無職だけど最強でした〜無職と馬鹿にされたが修行して覚醒したから無双してくる〜

えんじょい

文字の大きさ
107 / 140
第3章 世界編

第107話 究極の選択

しおりを挟む



俺はバジリスクの首から何か光るものを見つける。

「これって…」

「うん、『伝説の薬』だ」

光る物の正体は『伝説の薬』だった。

「でもどうしてバジリスクの身体の中に?」

「…このバッグって…」

シシーが見覚えのあるバッグを見つける。

「確か、ボッパーの物だ」

「…それって…」

「そうだね。ボッパーはこのバジリスクに丸呑みにされたんだろうね…」

「そっか…」

なんだか薬が手に入ったから嬉しいようでなんとも言えないような複雑な気持ちだ。

ボッパーが死んでしまったのは悲しいけれど、そのおかげで薬が取り返せたのも事実だ。

何はともあれ、薬が手に入ったから結果オーライとしよう。

「薬を取り返したし、早く治しに行こう!」

「そうだね!」

「…でもさ…メリアとアオ、どっちを助けるの…?」

「「………」」

シシーのその質問に場が静まり返る。

命は皆平等にあるものだ。
誰の方が優れていて、誰の方が好きかなど関係ない。

2人とも大切な仲間だ。

しかし、俺の心の中でどちらを助けるかは決めている。
少し心残りもあるが…

「そのことについてなんだけど、メリアから伝言を預かっているんだ…」

「…伝言?」

「メリアはなんて言っていたの?」

「メリアは…」

俺は言葉を詰まらせる。

この2人にメリアの伝言をそのまま伝えたら、きっとそれに従うのだろう…

俺もそれで構わないと思っている。

しかし、俺の心の奥底、本心ではメリアを助けたいという気持ちが強く感じる…

『伝説の薬』は1つだけ…

もしここで助けられなければ、1年以内にまた薬が手に入るという保証は無い。

つまり、助けられなかった方ともう二度と会えなくなる可能性があるのだ。

でも、俺は大切な人の意思に背くようなことはしたくない。

メリアは助けられても嬉しいとは思わないだろうな…
予言書にもアオを助けると書かれているし、きっとアオを助ける方がいい選択なんだろう…

「メリアは…アオに薬を使って欲しいと言っていた…」

「そっか…」

「もとより、この大会に参加したのはアオを助けるためだし、また薬が見つかる可能性もある」

「確かに…そういうことを踏まえれば、アオよりもメリアの方が猶予があるだろうね」

「私はアートの意見に賛成…」

「わかった…じゃあアオを助けることにしよう。
メリアの事は、俺が【収納】で大切にしまっておくよ」

これでよかったんだ。
アオを助け、また薬を見つけ、メリアを生き返らせればいい話だ。

どれくらい時間がかかるか分からないが、必ず生き返らせる。

それまで待っててくれ、メリア…

「それじゃあ早速アオが眠っているサルディニア帝国へ向かおうか…」

俺は手を前に差し出す。

「うん」

「…ん」

アートとシシーは俺の手に掴まる。

「行くよ。【転移】!」

目の前が光に包まれる。

「うっ…」

気がつけばアオのお墓の前まで転移していた。

「良かった。上手く転移できた___」

俺は歩き出そうと足を1歩前に出した途端、突然の目眩に踏み外して倒れてしまう。

「どうしたルイス!?」

「あー、えっと…魔力切れみたいだ…あはは」

やっぱり魔力が多くなったとはいえ、国を2つも跨ぐ距離の【転移】はさすがにギリギリか…

頭がジンジンする…
魔力切れはやっぱり慣れないな…

俺はそこで意識を失った。



◆◆◆



「ティフィラス様、マロン殿…この度は素晴らしい腕を授けて下さり誠に感謝申し上げます」

「その腕はぁ俺様の傑作だぁ。感謝してくれよぉ」

「シベルト君のために特殊な薬を開発したんだよねっ!使ってみた感触ぜひ教えてっ!」

「…承知致しました…ふむ…」

シベルトは改造された自分の腕を見つめる。

この腕なら、あのガキを葬りされそうですね…

「くっくっくっくっくっ…」

「それにしてもよぉシベルトォ。『伝説の薬』はぁどうしたんだぁ?」

「おかしいですね…私の配下に持たせたのですが、もう戻ってきてもいい頃合いのはずです…」

「そのルイスとやらに殺されちゃったんじゃないの?」

「まさか…」

「決まりだなぁ…ますます奴らを殺す理由が増えたぜぇ。
ひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっ」



◆◆◆



「うっ…く…」

俺はベッドの上でゆっくりと目を覚ます。

「起きたんだねルイス」

「…おはようルイス…」

「ああ、おはよ___」

「ルイスおはよ!」

「___っ!?」

アートとシシーの後ろから懐かしい声が聞こえる。

「ア…オ…」

「うん!私だよ!」

「うぅ、アオ…よかった…また会うことが出来た…!」

「私もみんなに会いたかった…ただいま!」

「「「おかえり…!!」」」


しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

追放された荷物持ち、スキル【アイテムボックス・無限】で辺境スローライフを始めます

黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティーで「荷物持ち」として蔑まれ、全ての責任を押し付けられて追放された青年レオ。彼が持つスキル【アイテムボックス】は、誰もが「ゴミスキル」と笑うものだった。 しかし、そのスキルには「容量無限」「時間停止」「解析・分解」「合成・創造」というとんでもない力が秘められていたのだ。 全てを失い、流れ着いた辺境の村。そこで彼は、自分を犠牲にする生き方をやめ、自らの力で幸せなスローライフを掴み取ることを決意する。 超高品質なポーション、快適な家具、美味しい料理、果ては巨大な井戸や城壁まで!? 万能すぎる生産スキルで、心優しい仲間たちと共に寂れた村を豊かに発展させていく。 一方、彼を追放した勇者パーティーは、荷物持ちを失ったことで急速に崩壊していく。 「今からでもレオを連れ戻すべきだ!」 ――もう遅い。彼はもう、君たちのための便利な道具じゃない。 これは、不遇だった青年が最高の仲間たちと出会い、世界一の生産職として成り上がり、幸せなスローライフを手に入れる物語。そして、傲慢な勇者たちが自業自得の末路を辿る、痛快な「ざまぁ」ストーリー!

魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。 それは、最強の魔道具だった。 魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく! すべては、憧れのスローライフのために! エブリスタにも掲載しています。

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。 そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。 【第二章】 原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。 原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。

町工場の専務が異世界に転生しました。辺境伯の嫡男として生きて行きます!

トリガー
ファンタジー
町工場の専務が女神の力で異世界に転生します。剣や魔法を使い成長していく異世界ファンタジー

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

処理中です...