無職だけど最強でした〜無職と馬鹿にされたが修行して覚醒したから無双してくる〜

えんじょい

文字の大きさ
140 / 140
最終章 デスティザーク編

最終話 無職だけど最強

しおりを挟む



「玲二…」

私はルイスを膝の上に寝かせる。

「早く目を覚まさないかしら…」

私はルイスの頭を優しく撫でる。

「うっ…」

「起きた?」

ルイスが私の膝の上で目を覚ました。



◆◆◆



「うっ…」

俺はゆっくりと目を覚ます。

俺は…暴走状態から戻ってこれたのか…?夢の中で恵と会った気がするが、上手く覚えていない…

「起きた?」

メリアが上から俺を覗き込む。

「メリ…ア…!?」

俺は咄嗟に理解した。
今俺が置かれているこの状況を…

頭の下にある柔らかい感触、俺を覗き込んでいるメリアの姿勢…
これはもしかしなくても俺は今膝枕をされているのでは!?

「あ、ご、ごめんメリ___」

「___ダメよ!まだじっとしてなくちゃ!」

俺が起き上がろうとした時、メリアが半ば強引に防いだ。

「なっ…!」

俺は顔を真っ赤にし、メリアとは反対側へ身体を回転させる。

ちらりと見えたが、メリアも顔を赤らめていたような気がした。
それに、なんかメリアの様子がいつもと違って見えるのは気のせいだろうか。

「ねぇルイス…」

メリアが真剣な口調で話し始める。

「記憶の中でのこと覚えてる?」

「あー…」

正直に言うと、あまりよく覚えていない。
でも、ずっと会いたかった誰かに会えたことだけは覚えている。

「はっきり覚えては無いんだが、懐かしい幼馴染に会ったような気がした…」

「その人の名前って何…?」

「な、名前?言っても分からないと思うけど…華恵原 恵っていう人だよ」

「…」

メリアの反応は無い

一応同じ高校だったらしいし、もしかしたらメリアと恵が友達だった可能性もあるかもしれないと思っんだが…
反応が無いって事は、やっぱメリアは恵のことを知らな___

___ポタッ

「…え?」

突如、俺の頬に一滴の水滴が垂れる。

「メリア?」

「うぅ…うっ…」

「メリアどうして泣いて___」

「___玲二…」

「っ!?」

泣いているメリアを慰めようとした時、メリアの口から前世の俺の名前が出た。

「メリア…?今なんて…」

「うぅ…玲二…!ずっと…会いたかった…」

メリアはさらに激しく涙を流す。

どうして俺の名前を…それにずっと会いたかったって…

「…はっ!?!?」

俺は驚きのあまり、体を起き上がらせる。

俺の中で今までの既視感、違和感、安心感、その全てが今、一筋の線となり繋がったのだ。

「もしかして…」

俺はメリアと向き合う。

「メリアは…」

この黒い髪、吸い込まれそうな程美しい瞳、元気な性格…
間違いない…!

メリアは…

「恵なのか…?」

「…もう、玲二ったら気づくのが遅いよ…」

その瞬間、俺の荷が下りた気がした。

「恵…恵…恵…!」

俺の目からは涙が溢れ出る。

メリアが恵…
あの日、もう一生会えないと思っていた恵が目の前にいる…!

「ずっと…ずっと会いたかった…!」

「私も…玲二にずっと会いたかった…!」

俺たちは互いを強く抱き締める。

「良かった…本当に良かった…!」

それから、俺たちは互いを抱き締めながら一生分泣いた。

涙が枯れるまで泣き続けた。

明日はきっと、目が腫れすぎて皆に笑われてしまうかもな。



「落ち着いた?」

「俺は落ち着いたよ。恵は?」

「私も落ち着いたわ」

しばらく泣いた後、俺たちは近くの木に寄りかかり休憩をしていた。

「レイピアどうだった?」

「あっ、このレイピアありがとね!すごく使いやすかったわ!」

「どういたしまして。恵のために作ってもらった特性のやつだからね。気に入って貰えて良かったよ」

って、違うだろ!今話すべきはそんな話じゃないだろ!

これまでも 何度も後悔してきた…
後悔しないと決めた今、伝えるべきなんじゃないのか…!

幸い指輪はある!
パメリア共和国で買ったやつが役に立つとは!

俺はこっそりと指輪を取り出す。

「すぅーはぁー」

落ち着くために深呼吸をする。
しかし、それとは逆に鼓動は早くなる。

「メ、メリア!そして恵!」

「どうしたの?」

伝える…俺の気持ちを…!

「俺は恵のことがずっと好きで、メリアと初めて会った時に一目惚れをした!」

「う、うん…」

メリアは恥ずかしそうに顔を赤くするが、決して顔を逸らさない。

「だから、俺と…!」

指輪の箱を開けてメリアの方に向ける。

「俺と結婚してください…!」

「はい!喜んで!」

メリアは俺の手を取り、満面の笑みで返事をした。

「でも、私たちまだ成人してないわよ」

「じゃあまだ結婚できないってことか!?」

俺としたことが…!
この世界の成人は15歳、今俺たちは13歳。
結婚するまで後2年もかかるの!?

「それじゃあ結婚じゃなくて婚約ってことにしましょ!」

「婚約…そうだな。それがいいな」

2年なんてあっという間に過ぎるだろう。
その間に恵に会えない訳では無い。

「それじゃあ婚約者としてこれからもよろしくね」

「こちらこそ!」

こうして俺たちは婚約を結んだ。

「そろそろみんなが待っているだろうし帰るわよ!」

「そうだ___危ない!」

メリアが立ち上がろうとした瞬間、体制を崩しよろける。

俺はメリアが転ぶのを防ごうと、咄嗟に手を伸ばした。

「れ、玲二…」

メリアが恥ずかしそうに顔を逸らす。

どうなったんだこれは…!
なぜ俺が恵に覆いかぶさってるんだよ!!

メリアを助けようとしたら、気がつけば地面を背にメリアに覆いかぶさっていた。

「め、恵…」

なんか変な雰囲気になっちゃってるし!?

俺たちはお互いを見つめ会う。

「んっ…」

メリアが目を閉じ、唇を突き出す。

まさかこれって…キス待ち!?本当にいいのか!
でも婚約してる訳だし…

ええい!もうどうにもなれだ!

俺も目を閉じ、俺たちの唇の距離がゆっくりと縮まる。

そして、綺麗な夕焼けを背に、俺たちは口付けを交わした。

「「……」」

「かっ、帰るわよ!」

「そっ、そうだな!」

顔を赤くしながらも帰路に着く。

「いっ、急ごう!」

「そっ、そうね!」

俺たちは少し早歩きをし、街までの道中一言も話さずに進んだ。

少し気まずく感じたが、苦ではなかった。

そして、その日の晩はデスティザークの破滅を祝して宴が行われた。
たった一人の犠牲者を除いて…

今回の戦いで犠牲となったのはアシュー師匠一人だけだという。あの襲撃の中で1人しか犠牲を出さなかったことはすごいことだろう。
しかし…アシュー師匠にはまだまだ元気でいて欲しかった…

次の日には、街から少し外れた綺麗な丘の上にお墓を立てた。アシュー師匠に似合いそうな綺麗な白い花を添えて。

それから予言書はというと…どこを探しても見つからなかった。恐らく、暴走した時に使用した魔術で燃えてしまったのだろう。
あの予言書にはとても世話になったな。感謝してもしきれないくらいだ。

そして今は…

「玲二ーご飯できたわよー!」

「すぐ行く!おっ卵焼き!美味そうだな」

「私のお手製よ!」

「「いただきます!」」

俺たちはあの襲撃の後から一緒に暮らしている。

毎日恵の手料理を食べられることほど幸せなものはないだろうな。

名前の呼び方については2人で話し合い、2人の時は前世の名前、みんなの前では今の名前を呼ぶことにしている。

「さぁ玲二、稽古しましょ!今日こそ1本入れるわ!」

「望むところだ…!」

稽古して買い物し、たまには転移で遠くに出かけ、俺たちは幸せな日々を送っている。



そして2年後…

カーンッコーンッ

協会の鐘が祝福の音を鳴らす。

「汝、ルイストリア・フールは、ここに永遠の愛を誓いますか?」

「誓います」

「汝、メリア・フォン・ユメツリオは、ここに永遠の愛を誓いますか?」

「もちろん誓うわ!」

「では、誓いのキスを…」

白いタキシードを纏った俺は、メリアに近づく。

「恵…」

俺はメリアにしか聞こえない声量で囁く。

「玲二…!」

白いドレスを纏ったメリアが満面の笑みを浮かべる。

俺の第2の人生はまだ始まったばかりだ。
これから先、メリアと共に歩む人生が楽しみだ。

「大好きだ」

「私も大好き!」

俺はメリアの頬に優しく触れ、誓いのキスを交わした。

俺、八神 玲二ことルイストリア・フールは、ひょんなことから転生し、無職だけど最強と呼ばれるまでに上り詰めた。

無能と蔑まされた俺の職は実は神であり、色々と大変なトラブルにも巻き込まれたが、信頼出来る仲間と共に危機を乗り越えることが出来た。

その後、俺とメリアの間に子供が産まれ、幸せな家庭を築いていくのは…
また、別の物語かもしれない…



~完~



=====================



読者の皆様、この作品を最後まで読んでくださり、誠にありがとうございました。

ルイスの人生を描いたこの作品はどうだったでしょうか!
たくさんの人との出会い、たくさんのトラブル…今思い返せばどれもとても懐かしく感じます。

約7ヶ月に亘る投稿でしたが、ここまで読み続けてくれた皆様に感謝を申し上げます。

私の中では、もっと上手く伏線張れたなーとかもっと面白い出来事を取り入れたかったなーとか色々と思うことはありますが、今はなによりも、この作品を完結まで持ってこれたことにとても喜びを感じています。

最終話を読み終えた後に、再び1話を読み返してみるのも面白いかもしれませんね!

是非、感想をコメントしてくださると嬉しいです!

ご愛読、誠にありがとうございました!


しおりを挟む
感想 6

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(6件)

nagi
2024.11.09 nagi

最高っす!( ´ ` *)

2024.11.09 えんじょい

コメントありがとうございます!
そうですよね!最高ですよね!
是非最後まで楽しんでください!

解除
nagi
2024.11.09 nagi

とても面白いですね!(´▽`)

2024.11.09 えんじょい

コメントありがとうございます!
読んでくださって光栄です!

解除
断空我
2024.09.03 断空我

じゃあ探検で→短剣で

2024.09.04 えんじょい

コメントありがとうございます!
修正させて頂きました!

解除

あなたにおすすめの小説

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

追放された荷物持ち、スキル【アイテムボックス・無限】で辺境スローライフを始めます

黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティーで「荷物持ち」として蔑まれ、全ての責任を押し付けられて追放された青年レオ。彼が持つスキル【アイテムボックス】は、誰もが「ゴミスキル」と笑うものだった。 しかし、そのスキルには「容量無限」「時間停止」「解析・分解」「合成・創造」というとんでもない力が秘められていたのだ。 全てを失い、流れ着いた辺境の村。そこで彼は、自分を犠牲にする生き方をやめ、自らの力で幸せなスローライフを掴み取ることを決意する。 超高品質なポーション、快適な家具、美味しい料理、果ては巨大な井戸や城壁まで!? 万能すぎる生産スキルで、心優しい仲間たちと共に寂れた村を豊かに発展させていく。 一方、彼を追放した勇者パーティーは、荷物持ちを失ったことで急速に崩壊していく。 「今からでもレオを連れ戻すべきだ!」 ――もう遅い。彼はもう、君たちのための便利な道具じゃない。 これは、不遇だった青年が最高の仲間たちと出会い、世界一の生産職として成り上がり、幸せなスローライフを手に入れる物語。そして、傲慢な勇者たちが自業自得の末路を辿る、痛快な「ざまぁ」ストーリー!

魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。 それは、最強の魔道具だった。 魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく! すべては、憧れのスローライフのために! エブリスタにも掲載しています。

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。 そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。 【第二章】 原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。 原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。

町工場の専務が異世界に転生しました。辺境伯の嫡男として生きて行きます!

トリガー
ファンタジー
町工場の専務が女神の力で異世界に転生します。剣や魔法を使い成長していく異世界ファンタジー

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。