無職だけど最強でした〜無職と馬鹿にされたが修行して覚醒したから無双してくる〜

えんじょい

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第3章 世界編

第106話 薬の奪還

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「ボッパーが裏切り、薬を奪った…」

「ボッパーが裏切った…!?」

「ボッパー…!?」

「悲しい気持ちは分かる…けれど今は一刻も早く薬を取り戻さないと、アオもメリアも助けられない…!」

「うぐっ、わがった…」

アートとシシーは立ち上がって涙を拭う。

「急いでボッパーを見つけ出そう!」

「「おおー!!」」

そうして俺たちは、薬を取り戻しにボッパーを求めて外へ向かった。

ちなみにメリアをそのままにするのは気が置けなかったため、一応【収納】している。

ボッパーが早く見つかればいいのだが…



◆◆◆



「うっ…ぐっ…!ティフィラス…様…」

「あぁん?シベルトかぁ?どうしたんだぁその身体はぁ?」

とある研究室にて…

片腕が無くなったシベルトがティフィラスの元へ帰還した。

「少しばかりヘマをしただけです…ぐっ…!
あのガキ…思い出すだけでも反吐が出ますね…!」

あのガキのせいで私は片腕をなくし、さらに主従関係にあった魔物との契約も途切れてしまいました…

また魔物を集めなければならないのは、面倒で仕方ありませんね。

次に出会ったら必ず殺します…

「俺様がぁお前の腕を治してやろうかぁ?」

「ありがたき幸せでございます…是非ともお願いしたい所存であります…」

「取っておきのものを作ってやるよぉ」

「ところで…読書とは珍しいですね」

シベルトはティフィラスが珍しく本を読んでいることに触れる。

「この本はなぁ、あの力の神についての本だぁ。
なんでもぉ、力の神は瞬間移動や特殊な魔術を使うらしぃぞぉ」

「瞬間移動…特殊な魔術…」

シベルトにはその能力に思い当たる節があった。

ルイスとの戦闘、ルイスが使用した能力はどれも本に書いてある物と一致する。

「ティフィラス様…もし、力の神がいるとしたらどうなさいますか?」

「そりゃぁ決まってるだろぉ。
取り込んで俺のものにしてやるぜぇ」

「くっくっくっくっ…ティフィラス様らしいご回答」

シベルトがティフィラスに距離を詰める。

「今我々が追っている、バイルスを殺した少年。
彼が力の神でございます」

「ひゃっひゃっひゃっひゃっ、それはいい情報だなぁ…そいつはぁ俺様自らが出向いて殺して奪ってやるぅ」

「くっくっくっくっ…!」

「ひゃっひゃっひゃっひゃっ…!」



◆◆◆



「よし!薬をゲットしたウキッ!
ウキッキッ!ルイスの最後のあの顔は良かったウキッ!
この薬を持って帰れば、おいらもティフィラス様に近ずけるウキッ!」

ボッパーが『伝説の薬』を片手に闘技場を出る。

「早く拠点に戻ってティフォラス様の帰りを待つウキッ!」

ボッパーは急いで走り、拠点の前に着く。

「街は凄い騒動になっているウキね…
でもおいらには関係ないウキッ!おいらはシベルト様の配下だから襲われな___」

「シャーーー!!」

拠点に入ろうとした時、1匹の大蛇がボッパーの前に現れる。

「バジリスクウキッ?」

「シャーーー!!」

「おいらはシベルト様の配下ウキッ!そこをどくウキッ!」

「シャーーー!!」

バジリスクにボッパーの言葉に耳を貸す様子は全く見られない。

「おいらじゃなくて早く街の人を襲うウキッ!」

ボッパーが街の方を指差した。

その瞬間___

「シャーーー!!」

「ウ…キ…?」

大蛇はボッパーの右腕目掛けて突っ込み、大きな口と牙でボッパーの右腕を食いちぎった。

「どうして…ウキッ!?おいらは襲われないはずウキッ!?」

「シャーーー!!」

「ウキ…!?」

ボッパーは気づいた。

この大蛇の目は、最初から自分を餌としか思っていない目だということを…

「食われる…ウキ…!?
早く逃げるウキッ!」

ボッパーは全力で後ろへ走った。

「死にたくないウキッ!ウキッ!ウキッ!ウキ…?」

ほんの一瞬の出来事だった。

急に周りが暗くなり、気づけば視界に巨大な牙が映り込む。

その数秒後、口が閉じ完全に視界が暗くなった。



◆◆◆



「ボッパー!」

「ボッパーどこにいるんだ!」

「…ボッパー…!」

俺たちはボッパーを探すべく、街の中央から端に向けて捜索をしていた。

「ボッパーはどこに行ったんだろうか…」

「そんなに時間は経っていないはず。少なくともこの街の中にいることは確実だろうね」

魔物もまだ少し残っている。
シベルトとの戦いでかなり魔力を消耗したからか、早く見つけないと魔力切れになりそうだ。

「…私あっちが怪しいと___」

「シャーーー!!」

シシーが怪しいと思う方向を指さした瞬間、その方向の茂みからバジリスクが現れる。

「ここでバジリスクは少し厄介だな」

「でも僕たちなら余裕だね!」

「ここは私が…【ファイアランス】…!」

「僕も加勢するよ!【ウィンドエッジ】!」

シシーとアートが同時に魔術を放つ。

「シャ!?」

【ファイアランス】が目に刺さり、【ウィンドエッジ】がバジリスクの首を切り落とした。

「2人ともありがとう。
早く薬を見つけないと___ん?なんだあれ?」

俺はバジリスクの首から何か光るものを見つける。

「これって…」

「うん、『伝説の薬』だ」

光る物の正体は『伝説の薬』だった。

「でもどうしてバジリスクの身体の中に?」

「…このバッグって…」

シシーが見覚えのあるバッグを見つける。

「確か、ボッパーの物だ」

「…それって…」

「そうだね。ボッパーはこのバジリスクに丸呑みにされたんだろうね…」

「そっか…」

なんだか薬が手に入ったから嬉しいようでなんとも言えないような複雑な気持ちだ。

ボッパーが死んでしまったのは悲しいけれど、そのおかげで薬が取り返せたのも事実だ。

何はともあれ、薬が手に入ったから結果オーライとしよう。

「薬を取り返したし、早く治しに行こう!」

「そうだね!」


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