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第3章 世界編
第115話 パメリアダンジョン
しおりを挟む「まずはこっちからだ」
ガーフナーは小さい方を机に置く。
こっちはアオの短剣だろうな。
見なくても心配は無いが、一応確認しておくか。
俺はゆっくりと布をめくる。
「これはすごい!」
「どうじゃ、すごいじゃろ!どんな金属よりも硬いと言われているドラゴンの鱗を丸々剣身に使ったんじゃ」
これは予想以上かもしれない!
この剣ならどれだけ使っても刃こぼれしなそうだな!
「そして本命がこれじゃ!」
ガーフナーは慎重にもう1つの方を置く。
「見てみるんじゃ」
俺は唾を飲み込み、よりいっそう慎重に布をめくる。
「こっ、これは!?」
細長い剣身に小さな手しか掴めなさそうな小さい柄。
斬るのではなく突く。
軽さを追い求め、スピードを重視した戦い方。
その武器の名は___
「___レイピア…!」
すごい!
俺が想像していた通りの出来栄えだ!
「凄いですこれ!ありがとうございます!」
「喜んでくれたようで何よりじゃ」
「【収納】!」
「剣が消えた!?」
「これは俺の能力ですよ!物を自由にしまえるんです」
「こりゃすげえ…ところでお前さん、その武器扱えるのか?」
「いえ、俺には扱えませんよ」
そう…レイピアは俺に扱うことは出来ない。
ではなぜレイピアを造って貰ったのかって?
「じゃあその剣は誰が使うんじゃ」
それは造ってもらう前にも言ったが…
「時が来れば分かりますよ」
まぁ、時が来ればの話だけどな…
「ついでにガーフナーさんに聞いておきたいことがあるのですけど…」
「なんじゃ?」
「『伝説の薬』って知ってますか?」
「『伝説の薬』…そうか、お前さんたちはその薬を求めてここに来たのか。
悪いんじゃが、この国には無いと思う」
やっぱり無いのか…じゃあ一体どこに行けば…!
「けれど、ありそうな場所は知っている」
「ほんとですか!?」
「ユメツリオダンジョン。
過去にユメツリオダンジョンのレベルエンハンスを攻略したら、『伝説の薬』を手に入れたという噂を聞いたことがある」
「それじゃあユメツリオダンジョンに行けば…!」
「そもそもレベルエンハンスになるのは珍しい。
もし運良くなったとしても、攻略できるかどうかが問題じゃ」
「そこは大丈夫ですよ!時雨丸がついてますから!」
「そうじゃったな」
「有益な情報ありがとうございます!」
新たな目標ができたぞ!
レベルエンハンスしたユメツリオダンジョン!
それを攻略すれば『伝説の薬』を手に入れられる!
翌日…
「みんなおはよー!」
「おはよう」
「…おはよ…」
「おはよう。アオは朝から元気だね」
「だってだってだって!今日みんなと久しぶりにダンジョンに行けるんだからね!」
「今日は気合い入れていこうな」
そう、今日は前もって計画していたパメリアダンジョン攻略の日だ。
「それじゃあご飯食べたら早速行こー!」
「「「おおーー!!」」」
そうして俺たち4人は朝食を済ませ、万全な準備でパメリアダンジョンヘと向かった。
「ここがパメリアダンジョンか…」
「なんかダンジョンってよりは鉱山って感じだね!」
「ギルドで聞いた情報によると、出てくる魔物は鉱石系らしいよ。
なんでも物理攻撃は効かないらしい」
「じゃあ魔術メインで行くことになるのか」
「僕も魔術は使えないけど【トラップ】で活躍するね!」
「あっ、そういえばアオ、【取り出し】!」
俺は亜空間から短剣を取り出す。
「これってもしかして!?」
「ああ、ガーフナーさんに依頼してドラゴンの鱗で造ってもらった短剣だ」
「すごい!かっこいいねこれ!
これならどんな敵が来ても…って言いたいところだけど、今回は出番ないかなー」
「最初は僕とシシーが担当して、ボス戦はルイスに任せるって感じでいいかな。アオは敵が多かったりした時にサポートお願い」
「任せて!」
「じゃあ作戦会議もしたし出発するか!」
「「「おおーー!!」」」
パメリアダンジョンの難易度はそれほど高いわけでもなく、一人一人が活躍し、順調にボス部屋に近づいていた。
ちなみに俺は何もしてない…だってボス戦での仕事があるからね!
みんなに任せる感じになっちゃったけれど、確実にみんな成長している。
魔術の威力が上がったとかスピードが速くなったとかいう訳ではなく、細かい判断や技術が磨かれてきている。
全く頼もしい仲間だな!
そして俺たちは各々の責務を全うし、難なくボス戦までたどり着くことが出来た。
「じゃあ後はルイス頼んだよ!」
「作戦通り僕たちは後ろで見てるね」
「…任せた…」
「任された!」
俺は俺の責務を全うするために、1人でボス部屋の扉を開けた。
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