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最終章 デスティザーク編
第130話 侵略
しおりを挟む「そして力の神はこの世界に転生してきました。ルイストリア・フールという人族として…
そしてルイストリア様はダンジョンを攻略し、神の力を全て取り戻して今に至りました」
「そんな歴史があったのか…」
「ルイストリア様、必ず約束してください。
過去は繰り返さないと…」
「【神の怒り】は使わない。約束する」
「そろそろお時間です」
「話が聞けて良かった」
「ご無事をお祈りしております」
ネルフェのお辞儀姿を最後に、俺の意識は途切れた。
「起きてー!ルイス起きて!朝だよ!」
メリアが俺を呼ぶ声がする。
「起きないと朝ごはん抜きにしちゃうよー?いいの?」
メリアが俺を揺さぶりながら可愛らしく聞いてくる。
メリアが朝ごはんを作ってくれるのか!?
それは起きなければ!
俺はうっすらと目を開ける。
「メリア…」
「下で待ってるから、着替えたら降りてきてね!」
メリアは俺にそう言い、階段を降りていった。
「俺ってメリアと2人で泊まるの初めてだよな…?」
でもなんだこの妙なまでの既視感は…
この家に来た時からもそうだ。
何故か妙な既視感を覚える…
力を取り戻したことでなんかの記憶を取り戻しでもし___
「___敵襲よ!!」
既視感の正体を探っていると、下からメリアが叫んだ。
敵襲だと!?
メリア1人でも…いや、何か嫌な予感がする…!
俺は部屋を飛び出し、下の階に向かう。
カキンッ!カキンッ!
剣の打ち合う音が鳴り響く。
「なんだあれは…」
メリアと戦っていたのは謎の黒ずくめの怪物…
魔物でも人でもない何か…
「あんなもの見たこと___うっ!?!」
急に俺の頭に衝撃が走る。
「ぐぁっ!頭が…!」
何が起きている…俺は…
「あ…」
その瞬間、俺の奥に眠っていた記憶が呼び覚まされた。
「思い出した…俺は…知っている」
どうして俺は忘れていたんだろうか。
あの日、俺が地球で死ぬ前…ある夢を見たことを…
俺はここで…殺されている…
そしてメリアも…
あの怪物を倒さなければ夢と同じ運命に…
「見つけたぞぉ!神ルイストリアァァ!お前を殺して俺様は力を得るんだぁ!」
黒ずくめの怪物がものすごい速さでこちらに向かってくる。
しかし、俺の身体は動かなかった。
俺は夢で見た残酷さを思い出し、一瞬判断が遅れてしまったのだ…
「だめ!逃げて!!」
メリアが俺を守るように立つ。
その瞬間__
「お前から死ねぇ!」
目の前で血しぶきがあがる。
ドサッ
「メ…リア…?」
メリアが血まみれで倒れた。
「メリア!?メリア!返事をしてくれ…!」
◆◆◆
ルイス達が別荘に到着した頃、ユメツリオ王国の門の前で激しい戦いが繰り広げられていた。
「はぁぁぁ!」
「ふむ…」
「これならどうだ」
「なるほど…」
アシューとハリーの攻撃をシベルトは軽々と躱す。
「なんだこいつの強さは…!」
「テイマーは身体能力は優れていないはずなんだがな」
アシューとハリーの服はボロボロになり、体力も疲弊してきていた。
「貴方達の実力は分かりました。そろそろ遊びも終わりにしましょうか…【サモン:ドラゴン】!」
シベルト前に巨大な魔法陣が描かれる。
「ドラゴンだと…!?」
「ドラゴンをテイムするなんて相当やるな」
魔法陣が光り、ドラゴンが姿を現す。
〈ぐはははははは!!
お主、我を呼び出すのは何年ぶりじゃ?もう呼び出してくれないのかと思うたぞ〉
「こうしてまた呼び出したじゃないですか。
いきなりですが、あそこの2人の処理を頼めますか?」
〈ぐはははははは!!
我を雑用のように扱いおって!受けてやろう!〉
ドラゴンが方向を変え、アシューとハリーを睨みつける。
〈虫にも満たぬ人間よ!我が主の怒りを買ったことを地獄で後悔するがよい!〉
「それは違うな」
〈なんだ?〉
アシューがドラゴン目掛けて走り出す。
「お前は、あんな主の元に付いてしまったことを…」
「なんですかその速さは!?」
ドラゴンに近づくにつれ、アシューのスピードはさらに増していく。
「地獄で…」
アシューが高く飛ぶ。
〈我に何をする気___〉
上空のアシューが不自然な速度でドラゴン目掛けて落下する。
「後悔するんだな!」
落下の勢いのまま、ドラゴンにとてつもなく重い拳を叩きつけた。
〈ぐ…は…〉
ドラゴンが光に包まれる。
〈我はもう…戦えぬ…〉
一言言い残し、ドラゴンは光に包まれ散った。
「戻されてしまいましたか…」
「相手の実力を探っていたのはお前だけじゃない。
ここからは私も本気でいかせてもらう」
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