111 / 140
第3章 世界編
第111話 パメリア共和国
しおりを挟む「こっち!こっち!ここまで来れば煙から抜け出せるよ!」
アートとシシーはアオの声を頼りに進む。
「…やっと抜け出せた…」
「範囲もかなり広いみたいだ。
あっ!ごめんシシー!」
アートが思い出したように慌ててシシーの手を離す。
「…うん…ずっとこれでもいいのに…」
シシーが顔を赤くしながら静かに呟く。
「なんか言った?」
「…なんでもない…バカアート…」
「っ!?バカって___」
「___ねぇ見てよ!」
アートがシシーの言葉に驚いていると、それを遮りアオが何かを見つける。
「海だよ海!」
アオの指差す先には、どこまでも続く水平線があった。
「…大きい…」
「港はライクリック王国とユメツリオ王国の国境付近にあるらしいから、この海を伝っていけば着けるだろうね」
「船に乗るの楽しみだなー!」
「まだお昼前だし、このペースなら今日中にパメリア共和国に着けそうだね」
そして俺たち4人は海沿いを歩きながら、港を目指して進んだ。
「うっ…」
「あっ、やっとルイスが起きた」
「そろそろ背負うのも限界が来てたからちょうど良かったよ。
どう?歩けそう?」
「ああ、運んでくれてありがとな」
俺はアートの背中から降り、周りを見渡す。
活気のある市場、海鮮系の品揃え。
そして海にはものすごくでかい船が見える。
「もしかしてもう港に着いたのか?」
「そうだよ!これから船に乗るところなんだ!」
「チケットはさっき全員分の買っておいたから時間が来たらすぐ乗れると思う」
「何から何まで助かるな」
アートがいてくれて助かるな。
ほんと頼りになる。
「…早く船乗りたい…」
「もうそろそろ出発時刻だと思うよ。笛の合図があるらし___」
「___ピィーーー!!」
「うわ!」
突然の爆音に俺たちは耳を押える。
この市場にいる誰しもが聞こえるほどの大きさで笛の音が鳴り響いた。
「これよりパメリア王国行き、パールーン号の乗船を開始する!出港は10分後だ!」
「パールーン号…僕たちが乗る船はこれだね」
「まじか…でっか…!」
「昨日戦ったドラゴンよりも大きいんじゃないこれ…!」
「…大きい…」
間近で見る船の大きさに俺たちは唖然とする。
「入口はあそこみたいだね。早速中に入ろうか」
「れっつごー!」
「…ごー…!」
そして俺たちは船に乗り込み優雅な時間を過ごした。
船の中はなんとジュース飲み放題!
いやー、最高だったな!
太陽の眺めも綺麗だったし、時間があっという間に過ぎていったよ。
そして船に揺られること数時間…
「プーーーン!!」
出港の時とは別の、低い笛の音が船内に響いた。
「もうそろそろ到着の合図だね」
「…船酔い死んじゃう…」
「『伝説の薬』が売ってればいいんだけどなー」
「やっとパメリア共和国に到着か」
俺は予言書通り、しっかしと腰の見えやすそうな位置に時雨丸を付ける。
そんなハプニングが起きるのか楽しみだな!
そうして俺たちは、無事にパメリア共和国に上陸した。
「すごーい!強そうな武器が沢山あるよ!」
「…キラキラしてる…」
上陸した後、早速俺たちは市場へと向かった。
「でもここら辺は装飾用で、実用的なものはなさそうだな」
「そもそも僕たちが探しているのは『伝説の薬』なわけで、武器とか見るのはまた後でにしようよ」
「そうだね!あっ!あそこで薬売ってるよ!」
アオが薬を売っている場所を見つけ、駆け足で近寄る。
「へぃ姉ちゃん!何をお求めで?」
「こんにちは!実は『伝説の薬』ってのを探してて…」
「『伝説の薬』だぁ?済まないが聞いたこたぁねぇな。
うちでは取り扱ってないから他あたってくれぃ」
「そっかー」
「どうだったアオ?見つかった?」
「ううん。聞いたことがないらしいよ。
やっぱりすごく珍しいのかなー?」
まぁ、預言書通りか…
そもそもそんな簡単に出回っている物じゃないようだな。
「他にもお店があるしとりあえず手当り次第当たってみよ___」
「___待ってくれ兄ちゃん!!!」
「…え?」
薬屋の店主が勢いよく俺を呼び止める。
「どうしたんですか…?」
俺は驚きながらも振り返る。
「うーん…」
店主は悩ませた顔をしながら、ある一点を凝視する。
俺の腰、正確には俺の腰につけてある時雨丸のことを…
「兄ちゃん…その剣、只者じゃないだろ?」
もしかしてこれは!?
予言書が言っていたハプニング発生か…!?
21
あなたにおすすめの小説
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
インターネットで異世界無双!?
kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。
その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。
これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。
追放された荷物持ち、スキル【アイテムボックス・無限】で辺境スローライフを始めます
黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティーで「荷物持ち」として蔑まれ、全ての責任を押し付けられて追放された青年レオ。彼が持つスキル【アイテムボックス】は、誰もが「ゴミスキル」と笑うものだった。
しかし、そのスキルには「容量無限」「時間停止」「解析・分解」「合成・創造」というとんでもない力が秘められていたのだ。
全てを失い、流れ着いた辺境の村。そこで彼は、自分を犠牲にする生き方をやめ、自らの力で幸せなスローライフを掴み取ることを決意する。
超高品質なポーション、快適な家具、美味しい料理、果ては巨大な井戸や城壁まで!?
万能すぎる生産スキルで、心優しい仲間たちと共に寂れた村を豊かに発展させていく。
一方、彼を追放した勇者パーティーは、荷物持ちを失ったことで急速に崩壊していく。
「今からでもレオを連れ戻すべきだ!」
――もう遅い。彼はもう、君たちのための便利な道具じゃない。
これは、不遇だった青年が最高の仲間たちと出会い、世界一の生産職として成り上がり、幸せなスローライフを手に入れる物語。そして、傲慢な勇者たちが自業自得の末路を辿る、痛快な「ざまぁ」ストーリー!
魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。
それは、最強の魔道具だった。
魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく!
すべては、憧れのスローライフのために!
エブリスタにも掲載しています。
スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~
みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった!
無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。
追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。
【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。
いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。
そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。
【第二章】
原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。
原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる