無職だけど最強でした〜無職と馬鹿にされたが修行して覚醒したから無双してくる〜

えんじょい

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第3章 世界編

第113話 時雨丸の過去

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「とりあえず中に入ってみれば分かるだろう」

俺は木が禿げた扉に手をかける。

「ごめんください…」

軋む音を立ててゆっくりと扉が開く。

カンッ…カンッ…カンッ

奥から金属を叩く音が響く。

「すみませーん!ガーフナーさんいますかー?」

カンッ…カンッ…カンッ

アオの声が聞こえたのか、叩く音が止み、こちらへ向かう足音がする。

「わしが今作業してるのがわからんのか!
ミスでもしたらどうしてくれ___………」

ガーフナーは何かを見ると急に黙り込んだ。

「お前さん…そのは…!!」

俺はガーフナーが口にした言葉に驚いた。

彼は今、間違いなくと言った。
刀はこの世界には存在しない概念。

普通の人ならまず知りもしない。
ガーフナーはなぜ知っているんだ…?

「ガーフナーさん、なぜあなたは刀を知っているんですか…?」

「お前さん…それが刀だと分かっているのか…
わかった。中で話そう」

ガーフナーは少し考えた後、俺たちを中へと招き入れた。

「そこに座れ。今茶でも出してやる」

ガーフナーはお茶を入れに別の部屋へ向かう。

「ねぇルイス、あのドワーフが本当に最強の武器職人なの?」

「間違いないだろうな。時雨丸のことを一目で見抜いたんだ」

ガーフナーさんは刀について、時雨丸について確実になにかを知っている。

「さて、茶でも飲んでゆっくり話そう」

ガーフナーは戻っきて椅子に腰掛ける。

「お前さん、どうしてわしが刀を知っているのかと聞いたな…
改めて、わしは5代目ジョウシキトウ、ガーフナーだ」

「俺はルイストリア・フールです」

「僕はアート・レインでこっちが___」

「…シシー・マイナライト…」

「僕はアオ・サトラムだよ!」

「それで刀についてなんじゃが、ジョウシキトウ、これがわしの流派じゃ。
わしは今5代目で600年程前にジョウシキトウは造られたんじゃ。
そしてこの流派の創造主が九条  伍式くじょう ごしき。ニホンジンと言われる種族で、彼が初めてこの世界に刀という物を生み出したんじゃ。
けれど、わしたちドワーフに刀を造るのは難しすぎて、今や刀を打てるやつは誰もいないんじゃけどな…」

「九条…伍式…ニホンジン…」

この名前の響き、ニホンジン、つまり日本人…
間違いなく刀を作ったのは、この世界に転移してきた日本人だ…!

九条 伍式…600年程ということはつまり室町時代辺りの人間だ。

室町時代と言えば武士の時代。
刀はどの武器よりも優っていた。
そんな時代の刀がこの世界でも造られているとするならば、間違いなく最強の武器だろう…

そう、時雨丸のように…

「まさか…!?」

俺はあることに気づき時雨丸を机の上に置く。

「そうじゃ。この刀…間違いなく初代ジョウシキトウ、九条 伍式が造ったものに違いない…!
まさかこんなところでお目にかかれるとは夢にも思っていなかった…!」

〈九条 伍式…妾はその名を知らぬはずじゃが、その者の名を聞くと何故か心がほっとするのじゃ…〉

時雨丸の反応からしても、やっぱりそうだったのか…
室町時代の刀鍛冶師が造った最高の一振が弱いわけが無いもんな。

今まで謎が多かった時雨丸の過去を知れただけでもここに来た甲斐があったといえるだろうな。
時雨丸の強さに少しは納得がいったかもしれない。

「この刀をわしに見せてくれてありがとう。是非ともお礼がしたいんじゃが…なにかわしに出来ることないか?」

「そんなお礼なんて…!この刀のことを知れただけでも十分ですよ!」

「そんなこと言わずにどうか頼む!
わしができるのは武器を造ることくらいしかないのじゃが、特別にオーダーメイドで造ってやろう」

「いいんですか!?」

最強の武器職人にオーダーメイドで造ってもらえることなんて滅多にないぞ!?

「わしが今持っているものよりも上質な素材を持っているならば、その素材を使って造ってやろう。
何か持っているか?」

「うーん…上質な素材…」

俺、上質な素材なんか持って___

「___あっ!いい素材がありますよ!【取り出し】!」

俺は今持っている中で、間違いなく最上級の素材と言えるものを机の上に取り出す。

「お、おぉ!この輝き!硬さ!魔力!こっこれは!?」

「そうです!ドラゴンの鱗です!」

俺が今持っている最上級の素材、それはドラゴンの鱗だ。

戦ってきた魔物の戦利品は粗方【収納】しているが、その中でもドラゴンが1番強いだろうな。

おまけに3回もサルディニアダンジョンを周回したわけだから、鱗が3枚もある。

「ドラゴンの鱗…!これなら間違いなく最強の武器が造れる!」

「是非お願いします!」


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