に解毒薬を乗せ、しっかりと握りしめさせる。
俺は今…取り返しのつかないことをしようとした…
心ではわかっていたが、完全に制御できなかった。
止めてくれたこの人たちには感謝をしないとだな。
「ありがとうございます…」
「おう。早く行ってやれ」
「失礼しました」
俺は去り際に、気絶して倒れている025に視線をやる。
「これが解毒薬…」
俺は手に握られている液体を眺める。
これがあればメリアを治せる!
行きと同様に闘技場を突っ切って最速で向かおう。
解毒薬が手に入ったことで安心し、俺は完全に油断していた…
「闘技場に出たぞ!あとはここを進むだけ___」
「ルイストリア…それがあなたの名前ですか…」
「誰だ!?」
後ろから名前を呼ばれ、咄嗟に振り返る。
「そう焦らないでください」
そこには黒色のコートを纏った、明らかに異様なオーラを放つ男が立っていた。
「私の名前はデスティザーク3rd、シベルト・アッカーと申します。以後お見知りおきを…」
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