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最終章 デスティザーク編
第128話 既視感
しおりを挟むハリーは兵士の肩を組み、小声で囁く。
「今すぐに応援の部隊を呼んでこい」
「そっ、それは何故ですか?」
「あの紋章は…デスティザークのものだ」
「デッ、デスティザーク!?!?」
「バカッ!声がでかい!」
「あっ、すみません…」
「とりあえずわかったか?」
「はい!任せてください!」
兵士は背を向け街の中へと入って行く。
「何か問題でもありましたか…?」
「いえ、これからはこの私アスタリスト王国騎士団所属、第1部隊隊長ハリー・フー…ル…っ!?!?」
ハリーの顔が一段と険しくなる。
「おや?貴方どこかで___」
「俺はお前の名前も顔も忘れてない…!デスティザーク3rd、シベルト…アッカー…!!」
「3rdだと!?」
3rdと聞きアシューの表情も険しくなる。
「ああ、思い出しました。貴方は何年か前に計画を阻止された剣士でしたか」
「お前をここで倒す…!」
ハリーが剣を抜き構える。
「これは手を抜いていられないな」
アシューも腕を捲り戦闘態勢に入る。
「本日は戦う予定ではなかったのですが、どうやら戦わざるを得ないみたいですね…」
風が流れ1枚の葉を舞い上げる。
「2人同時は少しきつそうですが、今の私なら大丈夫でしょう…」
舞上げられた葉がぽとりと地面に落ちた瞬間___
「はぁぁぁぁぁ!!」
「戦闘が幕を開けた」
◆◆◆
「ここが別荘よ!」
「え…これが…!?」
俺とメリアはメギオールさんが言っていた別荘に来ていたが…
「別荘の規模じゃ無さすぎるだろ!」
これ普通に貴族の家とかの大きさだぞ!?
これを別荘とか、さすが王族…
「早速入りましょ!」
メリアが扉を開けて中に入る。
屋敷の中は丁寧に掃除されており埃一つない。
「この家どこかで…」
この家をどこかで見たことがある気がしたが、今はそんなことより、今日この家でメリアと一晩を…
「ルイス?ぼーっとしてどうかした?」
「ああ、いや、なんでもない」
なんだか緊張してきたな…
そして迎えた夜…
「ご飯美味しかったわ!」
良いキッチンが使えるとの事なので、晩御飯は俺特製のカレーライスを振舞った。
あの味を再現するのにかなり時間がかかったがその価値はあった。
自分の料理で人が笑ってくれるのはこんなに嬉しいことなんだな。
「それじゃあ寝る部屋を決めましょ!」
来た!これで同じ部屋に___
「___ルイスはこの部屋で私はこの部屋ね!」
ですよねー!うんうん、わかってた…
こんなに部屋があるのに同じ部屋で寝る必要ないもんね…!
「はい…」
「それじゃあおやすみ!明日早く起きれたら起こしてあげるわ!」
「ありがとう。おやすみ!」
メリアは小走りで部屋へ入って行く。
俺もやりたいこと終わらせて寝るか…
俺も自分の部屋に入りベッドに寝っ転がる。
「ふかふかだ…」
すぐに眠りに着けそうなベッド。
「寝る前に予言書と最後の『神の欠片』を飲むか。【取り出し】」
俺は亜空間から予言書を取り出し、続きのページを開いた。
〈ユメツリオダンジョンの攻略おめでとう。俺の見た未来が不確定なばかりに危ない目に遭わせてしまったことを詫びる。
気づいているかもしれないが、俺の能力が弱まっている。恐らく寿命による衰えだ。つまりこの先、俺の見た未来を信じすぎるのも良くない。時には自分で行動することも必要だ。
必ずこの世界の未来を良きものにしてくれ。
それで今俺が見てる未来についてだが、危ないか危なくないかくらいしか見えない。
危ない人物は、君のお父さん、師匠、ユメツリオ王国の姫、そして君だ。
君がいなくなったらこの世界は崩壊する。そして姫がいなくなってもだ。
警戒を怠らないようにしてくれ〉
どういうことだ…?
未来がよく見えないだって?
さらに俺とメリア、父さんやアシュー師匠まで危険だと…?
「一体俺たちに何が待ち受けていると言うんだ…」
待ち受けている何かに対抗するためにも、最後の『神の欠片』を飲み俺は完全な神の力を手にする。
「これで最後…!」
俺は瓶の蓋を開け飲み干す。
「よし、このまま寝るか…ん?」
俺はベッドに横になった時、天井の違和感に気づいた。
この天井…どこかで見たことがあるような…
前世でか…?でも前世にはこんな造りの建物はないし…
一体どこで見たんだったか……
俺の意識はそこで途切れた。
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