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第3章 世界編
第117話 神の恵み
しおりを挟む《報酬の受け取りが完了したので帰還致します》
身体が光に包まれ地上に帰還する。
「ルイス大丈夫!?」
「ここから治療所までは15分程かかるはず…それじゃ間に合わない…!」
アートが俺を背負い、治療所目掛けて走る。
「うっ…」
痛い…!今にも気が失いそうだ…!
いっその事、気を失った方が耐えれるか…?
左手に握られている『神の欠片』に目をやる。
ええい!ここはアートたちを信じることにしよう!
俺は瓶の蓋を開け、神々しい液体を飲み干す。
「アート…頼んだ…」
「ルイス!?」
俺はアートにおんぶされながら、意識を失った。
「ルイストリア様!大丈夫でしょうか!」
「うっ…ネルフェ…腕が…痛く…ない?」
あれどうしてだ?
さっきまで焼きただれていたはずの腕が、今はなんともなく動くし痛くない…!
「それはこの空間が現実の世界ではなく一種の精神世界だからです」
「なるほど、だから平気なのか」
「しかし、この間でも現実世界の時間は進んでおります。急がなければルイストリア様のお命が危ないです」
「早く何とかしないと取り返しのつかないことになるぞ…!」
かなり深くまで傷を負っていたし、時間が経って壊死なんかでもしたら…腕を切り落とさなければならない可能性も___
「___ご安心ください。ルイストリア様は助かります。そのために『神の欠片』をお飲みになったじゃないですか」
「えっ、まぁ、そうなんだけどね…!」
「ふふっ」
笑われた!?そう言えば心読めるんだった…
てか、ネルフェって笑うのか!?
初めて笑うところを見た気が…
「ルイストリア様失礼ですよ」
「あ、ああ、ごめん」
「それより、本題へ入りましょう。
何故ルイストリア様は助かるのかというと、今回手に入れた力は【神の恵み】です」
「【神の恵み】…?」
「能力を簡単に言うと、治癒能力です」
「治癒能力!?それじゃあ俺の腕も…!」
「はい、その通りです。
万が一欠損してしまっていても、時間がそれほど経ってなければ治療できます。もちろん傷の度合いによって魔力消費量は大きくなります」
「わかった!ありがとうネルフェ!早くみんなの元に戻してくれ!」
「かしこまりました。ご無事をお祈りしています」
身体が光に包まれる。
戻ったら直ぐに【神の恵み】を使って治療しよう。
今回は何とかなりそうだな…
「ルイス起きて!ルイス!」
「うっ…」
アオに身体を揺さぶられ、俺は目を覚ます。
「もう少しで街に着くよ。もうちょっとの辛抱だから頑張って欲しい」
「ありがとうアート。でも、下ろしてもらえるか?」
「えっ?どうして…わかった」
アートは一瞬疑ったが、俺を信じて気の傍に下ろす。
「うっ…戻ってくると痛いな…」
目を覚ました頃には、俺の腕は既に壊死しかけており変色している箇所もみられた。
本当にこんな傷でも治るのだろうか…
「【神の恵み】…」
俺は若干疑いつつも、変色した腕に向かって【神の恵み】を使用する。
「ルイスこれは…!」
癒されるような緑の光が俺の腕を覆い尽くす。
「痛みが…消えてく…!」
これはすごいぞ!
気がついた頃には変色していた腕は、何事も無かったかのように元通りになっていた。
「ルイス、もしかして治癒魔術を習得したの!?」
「…さすがルイス…」
「今回手に入れた力は【神の恵み】と言って、どんな傷でも治せるらしい」
「さすが神は規格外だね」
なんでも出来るなんて、改めて神ってチートだと自覚させられるな…
「え…ちょ、ちょっと待って…?
神って何?習得ってどゆこと?治癒魔術はルイスが使ったの?ルイスは『無能級 無職』なはずじゃ…」
アオが1人状況を理解出来ずに混乱している。
「あれ…?アオには言ってないんだっけか?」
そういえば、みんなに本当の職を明かした時はアオが死んでしまった後の事だったか。
「僕だけに隠し事するなんて酷いー!」
アオが拗ねて頬を膨らます。
「あはは。じゃあ帰りながらその話をしようか」
それから俺は改めてみんなに、本当の職は神であること、ダンジョンの攻略報酬で新たな能力を手に入れられること、神だとしても友達として接して欲しいことなどを話した。
「やっぱりルイスはすごいね!神様と友達なんてさいこーじゃん!
これからもよろしね!ルイス!」
アオがいつもと変わらない笑顔で微笑む。
「こちらこそよろしく!アオ!」
俺もアオと同じように微笑み返した。
翌日…
「おはよー!パメリア共和国も今日が最後だね!」
「おはよう」
アオの言う通り、今日パメリア共和国を出発する。
向かう先はユメツリオ王国だ。
昨日の夜、国を出発する前に予言書を見た。
内容は確か___
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